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WHOに届けられた1993年のコレラの事例総数(29万7千)は,1991および1992年よりかなり下回った。これは南アメリカでの発生が1992年の同時期より48%減少したことによる(ペルー67%減,エクアドル83%減,コロンビア99%減)。
アフリカにおける1993年の発生国は1992年より減少したものの,マラウイで2万5千以上,ジンバブエで約5千事例が発生した。南アフリカの4ヵ国だけでアフリカ全体の事例の85%を占めている。
東南アジアでは一部の国でWHOへの届け出が不十分であるので,発生総数および死亡率は確実でない。1992年の7,464事例と比べ,1993年には16ヵ国で63,364事例の報告がなされた。この増加は6月以降のアフガニスタン(1965年以来報告例がなかった)の総数37,000事例以上,パキスタン(1981年以来報告がなかった)の8,300事例以上,ラオス(1969年以来報告がなかった)での2,000事例の流行によるものである。
ヨーロッパでは15ヵ国で輸入例が報告された。
Vibrio cholerae O139によるコレラの国内発生事例がバングラデシュ,中国,インド,マレーシア,ネパール,パキスタンで報告され,輸入例はエストニア,ドイツ,米国で報告された。O139とO1とは疫学的および病原性で相違がみられないものの,流行地の住民はこの新しい血清型に免疫をもたないので,患者は成人の割合が異常に高い。1960年の中頃以降エストールコレラ菌がクラシカルコレラ菌に置き換わったように,この菌も短期間に拡大していったが,ごく最近の流行調査では,この大流行は地域流行の様相を呈し,その地域ではコレラ菌が再び出現している。しかしながら,引き続き十分な疫学調査が必要である。
1992年のコレラの死亡率は1.4%であったが,1993年は1.7%であった。
(WHO,WER,69,bR,13,1994)
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