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オレゴン州では髄膜炎菌感染症が増加しており,1994年の患者発生率(4.6/10万)は1992年(2.2/10万)の2倍以上で1943年以来最高であった。これは1989〜1991年の米国の年間発生率(1/10万)の約5倍に相当する。1994年のオレゴン州の細菌性髄膜炎患者報告数は143名で,124名からNeisseria meningitidisが検出された。その他典型的な髄膜炎を発症したがグラム陰性双球菌の分離が報告されたのが4名,臨床診断で報告されたのが14名あった。N. meningitidis115株の血清型はB群が70(61%),C群が40(35%),Y群が4,W-135が1であった。
7名(10%)が死亡し,うち1名は2歳児,4名は55〜88歳であった。1987〜1992年には患者の63%(84/133)が5歳以下の幼児であったが,1994年には27%と低かった。1987〜1992年と比べると,患者の発生率は1994年は各年齢群で高く,5歳以下では6.9→8.4に,15〜19歳では0.4→5.4に,60歳以上では0.3→1.1に増加した。患者発生の多い地区では,二次感染患者が多くみられ,中には予防投薬を守らなかったために発症した事例もあった。1993〜1994年に分離されたN. meningitidisの酵素型を調べたところ,86%(55/64)が酵素型5(ETL5)であった。
B群髄膜炎菌ETL5型は1974年にノルウェーで最初に分離され,ヨーロッパ,キューバ,南米で流行している型である。現在,B群髄膜炎菌に対するワクチンは米国では認可されていないので,接触者に対する予防投薬が勧められている。オレゴン,カリフォルニア,コネチカット,ミネソタの各州は“emerging infectious diseases”の研究に当たってCDCと協力体制を組んでいるが,オレゴン州ではB群N. meningitidisを研究対象に取り上げた。
(CDC,MMWR,44,No.7,121,1995)
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