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T.エイズ患者およびHIV感染の状況(法施行前・後の累計)
1.現 状(表1)
報告された累計の患者数は685人で,その感染原因別の内訳は,異性間の性的接触87人,同性間の性的接触84人,静注薬物濫用2人,母子感染5人,凝固因子製剤418人,その他・不明89人である。
累計のHIV感染者数は2,914人で,同じく内訳は,異性間の性的接触571人,同性間の性的接触199人,静注薬物濫用9人,母子感染4人,凝固因子製剤1,771人,その他・不明360人である。
2.年次推移(表2)
(1)平成5年中に届け出られたエイズ患者およびHIV感染者(以下「患者・感染者」という)は364人であった。これは前年の493人に比べ129人,26.2%の減少となった。
(2)性別では,男性は前年の202人から平成5年の208人へと微増であるが,女性は前年の291人から平成5年の156人へと46.4%の減少となっている。
(3)国籍別では,日本人は男女ともに増加の傾向にあるが,外国人は男女ともに減少しており,特に外国人女性は前年の274人から平成5年の129人へと半数以下に減少している。
(4)感染原因別では,同性間の性的接触によるものは若干増加の傾向となっているが,異性間の性的接触は男女とも減少しており特に女性での減少が著しい。しかし,全体に占める割合としては異性間の性的接触が最近の主たる感染経路となっている。
3.報告地域(表3:本月報Vol. 15,bQ参照)
患者・感染者(法施行前・後の累計)を都道府県別にみると,ほぼ全国から報告されているが,そのうち,67.0%が関東地方からの報告となっている。
U.法施行後の患者・感染者の状況
1.性別構(表4)
「後天性免疫不全症候群の予防に関する法律」(エイズ予防法。以下「法」という)施行後(平成元年2月17日〜)から平成5年末までに届け出られた患者・感染者1,271人中,男性は654人(51.5%),女性は617人(48.5%)である。このうち,日本人では553人中,男性465人(84.1%),女性88人(15.9%)と男性が多いが,これに対して,外国人では718人中,男性189人(26.3%),女性529人(73.7%)と,女性の割合が高くなっている。
2.年齢構成(表5)
法施行後に届け出られた患者・感染者の年齢構成をみると,20歳代と30歳代で全体の72.0%を占めている。
性別でみると,男性のピークが30歳代で33.3%を占め,20歳代および40歳代が各々27.5%および24.3%を占めている。これに対して,女性は20歳代が74.9%を占めており,特に外国人女性の約8割が20歳代であることから,女性の方がより若い世代に感染が集中しているといえる。
3.感染原因・感染地域(表6〜8)
法施行後に届け出られた患者・感染者を感染原因別にみると,異性間の性的接触が最も多く全体の48.1%を占め,ついで同性間の性的接触が16.6%となっている。
これを性・国籍別にみると,日本人男性では,患者・感染者465人のうち,異性間の性的接触による感染が194人(41.7%),同性間の性的接触が171人(36.8%)であり,外国人男性では患者・感染者189人のうち異性間の性的接触が59人(31.2%),同性間の性的接触が40人(21.2%)となっている。男性においては,日本人,外国人ともに異性間の性的接触による感染が最も多い。女性においても,異性間の性的接触によるものが,日本人の患者・感染者88人のうち65人(73.9%),外国人529人のうち293人(55.4%)と感染原因のうち最も多い。
異性間の性的接触による感染について感染地域をみると,日本人では男性,女性とも国内での感染の方が海外での感染よりも多く,外国人では海外での感染が多い。同性間の性的接触の感染地域については,日本人では近年,国内における感染が増加している。
厚生省エイズ結核感染症課
表1.エイズ患者・HIV感染者の感染原因別累計数
表2.患者・感染者数の性・感染原因別年次推移
表2−1.エイズ患者数の性・感染原因別年次推移
表4.患者・感染者の国籍・性別報告数(法施行後累計)
表5.患者・感染者の性・年齢階級別報告数(法施行後累計)
表6.患者・感染者の性・国籍・感染原因別報告数(法施行後累計)
表7.異性間の性的接触における患者・感染者の性,国籍,感染地域別報告数(法施行後累計)
表8.同性間の性的接触における患者・感染者の国籍,感染地域別報告数(法施行後累計)
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