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アルバニアでは1996年4月以来9月17日までに66例の急性弛緩性麻痺(AFP)患者が発見され,まだ新しい患者の報告が続いている。この流行はポリオウイルス1型の野生株によるものである。アルバニアでは1996年4月8日と5月17日に全国一斉の予防接種(NIDs)により5歳未満の小児の97%に2回の経口生ワクチン(OPV)の追加投与が行なわれており,この流行はポリオ発生のなかった国においてNIDsと同時期に起こった初めての事例である。アルバニアで国内の野生ウイルスによる最後の患者が確認されたのは1978年であった。しかし,過去のコールドチェインに問題があること,1990年代初めに接種率が低下したこと,1991年の民主化によりポリオ流行地域との接触が増加していることから,WHOとユニセフの指導で1996年にNIDsを実施した。患者の年齢は4カ月〜46歳で,10〜30歳が70%を占め,今回のNIDsの対象となった5歳未満は少ない。これまでに7例が死亡している。現在全国民の免疫強化のため,OPVワクチン追加投与のキャンペーンが準備されている。
(WHO,WER,71,No.39,293,1996)
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