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Vol.16 (1995/6[184])

<外国情報>
エボラ出血熱の流行,1995−ザイール


 1995年5月6日,CDCはザイールの保健当局およびアメリカのキクウィト(人口40万,キンシャサの240マイル東)でウイルス性出血熱(VHF)の流行が発生したという報告を受けた。ザイール政府はWHOおよびCDCをこの流行調査のために招聘した。これはその予備調査結果のまとめである。

 4月4日にキクウィトの病院の検査技師が発熱と出血性下痢で発症し,腸穿孔の疑いで10,11日に手術を受けた。14日には同病院の医療従事者が同様の症状で発病,そのうち1人が75マイル離れたマセンゴの病院へ移された。20日頃,マセンゴの病院でこの患者の治療を行った人々が同様の症状で発病した。5月9日,14名の患者の血液がCDCへ送られ,バイオセーフティレベル4の実験室で処理され,ELISAによるエボラ抗原,抗体の検出およびRT-PCRによるRNAの検査が行われた。14名はすべて,これらの検査のうち少なくとも1つが陽性であった(エボラ抗原11例,抗体2例,RT-PCR12例)。ウイルスの糖蛋白遺伝子の塩基配列を決定したところ,1976年にザイールで流行したエボラウイルスの極めて近いことが分った。

 5月17日までの調査の結果,ザイールで93例のVHF疑い例が出ており,うち86例(92%)が死亡している。現在,保健関係者はキクウィトとその周辺で患者および接触者の探索を懸命に行っている。さらなる拡大を防ぐため,教育および防疫手段が講じられている。

  (CDC,MMWR,44,No. 19,381,1995)

 5月24日までの調査によると,キクウィトおよびその周辺部で患者144名が確認され,うち108名(75%)が死亡している。患者の平均年齢は37歳(9ヵ月〜71歳),男性70名,女性68名,性別不明6名であった。

  (CDC,MMWR,44,No. 20,399,1995)






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