発生動向総覧
*2006年4月からの報告システムの変更に伴い、疾病の並びを一部変更しました。
〈第20週コメント〉 5月25日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
細菌性赤痢5例(感染地域:国内2例、カンボジア1例、メキシコ1例、インド/バングラデシュ1例) |
3類感染症: |
腸管出血性大腸菌感染症53例(うち有症者31例、HUSなし)
感染地域:すべて国内
国内の多い感染地:東京都(7例)、秋田県(6例*)、岐阜県(5例)、愛知県(5例)*うち4例は動物園に関連した集団発生
年齢群:10歳未満(20例)、10代(6例)、20代(10例)、30代(5例)、40代(2例)、50代(5例)、60代(4例)、70代(1例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2 (17例)、O26 VT1 (12例)、O157 VT2 (8例)、O157 VT1(6例)、O111 VT1・VT2(3例)、O25 VT1(1例)、O26 VT1・VT2(1例)、O91 VT1(1例)、O121 VT2(1例)、その他/不明(3例) |
4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:栃木県.感染源:豚のモツ)
A型肝炎5例(感染地域:山形県1例、新潟県1例、富山県1例、静岡県/山梨県1例、福岡県1例)
オウム病1例(感染源:セキセイインコ)
つつが虫病9例(感染地域:山形県3例、青森県1例、岩手県1例、宮城県1例、秋田県1例、岐阜県1例、島根県1例)
マラリア2例(ともに三日熱_感染地域:インド1例、カンボジア1例)
レジオネラ症6例(すべて肺炎型)
年齢群:50代2例、60代2例、70代1例、80代1例
感染地域:神奈川県1例、新潟県1例、山梨県1例、愛知県1例、島根県1例、香川県1例 |
5類感染症: |
アメーバ赤痢 14例 |
(腸管アメーバ症13例、腸管外アメーバ症1例)
感染地域:国内9例、インドネシア2例、シンガポール1例、インド/バングラデシュ1例、東南アジア1例
感染経路:経口5例、性的接触5例(異性間1例、同性間2例、不明2例)、不明4例 |
ウイルス性肝炎2例〔ともにB型_感染経路:性的接触(異性間)1例、不明1例〕
急性脳炎1例(病原体不明.50代)
クリプトスポリジウム症1例(感染地域:国内)
クロイツフェルト・ヤコブ病5例〔孤発性プリオン病(古典型CJD)4例、感染性プリオン病(医原性CJD)1例〕
劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例(70代1例、80代1例.血清群:A群1例、G群1例)
後天性免疫不全症候群12例 |
(無症候9例、AIDS 3例)
感染経路:性的接触8例(異性間4例、同性間4例)、注射針共用1例、その他1例、不明2例
感染地域:国内9例、タイ1例、カンボジア1例、コンゴ1例 |
ジアルジア症2例(感染地域:国内1例、インド1例)
梅毒10例(早期顕症I期3例、早期顕症II期4例、晩期顕症1例、無症候2例)
破傷風1例(60代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanC_菌検出検体:胆汁)
(補)他に報告遅れとして、レジオネラ症1例(肺炎型.60代.死亡)、急性脳炎5例〔A型インフルエンザウイルス1例(0歳)、B型インフルエンザウイルス1例(10代)、単純ヘルペスウイルス1例(50代)、病原体不明2例(2歳、60代)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanC_菌検出検体:血液.死亡)などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ定点報告疾患:定点当たり報告数は微増し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では沖縄県(3.7)、北海道(3.5)、愛媛県(2.9)、青森県(2.5)、鳥取県(2.4)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は121例の報告があり、報告数は増加した。年齢別
では、1歳以下の報告数が全体の74%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では鹿児島県(1.8)、福井県(1.7)、香川県(1.3)、岐阜県(1.3)、福岡県(1.3)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では新潟県(5.4)、富山県(4.3)、北海道(4.3)、宮崎県(3.9)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は微増したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では福井県(13.1)、大分県(9.9)、宮崎県(9.4)、三重県(9.4)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では高知県(3.8)、山形県(3.8)、新潟県(3.8)が多い。手足口病の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では岐阜県(2.0)、香川県(1.5)、三重県(1.4)、愛知県(1.2)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では鳥取県(1.63)、島根県(1.52)、福島県(1.44)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では栃木県(0.11)、高知県(0.10)、徳島県(0.05)が多い。風しんの定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では岡山県(0.04)、石川県(0.03)、滋賀県(0.03)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第10週以降、増加が続いている。都道府県別では鳥取県(2.5)、愛媛県(2.1)、山口県(1.8)、熊本県(1.7)が多い。麻しんの定点当たり報告数は微増した。都道府県別では岐阜県(0.06)、徳島県(0.05)、千葉県(0.04)、広島県(0.04)、鹿児島県(0.04)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は3週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では鹿児島県(5.9)、長野県(4.1)、新潟県(3.7)、鳥取県(3.4)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では埼玉県(2.4)、石川県(2.2)、大阪府(1.5)、群馬県(1.1)が多い。成人麻しんは千葉県から3例の報告があった。
