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Vol.15 (1994/1[167])

<外国情報>
角膜へのAcanthamoeba感染−英国


 アカンソアメーバは土壌や水,空気中のほこりなどから普通に見つかる自由生活性のアメーバで,まれに人へ感染する。英国においてはもっぱら角膜への感染が知られており,アメーバに汚染された物が直接目に入ることが原因と考えられる。従って,本症の危険因子は角膜の外傷とコンタクトレンズの不十分な管理やその装用などである。感染により角膜潰瘍や治癒後の瘢痕形成が認められる。最初にCDSCへアカンソアメーバ症が報告されたのは1985年で,それ以後,1992年末までの8年間に11例が報告されている。また,1993年の44週間で12例の報告があり,うち10例は6月末以降の報告である。患者は15〜44歳までの年齢層に多く,年齢が明らかな18例のうち12例がこの年齢であった。発生地別に見るとドーバー海峡沿いの2州に著しく偏って患者の発生をみている。

 コンタクトレンズを装用していたことが判明している患者は16例あり,うち14例で角膜からアメーバが分離されている。角膜組織とコンタクトレンズあるいはその保存液の両方から分離されたものが2例,コンタクトレンズもしくはその保存液のみから分離されたものが4例あった。アメーバ種の同定されたものが17例18株あり,A. polyphagaが15例,他にA. hatchettiA. castellaniが1例ずつとなっている。また,同一患者で角膜からはA. polyphagaが,レンズ保存液からはA. culbertsoniが分離された例もあった。

 アカンソアメーバの人体症例はまれではあるが,CDSCはこのほかにも未報告の症例があることを承知している。CDSCは今後とも本感染症に関する報告を歓迎する。

(CDSC,CDR,3,46,209,1993)






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