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Vol.16 (1995/5[183])

<国内情報>
インフルエンザA香港型によると思われる脳症などの合併症について−香川県


 1994/95シーズンの香川県下におけるインフルエンザ疾患起因ウイルス型は,数の多少はあるが,A香港型(H3N2),Aソ連型(H1N1),B型の3型が分離確認されている。またこの期間中にインフルエンザ疾患流行によると思われる中枢神経系などの合併症がみられた。過去における状況からみてもA型に関係するインフルエンザ脳症,脳炎などは非常にまれである。そこで,県下の一部地域で観察された脳症,脳・脊髄炎や髄膜炎などを伴った合併症事例についてその概要を報告する。

 感染症サーベイランス定点病院(発病日は1月18日〜4月3日にかけて散発)から合併症などを伴ったインフルエンザ疾患として咽頭ぬぐい液,髄液を組として15人(生後14日〜7歳児)の分離材料送付があった。そして咽頭ぬぐい液から5株,髄液から2株のあわせて6人(生後1カ月〜3歳児)からA香港型が分離された。詳細については表に示した。

 ウイルス分離方法は,MDCK細胞を用いた通常法で行い,ウイルスの分離過程,または増殖態度にしてもこのシーズン中に分離された他のA香港型と異なるところはなかった。

 この患者らの中枢神経系などの合併症をウイルス学的に証明することは困難であるが,髄液からA香港型ウイルスが2株分離されたことで推察できると考えた。このようなA香港型による従来にはみられなかった,また特定地域(ウイルスが分離できた症例に限れば)に限局して発生したインフルエンザウイルスによると思われる中枢神経系合併症などはいかなる経緯で集中して発生したのか不明ではあるが,一般的にはウイルスによる中枢神経系に対する親和性または毒性による作用など,あわせて患者側の感受性などの条件変化などが影響しているのではないかと考える。



香川県衛生研究所
亀山妙子 藤井康三 三木一男 山西重機
土庄町立中央病院
葛原誠人








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