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Vol.16 (1995/10[188])

<外国情報>
未殺菌乳製品によるブルセラ症−英国


 英国CDSCは急性ブルセラ症患者2名の発生報告を受理した。患者は家族とともに1995年4月マルタを訪れた。患者は6月初めから間欠性の発熱がみられたため7月末に入院した。患者1人からは血液培養でBrucella melitensisが分離され,他の1人は血清反応で弱陽性となった。2人ともマルタ滞在中‘Gbejniet’(チーズパイ)を喫食した。

 マルタでは1995年3月にブルセラ症の集団発生が確認され,当局の報告では1月1日〜7月26日の間の患者数は135(死亡1)であった(1992年〜1994年の患者数は21)。集団発生の原因は未殺菌の羊および山羊の乳から作ったソフトチーズの喫食と推察された。当局はこれらチーズを廃棄するよう注意した。マルタでは集団発生との関係が明らかになった動物は屠殺することになっている。

 英国で1995年に確認されたブルセラ患者は9名で,5名からB. melitensisが分離され,4名は血清診断によった。海外からの輸入例は6名で,マルタ2(上記の例),スペイン3,エジプト1であった。6例すべてが山羊乳あるいはチーズを喫食していた。ブルセラ症は人畜共通感染症で,感染動物との接触あるいは感染動物の生産物から感染する。潜伏期間は通常2〜3週(1週〜数カ月),不快感,頭痛,寝汗等を伴って発症する。長引くと疲労,筋肉痛を伴うようになる。

(CDSC,CDR,5,No.32,151,1995)






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