|
インフルエンザ感染は胎児期,周産期の死亡と関連すると考えられているが,この仮説を支持する最近のデータは少ない。
1986年初期に,ある施設で妊娠初期と後期における胎児死亡の集積がみられた。妊婦を異常分娩群と正常分娩群に分け,考えられる種々の要因についてアンケート調査と血清抗体調査を行った。
異常分娩群は12例で,9例が流産,3例が子宮内胎児死亡であった。7例は妊娠初期,1例は中期,4例は後期以降に発生していた。これらの症例はすべて1986年2月16日〜3月8日の間に発生していた。
対照群9例と比較して,異常分娩群では,2週間以内のインフルエンザ様疾患罹患率(p=0.006),およびインフルエンザA型,A(H3N2)クライストチャーチ/4/85類似株に対する血清抗体保有率が有意に高かった(p=0.00067)。当時この地ではA(H3N2)型が流行しており,この結果はインフルエンザA型と胎児死亡との関連を示唆するものである。
(CDSC,CDR,4,RbR,R28,1994)
|