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米国で初めて血液凝固因子濃縮製剤に関連したA型肝炎4事例が報告された。1995年9〜12月に第8因子製剤によるものが3例発生し,第9因子製剤によると思われるもの1例が調査中である。いずれも同一メーカーの製品による。第8因子製剤は同一ロット,第9因子製剤は複数のロットが原因とみられている。
第8因子製剤による症例:症例1は13歳の血友病の少年,症例2は28歳のvon Willebrand病の女性,症例3は6歳の血友病の少年。いずれもHAV IgM抗体が検出されている。製剤の関連ロット,症例2の急性期血清,症例1の便から,PCRによりHAV RNAが検出され,シークエンスの結果,同一株と判明した。
第9因子製剤による症例:15歳の血友病の少年で,HAV IgM抗体が検出されている。複数ロットの製剤の投与を受けており,うち3ロットとが第8因子製剤の汚染ロットと同一の血漿プールから製造されていた。
血液製剤のHAVによる汚染は,製造過程のウイルス不活化工程でsolvent detergent法を用いた場合に起こることが明らかにされている。エンベロープウイルスであるHBV,HCV,HIVはこの方法で不活化できるが,エンベロープを持たないHAVはこの方法では不活化できない。第8因子製剤に関してはrecombinant法により製造可能だが,第9因子に関してはまだ認可されていない。HAV不活化ワクチンが1995年に認可されているので,血友病患者の担当医は患者のHAV抗体をチェックの上,陰性者にはワクチンを接種することも考慮すべきである。
(CDC,MMWR,45,No.2,29,1996)
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