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1980年代にアメリカ諸国でデング発生地域が拡大した。1982年ブラジル北部で1,4型が流行,1986年リオデジャネイロで1型が流行。さらに長年報告のなかったボリビア(1987),パラグアイ(1988),エクアドル(1988),ペルー(1990)の4ヵ国へ拡大し,4型も分離された。1986〜90年のこの5ヵ国の患者報告数は約24万人だが,血清学的に数百万人の感染が推定された。1993年にはコスタリカで4,103,パナマで14の国内発生例が報告され,現在,カナダ,バーミューダ,ケイマン諸島,チリ,ウルグアイを除く全アメリカ諸国でAedes aegypti(ネッタイシマカ)が生息している。アメリカ諸国の総患者報告数は1988年は47,783,1989年89,138,1990年116,389,1991年155,543,1992年101,958であった。
1960〜70年代にはデング出血熱(DHF)確認例はわずかだったが,1981〜1992年は1983年を除き毎年WHOの定義に合致するDHF確認例が報告されている。1981年キューバで2型が流行し,344,203例の患者中10,312例が重症(WHO分類U-W)で,158例が死亡した。1989年10月ベネズエラで1,2,4型の流行が始まり,1989〜1992年にDHFが8,619例(うち117例が死亡)報告された。1988〜1992年に10ヵ国からDHF患者10,494例(うち死亡155例)が報告された。報告数が多い国はコロンビア,ベネズエラ,ブラジル,メキシコ,パラグアイ,グアテマラ,ホンジュラス,ニカラグア,プエルトリコである。
(WHO,WER,69,24,177,1994)
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