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Vol.17 (1996/7[197])

<国内情報>
愛知県春日井市立T中学校における腸管出血性大腸菌O157による食中毒の発生


 平成8(1996)年6月12日(水)に,春日井市内の医療機関から春日井保健所へ,春日井市立T中学校2年生5名が,下痢,腹痛などの食中毒様症状を訴えたので,診察し検便を実施したところ,このうち3名から病原性大腸菌O157と思われる菌を検出した旨届け出があった。

 ただちに,患者の発生状況,有症者・健康者の共通食品等について疫学調査が実施された。現在判明しているのは,有症者はT中学校の2年生30名(男12名,女18名)で,そのうち,9名(男2名,女7名)が入院し治療を受けた。有症者のうちの2名に血便がみられたが腎機能低下はみられなかった。有症者の共通食品は学校給食,学校における飲用水,および6月4日〜6日までの岐阜県での林間学校における飲食と判明した。このうち,学校給食は協同調理場にて集中調理され,T中学校以外の13の小中学校にも配食されていたこと,および学校における飲用水は患者が2年生に限られていたこと等から原因食品としては考え難かった。このことから,林間学校における飲食が疑われた。林間学校における食事は6月4日夕食のカレーライス,サラダ,果物等であったが,林間学校での残品食品がなく検査は実施できなかった。また,カイ二乗検定においても原因物質を特定できなかった。

 検査結果:患者3名由来大腸菌株,患者および健康者の合計65名の大便等について検査を実施し,17名からO157:H7(VT1,VT2産生)を検出した。また岐阜県において林間学校における使用水等の各種の水について検査がなされたが,O157は検出されなかったと報告された。感染源については不明である。



愛知県衛生研究所 斎藤 眞





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