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HIV-1サブタイプOに関する非公式の会合がジュネーブのWHO本部で6月9〜10日に開かれた。
HIV-1変異株はgagおよびenvの遺伝子解析により,少なくとも8つのサブタイプに分類されている(A〜H)。最近,これらのサブタイプに分類されないウイルスが見つかり,サブタイプOと命名された(Oは“outliers”,A〜H以外のものの意)。部分的な塩基配列の解析によれば,サブタイプO内での違いは,A〜H間の違いほど大きい可能性がある。
今までに分離されたウイルスはカメルーンの患者からのもので,カメルーンのHIV-1感染のうち,サブタイプOによるものは10%以下である。その他ガボンとフランスで少数のケースが見つかっている。
現在市販されている抗体検査キットがHIV-1サブタイプOを診断できるかどうか,まだ十分には調べられていないが,代表的なものを検討した限りでは,50%のキットはサブタイプOのすべての感染者の血清から抗体を検出できた。1キットは全く検出できず,残りは10〜20%以下の症例を見落とした。一般的にHIV感染を検出できない場合は,高度に変異したサブタイプによるよりも,抗体が陽転前の時期(window phase)によることが多い。従って,浸淫地以外ではサブタイプOがHIV診断および輸血の安全性に与えるインパクトは少ない。
現状からは次のような勧告が行われた。
1)このウイルスが検出された地域以外では,輸血スクリーニングを含めWHOの抗体検査の世界戦略に変更はない。
2)このサブタイプの感染者血清からパネルを確立し,それを用いて現行の抗体検出法の感度の評価を行う。
3)適切な抗原の選択およびHIV株間の関連性の解明のため,エンベロープの遺伝子配列を解析する。など
(WHO,Press Release WHO/50,1994)
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