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Vol.15 (1994/6[172])

<外国情報>
コンビーフに起因したウェルシュ菌胃腸炎,1993−米国・オハイオ,バージニア


米国ではウェルシュ菌食中毒はよくみられ,特に調理した牛肉が原因となっている。

オハイオ:1993年3月18日,調理食品販売店で買ったコンビーフを摂食後発症した15名からクリーブランド市衛生局に電話があった。地方紙がこれを取り上げた後,3月16,17日にこの店の食品を摂食後48時間以内に下痢をした人156名の届け出があった。症状は腹部痙攣(88%),嘔吐(13%),入院した人はいなかった。平均潜伏期間は12時間であった。3月17日のSt. Patrick's Dayのコンビーフの大量需要を見込んで,この店が生の塩漬け保存したものを1,400ポンドで購入し,3月12日,一部を3時間ボイルし,室温で冷し,冷蔵した。

 3月16,17日,これを48.8℃まで温め,スライスし提供した。サンドイッチにも用いられ,室温に11時から午後の間置かれ,摂食された。販売店のコンビーフの残品(2/3)から105/g以上のウェルシュ菌が分離された。当局はこの店に対して調理後すぐに使用しない牛肉は小さく分け,浅い鍋に入れ,冷蔵前に急速に氷冷すること,および調理した牛肉は提供する前に内部温度が74℃以上になるまで再加熱することを勧告した。

バージニア:3月28日,St. Patrick's Dayの夕食でコンビーフ等を摂食した86名が発症,症状は下痢(98%),腹部痙攣(71%),嘔吐(5%)であった。平均潜伏期間は9.5時間で,1名が入院した。市販の冷凍塩漬けコンビーフが推定食品とされた。8名の有症者の便から106/g以上,冷蔵のコンビーフ残品から105/g以上のウェルシュ菌が分離された。事件後バージニア衛生局もオハイオと同様の勧告をした。

疫学的,検査室での調査から,これらの事例は無関係であることが判明した。これらの牛肉は異なる店で販売され,その販売先も異なっていた。バージニアの分離株の7株中6株の血清型はPS86でっあったが,オハイオの菌株は型別不明であった。

(CDC,MMWR,43,bW,137,1994)






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