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発生動向総覧
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1類感染症: | 報告なし | ||||||
2類感染症: |
細菌性赤痢2例(感染地域:ネパール1例、マダガスカル1例) 腸チフス1例(感染地域:インド) |
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3類感染症: | 腸管出血性大腸菌感染症38例(うち有症者25例、HUS 1例) 感染地域:すべて国内 国内の多い感染地:神奈川県12例*、岡山県5例 *うち10例は、第46週に続く幼稚園に関連した集団発生 年齢群:10歳未満(19例)、10代(3例)、20代(5例)、30代(3例)、40代(2例)、50代(2例)、60代(1例)、70歳以上(3例) 血清型・毒素型:O26 VT1(14例)、O157 VT1・VT2(10例)、O157 VT2(8例)、O26 VT1・VT2(1例)、O128 VT1・VT2(1例)、その他/不明(4例) |
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4類感染症: | A型肝炎1例(感染地域:茨城県) 狂犬病1例(感染地域:フィリピン、感染源:イヌ) つつが虫病18例(感染地域:千葉県3例、青森県2例、福島県2例、静岡県2例、広島県2例、高知県2例、神奈川県1例、富山県1例、岐阜県1例、大分県1例、鹿児島県1例) 日本紅斑熱1例(感染地域:熊本県) マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ナイジェリア) ライム病1例(感染地域:北海道)
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5類感染症: |
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例 (遺伝子型:VanC_菌検出検体:血液) (補)他に報告遅れとして、細菌性赤痢1例(感染地域:インド)、エキノコックス症1例(多包条虫.感染地域:北海道)、急性脳炎2例(ともに病原体不明.40代1例、60代1例)などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(1.07)、広島県(0.57)、沖縄県(0.31)、大分県(0.17)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は631例の報告があり、報告数は増加した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の76%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第42週 以降、増加が続いており、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してもかなり多い状態が続いている。都道府県別では富山県(1.5)、北海道(1.3)、長崎県(1.1)、長野県(1.1)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は微増し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い状態が続いている。都道府県別では北海道(4.2)、鳥取県(3.8)、新潟県(3.3)、富山県(2.9)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第39週以降、増加が続いており、過去5年間の同時期と比較してもかなり多い状態が続いている。都道府県別では富山県(42.4)、群馬県(33.8)、三重県(33.5)、福井県(33.2)、宮崎県(32.7)が多い。水痘の定点当たり報告数は第43週より増加が続いている。都道府県別では福井県(3.2)、群馬県(2.6)、宮城県(2.5)、北海道(2.3)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第42週以降、減少が続いている。都道府県別では山形県(2.9)、大分県(1.5)、秋田県(1.1)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は横ばいであったが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では岩手県(1.03)、宮城県(0.93)、富山県(0.62)が多い。百日咳の定点当たり報告数は3週連続して減少した。都道府県別では徳島県(0.06)、広島県(0.03)が多い。風しんの定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では栃木県、東京都、兵庫県、広島県から各1例の報告であった。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は3週連続して減少した。都道府県別では宮城県(0.31)、岩手県(0.15)、福島県(0.10)が多い。麻しんの定点当たり報告数は減少した。都道府県別では、岡山県から1例の報告のみであった。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では新潟県(2.6)、青森県(2.0)、長野県(1.8)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い状態が続いている。都道府県別では埼玉県(2.7)、大阪府(2.5)、沖縄県(2.1)が多い。成人麻しんは、東京都から1例の報告があった。
◆ 感染性胃腸炎
感染性胃腸炎の報告数が増加するのは冬季であり、その大半はノロウイルスやロタウイルス等のウイルスが原因であると推測されている(IASR, Vol 24. No 12. p321-322)。全国約3,000カ所の小児科定点からの報告によると、患者発生のピークは例年12月の中旬以降が多く(図1)、同時期の感染性胃腸炎の、特に集団発生例の原因の多くはノロウイルスであると推測される(感染症情報センターホームページ http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph-kj.html)。
ノロウイルスは牡蠣の生食による食中毒がよく知られているが、乳幼児や高齢者の集団生活施設、あるいは病院等の医療機関においては、外部からの感染者が施設(もしくは医療機関)内にウイルスを持ち込み、集団感染を発生させることが多いものと推測される。 | ||
図1. 感染性胃腸炎の年別・週別発生状況(1996年〜2006年第47週) | 図2. 感染性胃腸炎の都道府県別報告状況(2006年第47週) |
患者の吐物や下痢便が大きな感染源となるので、感染予防として、これらに対する迅速で適切な処理が必要である。また、患者自身の手指や衣服にもウイルスが付着している可能性があるため、可能な限り患者を隔離すること等によって未発病者との接触を避けること、患者との接触後には流水・石けんによる手洗いを徹底することが重要である。
2006年第47週の感染性胃腸炎の定点当たり報告数は19.8(報告数59,779)であり、1981年7月に本疾患の発生動向調査が開始されて以来、最高値を示した。都道府県別では富山県(42.4)、群馬県(33.8)、三重県(33.5)、福井県(33.2)、宮崎県(32.7)、山口県(28.3)、大分県(28.1)、埼玉県(27.1)、愛知県(26.8)、鳥取県(25.5)の順となっており、全国平均を上回っている都道府県は西日本に多いが、中部地方や関東地方でも報告の増加している地域が目立ってきている(図2)。
例年、感染性胃腸炎の発生のピークは第50〜51週前後であり、今年は既に過去最大となってはいるものの、更に発生が増加する可能性が高いと考えられる。今後とも、感染性胃腸炎の発生動向には十分な注意が必要である。
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