〈4月コメント〉
◆性感染症について 2006年5月17日集計分 性感染症定点数:949
2006年4月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.74(男1.18、女1.56)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.90(男0.38、女0.52)、尖圭コンジローマが0.52(男0.30、女0.23)、淋菌感染症が1.06(男0.89、女0.17)で、4疾患のうち、男女ともに性器クラミジア感染症が多かった(図1)。前月に比べると、全体的に減少している(「グラフ総覧」参照)。男女別に過去5年間の同時期と比較すると、平均+1標準偏差(SD)を超えた疾患は男女ともにみられなかった(図2)。一方、性器クラミジア感染症および淋菌感染症では、男性で平均-2SDを、女性で平均-1SDを下回っていた。
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図1.各性感染症が総報告数に占める割合(4月)
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定点当たり報告数を年齢階級別・男女別に比較すると、4疾患すべてにおいて男女ともに10代から報告がみられ、そのピークは、性器クラミジア感染症の男女、性器ヘルペスウイルス感染症の女性、尖圭コンジローマの女性、淋菌感染症の男女で20代であり、性器ヘルペスウイルス感染症の男性、尖圭コンジローマの男性で30代であった(図3)。性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症では男女ともにピーク以降、年齢が高くなるに従って減少傾向が認められ、50代以降の報告は僅かである。しかし性器ヘルペスウイルス感染症では、男女ともに50代以降の年齢群の報告も少なくない。また、淋菌感染症では全ての年齢群において男性の占める割合が高いが、性器クラミジア感染症および性器ヘルペスウイルス感染症の15〜34歳、尖圭コンジローマの15〜29歳の若い年齢群では、女性の占める割合が高い。
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年齢層(15〜29歳)での各疾患の定点当たり報告数を月別・男女別に図4に示した。前月との比較では、性器ヘルペスウイルス感染症が男性で増加したが、他3疾患では男女で、性器ヘルペスウイルス感染症は女性で減少した。
注:本発生動向調査で得られる性感染症患者報告数および解析結果は、現在の定点の構成に基づく制限のもとに解釈される必要がある。詳細は「感染症週報IDWR」2000年第46週号(10月報)4ページの説明を参照されたい。
◆薬剤耐性菌について (5月17日集計分)
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基幹定点数(4月):449.
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[定点当たり報告数]
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
4.08(前月:4.01、前年同月:3.89)
定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。4月は前月より微増し、過去7年間の同月との比較では最も多かった。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
1.03(前月:0.97、前年同月:1.20)
定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7〜9月)に少なく推移している。4月は前月より微増し、過去7年間の同月との比較では中位に属した。
薬剤耐性緑膿菌感染症
0.09(前月:0.08、前年同月:0.09)
定点当たり報告数は、例年後半が前半に比してわずかに多い傾向がある。4月は前月より微増し、過去7年間の同月との比較では中位に属した。 |
[年齢階級別]
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MRSA感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の66%を占めている(図1:PDF参照)。
PRSP感染症 小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の60%を占める一方、65歳以上が全体の19%を占めている(図2:PDF参照)。
薬剤耐性緑膿菌感染症 高齢者に多く、70歳以上が全体の50%を占めている(図3:PDF参照)。
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[性別:女性を1 として算出した男/女比]
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MRSA感染症…男:女=1.7:1
PRSP感染症…男:女=1.5:1
薬剤耐性緑膿菌感染症…男:女=2.1:1
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[都道府県別]
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MRSA感染症
定点当たり報告数は栃木県(8.3)、山口県(8.1)、滋賀県(6.4)が多い。
PRSP感染症
定点当たり報告数は富山県(10.6)、千葉県(7.7)が多く、この2県は前月も上位1、2位であった。
薬剤耐性緑膿菌感染症
報告数が40件にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難。
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◆結核サーベイランス月報 5月23日集計分
4月の新登録患者数は1,941人(男性1,255、女性686人)で、このうち活動性肺結核患者は1,498人(うち喀痰塗抹陽性者は759人)であった。都道府県・政令指定都市別の新登録患者数は、東京都(223人)、大阪府(大阪市を除く)(135人)、大阪市(113人)、千葉県(千葉市を除く)(79人)、埼玉県(さいたま市を除く)(73人)が多い。
