HOME 目次 記事一覧 索引 操作方法 上へ 前へ 次へ

Vol.15 (1994/3[169])

<外国情報>
ネコひっかき病と細菌性血管腫症:病原因子およびAIDSとの関連


 ネコひっかき病(Cat scratch disease,CSD)は動物(通常猫または犬)と密接なコンタクトのある患者にみられる皮膚および付属リンパ節の腫脹で,病変部に検出される多形菌は培養不可能とされていた。その後培養に成功し,病原体はAfipia felisとされた。細菌性血管腫症(Bacillary angiomatosis,BA)は多発性皮下結節のみられたHIV感染患者で報告された。皮膚病巣にCSDと類似の培養不可能な病原体が検出されることから,当初はCSDの全身感染とみられていたが,16SrRNAのPCRにより,病原体はRochalimaea属とされた。その後AIDS患者にみられる肝臓紫斑病や持続熱でも同様な菌が検出され,Rochalimaea henselaeと命名された。このRochalimaea属の新種はBAの病原体に関する10年にわたる探索の到達点であり,CSD患者からも検出されることからCSDの病原体としても注目されている。ネコとのコンタクトは両疾病のリスク因子である。この総説は,これらの疾病の概説と病原体を理解するための最新の情報について述べるとともに,以前から塹壕熱の原因と知られていたR. quintanaとBAの関連についても言及している。

(CDSC,CDR,3,RbW,R107,1993)






前へ 次へ
copyright
IASR