発生動向総覧
*2006年4月からの報告システムの変更に伴い、疾病の並び順を一部変更しました。
◆全数報告の感染症
〈第6週コメント〉2007年2月15日集計分
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。宜しく御理解下さい。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
細菌性赤痢6例
感染地域:インドネシア2例、インド1例、カンボジア1例、ベトナム1例、インド/ネパール1例
パラチフス1例(感染地域:中国)
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3類感染症: |
腸管出血性大腸菌感染症 18例(うち有症者15例、HUS 1例)
報告の多い感染地域:広島県8例(第5週の1例とともに、幼稚園に関連した集団発生)
年齢群:10歳未満(10例)、10代(1例)、20代(1例)、30代(1例)、60代(1例)、70代(4例)
血清型・毒素型:O157 VT2(12例)、O157 VT1・VT2(4例)、O119 VT1(1例)、O157 VT1(1例) |
4類感染症: |
A型肝炎2例(感染地域:宮城県1例、大阪府1例)
デング熱1例(感染地域:インドネシア)
マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ケニア)
レジオネラ症2例(肺炎型1例、ポンティアック型1例) |
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年齢群:40代1例、80代1例
感染地域:静岡県1例、国内(都道府県不明)1例
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5類感染症: |
アメーバ赤痢3例(腸管アメーバ症2例、腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:すべて国内
感染経路:経口1例、性的接触(異性間)1例、経口/性的接触(異性間・同性間不明)1例 |
ウイルス性肝炎1例〔B型_感染経路:性的接触(異性間)〕
急性脳炎4例〔A型インフルエンザウイルス1例(1歳)、病原体不明3例(3歳、60代、70代)〕
クロイツフェルト・ヤコブ病2例(ともに孤発性プリオン病古典型)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例(30代1例、40代1例.血清群:ともにA群)
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後天性免疫不全症候群17例(無症候11例、AIDS 4例、その他2例) |
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感染地域:国内15例、タイ1例、国外(国不明)1例
感染経路:性的接触14例(異性間6例、同性間7例、異性間/同性間1例)、不明3例 |
梅毒2例(早期顕症I期1例、無症候1例)
破傷風1例(90代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例(遺伝子型:VanA 1例_菌検出検体:尿、遺伝子型:VanC 1例_菌検出検体:皮膚水疱)
(補)他に2007年分の報告遅れとして、急性脳炎2例〔A型インフルエンザウイルス1例(3歳)、病原体不明1例(4歳)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(60代.血清群:A群)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanC_菌検出検体:胆汁)などの報告があった。また、2006年分の報告遅れとして急性脳炎1例(病原体不明.10代.死亡)、クリプトスポリジウム症3例(感染地域:すべて国内、感染源:すべて焼肉・生肉・生レバー.既報告の1例とともに集団発生)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は第2週以降、増加が続いている。都道府県別では愛知県(32.7)、宮崎県(22.3)、山形県(20.2)、福岡県(18.2)、三重県(15.6)、大分県(14.3)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は2,401例の報告があり、報告数は減少した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の74%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第3週以降、増加が続いており、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してもかなり多い。都道府県別では青森県(1.07)、富山県(1.03)、石川県(0.97)、広島県(0.88)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は微増し、過去5年間の同時期と比較してもかなり多い。都道府県別では富山県(8.2)、鳥取県(7.6)、新潟県(5.3)、石川県(4.8)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では大分県(14.8)、静岡県(12.4)、徳島県(12.1)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してもかなり多い。都道府県別では宮崎県(5.6)、大分県(5.4)、沖縄県(4.2)、鹿児島県(4.1)が多い。手足口病の定点当たり報告数は微増し、過去5年間の同時期と比較してもかなり多い。都道府県別では宮崎県(3.8)、長崎県(2.5)、鹿児島県(1.9)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は第4週以降、減少が続いているが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では富山県(2.9)、石川県(1.7)、宮城県(1.5)、岩手県(1.4)が多い。百日咳の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では栃木県(0.09)、千葉県(0.05)、広島県(0.04)、佐賀県(0.04)が多い。風しんの定点当たり報告数は増加した。都道府県別では秋田県(0.03)、青森県(0.02)、宮城県(0.02)、千葉県(0.02)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加した。都道府県別では岡山県(0.28)、熊本県(0.27)、山口県(0.14)が多い。麻しんの定点当たり報告数は増加した。都道府県別では埼玉県8例、愛知県3例、広島県2例、東京都、神奈川県、大阪府、岡山県、大分県各1例の報告であった。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では新潟県(2.4)、宮崎県(1.6)、鹿児島県(1.4)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してもかなり多い。都道府県別では沖縄県(3.0)、福島県(2.9)、岡山県(2.4)が多い。成人麻しんは東京都から1例の報告であった。
注目すべき感染症
◆ インフルエンザ
インフルエンザは、インフルエンザウイルスを病原体とする急性呼吸器感染症である。1〜3日の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上)、頭痛、全身倦怠感、筋肉痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続くが、通常、1週間前後の経過で軽快する。
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感染症発生動向調査によると、2007年第6週における全国約5,000カ所のインフルエンザ定点医療機関からの定点当たり報告数は9.9(5 報告数47,188)と、第2週以降増加が続いている(図1)。
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図1. インフルエンザのシーズン別・週別発生状況(1996年第30週〜2007年第6週)
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図2. インフルエンザの都道府県別報告状況(2007年第6週)
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都道府県別では愛知県(32.7)、宮崎県(22.3)、山形県(20.2)、福岡県(18.2)、三重県(15.6)、大分県(14.3)、岐阜県(13.6)、滋賀県(12.6)の順であり、全国平均を上回っている府県は中部、近畿、九州地方に多い(図2)。2006/07シーズンでは、2006年第36週以降これまでに94,744例の報告があり、年齢別では5〜9歳が28.7%と最も多く、次いで10〜14歳(24.0%)、0〜4歳(18.7%)の順となっている(図3)。
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図3. インフルエンザの報告症例の年齢別割合(2006年第36週〜2007年第6週) |
図4. 2006/07シーズンにおけるインフルエンザウイルスの分離状況(2006年第36週〜2007年第6週) |
図5. 2006/07シーズンにおけるインフルエンザウイルス分離の週別推移(2006年第36週〜2007年第6週) |
第36週以降これまでに全国の衛生研究所から報告されたインフルエンザウイルスの分離報告(総報告数437)では、AH3亜型(A香港型)57.7%(報告数252例)、B型33.9%(148例)、AH1亜型(Aソ連型)8.5%(37例)である(図4)。この様にAH3亜型が最も多いが、最近ではB型の報告数も増加している(図5)。
今シーズンのインフルエンザの流行は1月中旬(2007年第3週)から始まっており、今後も報告数は増加するものと考えられる。インフルエンザの発生動向には注意深い観察が必要である。
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