また、別掲により集計されているマル初者数*は191人であった。
詳しいコメントは、結核研究所の結核発生動向調査結果報告(http://www.jata.or.jp/tbmr/tbmr.htm)をご覧ください。
注目すべき感染症
◆ 咽頭結膜熱
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咽頭結膜熱は主にアデノウイルス3型(他に1、2、5、6型など)による、咽頭炎、結膜炎を主とする急性ウイルス性感染症である。発熱、咽頭炎(咽頭発赤、咽頭痛)、結膜炎(結膜充血、眼痛、流涙、眼脂)が3主症状であり、通常、潜伏期間が5〜7日、有症状期間は3〜5日と言われている。感染経路は主に飛沫感染、接触感染であるが、その感染力は強力であり、患者が触れたタオル、ドアの把手、エレベーターのボタン、階段の手すりなどを介して感染する場合がある。また、症状消失後も約1カ月間に渡って尿・便中にウイルスが排泄されると言われており、さらに
無症状病原体保有者も存在する。そのため、予防対策の効果的な実施が容易でなく、毎年全国的に乳幼児施設や小児施設において集団感染がみられている。
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図1.咽頭結膜熱の年別・週別発生状況(1996〜2006年第20週) |
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図2. 咽頭結膜熱の都道府県別報告状況(2006年1〜20週) |
図3. 咽頭結膜熱の報告症例の年別・年齢階級別割合(2000〜2005年) |
図4. 咽頭結膜熱の報告症例の年齢群別割合(2006年第1〜20週) |
2006年は第3週以降、過去10年間と比較して最も報告の多い状態が続いている(図1)。第20 週の定点当たり報告数は0.67(総報告数2,020)であり、都道府県別では鹿児島県(1.8)、福井県 (1.7)、香川県(1.3)、岐阜県(1.3)、福岡県(1.3)の順であるが、20週までの定点当たり累積報 告数(全国平均4.04)、(累積報告数22,144)では、福井県(16.3)、島根県(13.1)、岐阜県(12.7)、 佐賀県(12.3)、鹿児島県(10.2)が多い(図2)。年齢別では5歳以下が全体の70%以上を占めて おり、7歳までが90%前後を占めているが、これは例年と同様である(図3、図4)。
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2006年第1週からの分離ウイルス(総分離報告数46)では、アデノウイルス3型が46%と最多で あり、次いで2型32%、1型8%、5型8%、6型4%の順となっている(図5)。今までのところ、例年 半数以上を占める3型が50%を下廻っており、2型の割合が例年よりも増加している。 咽頭結膜熱は報告の多い状態が続いているが、今後夏季を迎えてさらに増加すると考えられ るため、その発生動向には注意が必要である。 |
図5. 2006年の咽頭結膜熱における分離ウイルス(2006年5月15日現在) |
◆ 腸管出血性大腸菌感染症
2006年の腸管出血性大腸菌感染症は第15週(27例)から増加が認められ、第20週には53例となった(図1)。第20週に報告の多かった都道府県は東京都(8例)、秋田県(6例)、岐阜県(5例)、愛知県(5例)であった(図2)。また、第1〜20週の累積では東京都(31例)、大阪府(25例)、 愛知県(24例)、神奈川県(24例)、岡山県(20例)、秋田県(17例)、埼玉県(17例)が多かった。 |
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図1. 腸管出血性大腸菌感染症の年別・週別発生状況(2006年第20週現在) |
図2. 腸管出血性大腸菌感染症の都道府県別報告状況 |
2006年4月から、国内を感染地域とする場合に県名などの詳細情報を届け出るようになったが、第20週の53例の感染地域はほぼ報告した都道府県と一致しており、東京都(7例)、秋田県(6例)、岐阜県(5例)、愛知県(5例)が多かった。
第20週の53例の性別では男性23例、女性30例であり、年齢階級別(10歳毎)では0〜9歳(20例)が最も多く、約38%を占めた。また有症状者は31例で、無症状病原体保有者は22例であった。累積報告数320例についてみると、性別では男性164例、女性156例であり、年齢階級別(10歳毎)では0〜9歳(117例)が最も多く、37%を占めた。また有症状者は218例(68%)で、無症状病原体保有者が102例であった。無症状病原体保有者は、食品産業従事者の定期検便によって発見される場合もあるが、多くは探知された患者と食事を共にした者や、接触者の調査などによって発見される場合が多い。
溶血性尿毒症症候群(HUS)は、報告遅れ分として第20週に1例報告があり、累積では11例であった。2006年4月からHUS発症例の届出は、病原体の分離ができない症例であっても、便から直接のベロ毒素の検出や、血清抗体の検出によって届出対象となった。11例のうち4例は、血清抗体の検出により届け出られたものである。2006年では第20週までに、死亡例の報告はない。HUSなどの合併症や死亡については、届け出時点以降での発生が十分反映されていない可能性があり、その様な発生があった場合の追加・修正報告をお願いしている。
第20週の53例の血清型・毒素型別は、O157 VT1・VT2(17例)、O26 VT1(12例)、O157 VT2(8例)の順に多かった。また累積報告数では、O157 VT1・VT2(124例)、O157 VT2(59例)、O26 VT1(42例)の順に多かった。
本年第20週までの累積報告数320例は、例年(2000年375例、2001年709例、2002年415例、2003年225例、2004年345例、2005年347例)に比べて特に多いとは言えない。しかし今後、毎年本症が多く発生する夏季を迎えるにあたり、報告数はさらに増加するものと予想され、その発生動向には注意が必要である。
食品の取り扱いには十分注意して食中毒の予防を徹底するとともに、手洗いの励行などにより、ヒトからヒトへの二次感染を予防することが大切である。すでに保育所等や動物園に関連した集団発生もみられている。特に保育所等の施設においては、オムツ交換時の手洗い、園児に対する食前・食後の手洗い指導の徹底、簡易プールなどの衛生管理にも注意を払う必要がある。
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