注意:これはこれは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は第45週以降増加が続いており、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では宮崎県(53.4)、福岡県(35.4)、佐賀県(31.0)、鹿児島県(30.7)、岡山県(26.9)、香川県(24.8)、山口県(23.7)が多い。 小児科定点報告疾患:咽頭結膜熱の定点当たり報告数は微減したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では佐賀県(1.04)、福井県(0.95)、岐阜県(0.81)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では山形県(2.6)、石川県(2.6)、鳥取県(2.3)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では愛媛県(19.3)、福井県(16.1)、大分県(14.7)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では石川県(3.9)、熊本県(3.9)、兵庫県(3.6)が多い。手足口病の定点当たり報告数は微増した。都道府県別では岐阜県(0.23)、愛知県(0.23)、鹿児島県(0.23)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では島根県(2.1)、青森県(1.1)、福島県(1.0)、熊本県(1.0)が多い。百日咳の定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では広島県(0.03)、宮城県(0.02)が多い。風しんの定点当たり報告数は微増した。都道府県別では島根県(0.04)、奈良県(0.03)が多い。麻しんの定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では岡山県(0.02)、埼玉県(0.01)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では沖縄県(5.6)、長野県(4.7)、鳥取県(4.7)が多い。RSウイルス感染症は、ゼロ報告を含めて40都道府県から805例の報告があり、報告数は減少した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約84%を占めている。 基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福島県(1.6)、岡山県(1.2)、秋田県(1.0)が多い。
◆ インフルエンザ
管内の定点当たり報告数が注意報レベルのみを超えているのは231保健所(43都道府県)とさらに増加し、警報レベルを超えているのは58保健所(静岡県以西の15府県)となっている(感染症情報センターホームページ「インフルエンザ流行レベルマップ」第2週参照)。
1995/96年シーズンから2004/05年シーズンまでの過去10シーズンでは、定点当たり報告数のピークは全て第4週以降(第4週4回、第5週3回)であった。今後、インフルエンザの流行は本格化してくるものと予想され、その発生動向の推移にはさらなる注意が必要である。 ◆ 最近約4カ月間におけるコレラの発生動向 ─フィリピンを推定感染地域とする報告の増加─
感染症法に基づく発生動向調査においては、推定感染地域の記載も求められている。2005年のコレラの報告で推定感染地域がフィリピンであったのは、第34週までに2例のみであったが、第35週以降多くなっている。 2005年第35週〜2006年第2週(8月29日〜1月15日)の診断分として報告されたコレラ症例のうち、疑似症を除いた菌およびコレラ毒素陽性のものは24例(男性20名、女性4名)であった。それら の発症期日を週別の時系列に示す(図)。
年齢の中央値は56.5歳(範囲21〜83)であった。症状については無症状者が1例認められたが、それを除く23例についてみると、下痢100%(水様性下痢35%)、嘔吐17%、腹痛13%であり、急性腎不全も4%に認められた。推定感染地域はフィリピン17例、インド2例、パキスタン1例、国内4例であった。菌の生物型については92%がエルトール 型であり、残りは未検査であった。また、血清型が小川型であるものが92%、稲葉型が8%であった。 2005年第38週(9月19〜25日)には、フィリピンからの帰国者に5名の集積が認められた。この構成は、2名ずつの2グループと単独行動の1名であった。グループ間、あるいは各グループとそれ以外の1名との間で、相互に疫学的関連は認められなかった。 コレラは病原体に汚染された水、または食品を介して感染する。海外、特に流行地域へ渡航する際には、生水を飲んだり、生または十分に加熱していない魚介類の喫食を避けるなどの注意が必要である。
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