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Vol.16 (1995/11[189])

<国内情報>
Vibrio cholerae O139“Bengal”と共通抗原を有するAeromonasについて


 昨年12月,バングラデシュのダッカの河川から抗O139血清に強く凝集を示すAeromonasが分離され,V. cholerae O139および該血清型と共通抗原を有するV. cholerae O22およびO155とのO抗原関係を調べた。

 Aeromonas 6株は白糖,エスクリンおよびVP反応が陰性で,アンピシリン感受性であることからA. trotaと同定されたが,これらの菌株でコレラ毒素(CT)およびNAG-ST遺伝子を保有しているものはなかった。

 該菌株は既知のAeromonasの94-O群には該当せず,新O群95とされた。交差凝集および吸収テストの結果,これらの血清群は以下に示す抗原関係にあった。

V. cholerae O155 FG

V. cholerae O139 A FB

V. cholerae O22 AC E

Aeromonas O95 AC D

 AはV. cholerae O139,O22およびAeromonas O95の共通抗原であり,G,B,E,Dはそれぞれの血清群の特異抗原である。

 さらに本年9月横浜検疫所検査センターで実施した海水検査において,Aeromonas O95と全く同一のO抗原を有するA. sobriaが13株分離され,A. trota以外のAeromonas菌種にも同じ抗原を保有しているものがあることが判明し,V. cholerae O139の同定においては,O139抗血清での凝集テストによるスクリーニングの際,カギとなる生化学的性状およびCT産生性を必ず確認しなければならない。

 V. cholerae O139によるコレラの診断には,十分に精度管理されたO139抗血清が不可欠であり,特異抗O139血清を作製するためにはR菌株,V. cholerae O22,O155およびAeromonas O95菌株で吸収しなければならない。



国立予防衛生研究所
島田俊雄 荒川英二 伊藤健一郎
神奈川県衛生研究所
沖津忠行 山井志朗
横浜検疫所
松崎充宏 鈴木荘介





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