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発生動向総覧 〈第33週コメント〉 8月24日集計分 ◆全数報告の感染症 注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては、発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。 *感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。 インフルエンザ:定点当たり報告数は第22週以降、減少が続いている。都道府県別では沖縄県(0.40)、宮崎県(0.09)、熊本県(0.04)が多い。 小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は70例の報告があり、報告数は減少した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約80%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は3週連続して減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い状態が続いている。都道府県別では宮崎県(3.2)、奈良県(1.9)、鳥取県(1.8)、三重県(1.8)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第25週以降、減少が続いているが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では秋田県(1.00)、奈良県(0.91)、大分県(0.89)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は3週連続して減少した。都道府県別では福井県(8.6)、大分県(5.7)、宮崎県(5.0)が多い。水痘の定点当たり報告数は2週連続して減少した。都道府県別では福井県(1.8)、徳島県(1.6)、埼玉県(1.1)が多い。手足口病の定点当たり報告数は3週連続して減少した。都道府県別では福井県(4.6)、石川県(3.4)、新潟県(3.3)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は3週連続して減少した。都道府県別では宮崎県(0.71)、静岡県(0.57)、宮城県(0.48)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では千葉県(0.10)、沖縄県(0.03)が多い。風しんの定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では岩手県(0.03)、香川県(0.03)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第28週以降、減少が続いている。都道府県別では高知県(2.1)、北海道(2.0)、青森県(2.0)が多い。麻しんの定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では奈良県(0.06)、大分県(0.06)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は3週連続して減少した。都道府県別では新潟県(3.6)、鹿児島県(3.4)、長野県(2.6)が多い。 〈7月コメント〉
定点当たり報告数のピークは、性器クラミジア感染症では男女ともに20〜24歳群、性器ヘルペスウイルス感染症では男性で25〜29歳群および30〜34歳群、女性で25〜29歳群、尖圭コンジローマでは男性で25〜29歳群、女性で20〜24歳群、淋菌感染症では男性で25〜29歳群、女性で20〜24歳群であり、女性が男性に比べやや若い傾向が認められる。性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症では男女ともに、ピーク以降、年齢が高くなるに従い減少傾向が認められ、50代以降の報告は僅かである。しかし性器ヘルペスウイルス感染症では、男女ともに50代以降の年齢群の報告も少なくない。 また、淋菌感染症では全ての年齢群において男性が女性よりも多いが、他の3疾患では、3疾患すべての29歳以下の年齢群と、性器ヘルペスウイルス感染症の35〜39歳群で女性が多かった。ただし、男女の比較については、性感染症定点が泌尿器科系、婦人科系及び皮膚科系などの診療科から構成され、それらの比率の影響を受ける可能性がある。 ●若年齢層における定点当たり報告数の推移感染症法が施行された1999年4月以降について、若年齢層(15〜29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に図4に示した。2001年以降、男女ともに性器クラミジア感染症と淋菌感染症は減少傾向がみられ、性器ヘルペスウイルス感染症と尖圭コンジローマはほぼ横ばいである。前月との比較では、男性では性器クラミジア感染症と淋菌感染症は減少したが、性器ヘルペスウイルス感染症と尖圭コンジローマは増加し、女性では性器クラミジア感染症と 尖圭コンジローマは減少したが、性器ヘルペスウイルス感染症と淋菌感染症は増加した。 注:本発生動向調査で得られる性感染症患者報告数および解析結果は、現在の定点の構成に基づく制限のもとに解釈される必要があります。詳細はIDWR週報2000年第46週号(10月報)4ページの説明を参照してください。
◆結核サーベイランス月報 8月23日集計分 7月の新登録患者数は2,240人(男性1,382、女性858人)で、このうち活動性肺結核患者は
1,791人(うち喀痰塗抹陽性者は879人)であった。都道府県・政令指定都市別の新登録患者数は、東京都(253人)、大阪府(大阪市を除く)(152人)、大阪市(111人)、千葉県(千葉市を除く)(92人)、埼玉県(さいたま市を除く)(90人)が多い。 注目すべき感染症 ◆ 腸管出血性大腸菌感染症 第33週に診断された158例についてみると、報告の多かった都道府県は佐賀県(25例)、東京都(11例)、大阪府(9例)、熊本県(9例)であった(図2a)。そのうち佐賀県の24例、熊本県の8例は、第32週に続く保育園における集団発生である。また2006年4月から、国内を感染地域とする場合に、県名などの詳細情報を届け出るようになったが、第33週に感染地域として多かった都道府県は、報告の都道府県とほぼ同様で、佐賀県(25例)、大阪府(9例)、岡山県(9例)、熊本県(9例)であった(図2b)。さらに、国外を感染地域とするものが3例〔米国(ハワイ)2例、国不明1例〕みられた。性別では男性67例、女性91例であり、年齢階級別(10歳毎)では0〜9歳(62例)が最も多く、39%を占めた。また有症状者は100例で、無症状病原体保有者が58例であった。無症状病原体保有者は、食品産業従事者の定期検便によって発見される場合もあるが、多くは探知された患者と食事を共にした者や、接触者の調査などによって発見される場合が多い。分離された菌の血清型・毒素型別では、O157 VT1・VT2(65例)、O26 VT1(44例)、O157 VT2(28例)の順に多かった。
第1〜33週の累積報告数2,041例についてみると、報告の多かった都道府県は大阪府(176例)、東京都(156例)、愛知県(118例)、福岡県(111例)、群馬県(102例)である(図3)。性別では男性966例、女性1,075例であり、年齢階級別(10歳毎)では0〜9歳(821例)が最も多く、40%を占めている。性別・年齢群別にみると、0〜9歳および10〜19歳では男性が女性より多く、それ以上の年齢群では女性が男性より多い(図4)。また有症状者は1,347例(66%)で、無症状病原体保有者が694例である。性別・年齢群別に症状の有無をみると、男女ともに、30〜50代では無症状病原体保有者が多く、それ以外では有症状者が多い。分離された菌の血清型・毒素型では、O157 VT1・VT2(860例)、O157 VT2(432例)、O26 VT1(430例)の順に多かった。 溶血性尿毒症症候群(HUS)は報告遅れ分や追加報告を含み、第33週に5例の報告があり、累積では55例となった。2006年4月からHUS発症例の届出は、病原体の分離ができない症例であっても、便から直接のベロ毒素の検出や、血清抗体の検出によって届出対象となった。55例のうち、便から直接のベロ毒素の検出によるものが1例、血清抗体の検出によるものが14例届け出られた。死亡については、第33週までに3例の報告がみられている。しかし、HUSなどの合併症や死亡については、届け出時点以降での発生が十分反映されていない可能性があり、発生があった場合の追加・修正報告をお願いしている。 2006年も保育施設での集団発生が相次いで見られている他、飲食店や展示動物に関連した集団発生もみられている。今後も発生の多い状況が続くと予想され、その発生動向には注意が必要である。食品の取り扱いには十分注意して食中毒の予防を徹底するとともに、手洗いの励行などにより、ヒトからヒトへの二次感染を予防することが大切である。また保育施設においては、特にオムツ交換時の手洗い、園児に対する食前の手洗い指導を徹底し、簡易プールなどの衛生管理にも注意を払う必要がある。 |
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