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Vol.15 (1994/7[173])

<国内情報>
ヘルパンギーナ病原体検査状況,1993−長野県


結核−感染症サーベイランス事業患者情報によると,1993年の本県のヘルパンギーナの患者報告数は年間1,200名で,前年の993名をわずかに上回った。患者数は5月中旬に豊科町で11名の報告があったが,そのまま横ばい状態が続き,7月初旬から急上昇し始めた。患者発生のピークは7月下旬であったが,患者は9月の第1週まで高率に報告され,第2週から減少し始めた。地域別患者報告数は,松本,豊科地区からの報告が多く,流行は県内の中部地域に限局していた。

 哺乳マウス接種法とFL,RDの各細胞を用いた細胞培養法により,患者の咽頭拭い液109検体について検査した。その結果,68件のウイルスを検出し,ウイルスの検出率は62%(68/109)であった(表1)。検出ウイルスは6種類であったが,コクサッキーウイルスA群(CA)4型が53件と多く,検出ウイルスのうちの78%(53/68)を占めた。CA4以外には,CA2とCA6が各4件,CA10が1件,単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)が4件,コクサッキーウイルスB群4型が2件であった。ヘルパンギーナの特徴として検出ウイルスの種類の多いこと,また,主流行ウイルスが毎年推移していることが挙げられる。本県においては,1982〜1990年までは同じ型のウイルスが翌年連続して主流行することはなかったが,1991年から3年連続してCA4が主流行ウイルスとして検出されたことは注目される。

 地区別検出状況を表2に示した。松本地区の検体は77件,長野地区は32件で,流行を反映したせいか松本地区からの検体が多かった。両地区ともCA4が高頻度に検出されたが,CA2とCB4は松本地区からのみ検出された。

 本年は1月〜6月末までにヘルパンギーナの検体を4件検査したが,HSV-1が1件のみ検出されている。本年もCA4が主流行するのか興味あるところである。



長野県衛生公害研究所 西沢 修一,小野 諭子,高橋 恵子


表1.長野県におけるヘルパンギーナ月別検査状況(1993年)
表2.ヘルパンギーナ地区別検出状況 長野県





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