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Vol.17 (1996/12[202])

<外国情報>
米国−メキシコ国境のデング熱,1995〜1996


 デング熱は蚊によって媒介される疾患で,原因ウイルスの血清型は4種(DEN-1〜4)ある。1995年8月,メキシコ公衆衛生当局よりテキサス州衛生部(TDH)にテキサス南部国境のタマウリパス州におけるデング熱発生が通報された。テキサス州最南部には媒介蚊Aedes aegyptiが常在しており,人の往来もあることから,1980〜86年のようにデング熱が定着する可能性がある。TDHはサーベイランスを強化し,住民29名(うち7名は州外への旅行歴なし)が陽性とされた。

 メキシコ:1995年7〜12月にタマウリパス州の4,758名がデング熱を疑われ,37名がデング出血熱(DHF)であった。ウイルス分離では,DEN-1が州南部,DEN-3および4が北部,DEN-2が双方から検出された。流行は12月に終息したが,1996年7月にデング熱様疾患が報告されており,CDCで28名の急性または回復期血清を調査,17名にIgM抗体が検出され,5例からDEN-1が分離された。

 テキサス:TDHは1995年8月に関係部局,開業医などにデング熱の脅威,蚊への暴露防止のための情報を公布し,デング様疾患サーベイランスを強化,蚊の調査からAe. albopictusAe. aegyptiの生息を明らかにした。CDCはデング様疾患の州民273名を検査し,23名がウイルスまたは血清学的にデング熱とされた。また,TDHは民間検査機関から7名の患者の報告を受けた。実験室診断陽性の29名中8名はメキシコ以外の流行地へ旅行している。残り21名中14名はメキシコへ旅行しているが,7名は州外に出ていない。この7名は1995年9〜11月に発症しており,DEN-2とDEN-4が各1名から検出された。TDHとCDCは旅行歴のない例についてさらに調査している。

(CDC,MMWR,45,No.39,841,1996)






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