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ウクライナの年間患者発生数は1990年の109(0.21/10万人)から1993年の2,987(5.8/10万人)に急増した。1993年のWHO集計によると欧州における患者総数の16%がウクライナの発生であった。1994年前半の発生数は前年同期をやや下回っているので,年間患者数は2,000程度になると推定されている。患者は各年齢層で発生しており,成人患者の約1/4は感染のリスクを伴う職種に就いていた。患者の約80%は都市で発生したが,死亡率は地方(6.5/100)が都市(1.8/100)より高かった。地方では診断や治療に迅速性を欠くためであろう。ウクライナでは1980年代,乳幼児に対するジフテリアの予防接種率が大幅に低下した(1987年は50%以下)。今回の流行で成人をも対象にした緊急予防接種を実施するとともに,診断技術や予防投薬等の研修など多面的な疾病対策を開始した。
(CDSC,CDR,4,No.38,177,1994)
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