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発生動向総覧
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1類感染症: | 報告なし | ||||||||||
2類感染症: | 結核 47例 | ||||||||||
3類感染症: | 細菌性赤痢 6例(感染地域:インドネシア5例、インド1例) 腸管出血性大腸菌感染症 16例(うち有症者12例、HUSなし)
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4類感染症: | E型肝炎1例(感染地域:宮城県.感染源:不明) A型肝炎1例(感染地域:長崎県) デング熱1例(感染地域:インドネシア) マラリア 2例
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5類感染症: |
梅毒5例(早期顕症II期2例、無症候3例) バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanC_菌検出検体:血液) (補)他にバンコマイシン耐性腸球菌感染症1例の報告があったが、削除予定。また、報告遅れとして、細菌性赤痢1例(感染地域:インド)、急性脳炎2例〔ともにA型インフルエンザウイルス(1歳、3歳)〕、髄膜炎菌性髄膜炎1例(感染地域:国内)などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は3週連続で減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では青森県(22.5)、沖縄県(22.3)、宮崎県(16.7)、 福井県(15.5)が多い
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は290例の報告があり、報告数は減少した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約82%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では富山県(0.83)、山形県(0.73)、島根県(0.65)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第11週以降減少が続いている。都道府県別では富山県(4.1)、石川県(2.8)、山口県(2.3)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では福井県(14.3)、宮崎県(12.7)、愛媛県(10.3)が多い。水痘の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では宮崎県(5.5)、沖縄県(4.6)、鹿児島県(4.0)が多い。手足口病の定点当たり報告数は3週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では佐賀県(1.4)、宮崎県(1.3)、長崎県(1.0)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では富山県(2.6)、石川県(2.6)、北海道(1.8)、長野県(1.4)が多い。百日咳の定点当たり報告数は微減した。都道府県別では栃木県(0.06)、千葉県(0.06)、岐阜県(0.04)が多い。風しんの報告数は微減した。都道府県別では宮城県、埼玉県、千葉県、富山県、大阪府、兵庫県から各1例の報告であった。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は微増した。都道府県別では岩手県(0.26)、広島県(0.19)、長崎県(0.16)が多い。麻しんの報告数は2週連続で増加した。都道府県別では埼玉県12例、東京都6例、神奈川県4例、愛知県、兵庫県から各2例、宮城県、茨城県、栃木県、群馬県、京都府、大阪府から各1例の報告があった。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では高知県(1.8)、秋田県(1.8)、三重県(1.5)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では埼玉県(1.8)、福島県(1.7)、沖縄県(1.6)が多い。成人麻しんの報告数は5例であり、東京都から2例、宮城県、神奈川県、長野県から各1例の報告があった
◆ 麻しん
麻しんは空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染、接触感染と様々な感染経路を示す疾患であり、その感染力は極めて強い。特に4月は入学(園)式、始業式、更には入社式等、多数の者が一堂に会して空間を共有する機会が多く、これらの行事に参加した者に麻しんウイルスが集団感染し、潜伏期間を経た4月中旬以降に、各地で麻しんのアウトブレイクが発生することはこれまでにもよくみられた。麻しんに対して免疫を持たない者が感染した場合は、10日間前後の潜伏期を経て発症し、カタル期(2〜4日間)、発疹期(3〜5日間)、回復期へと続いていく。先進国では致死率は低下しているものの、合併症発症率、入院率はわが国においても高く、未だ重篤な疾患であることには変わりはない。最近では比較的年長のワクチン既接種者において、非典型的な症状を呈する修飾麻しんを発症する例がしばしばみられており、この場合は潜伏期間が延長する場合も少なくない。
感染症発生動向調査によると、2007年第14週の小児科定点(全国約3,000カ所)からの麻しんの報告数は32(定点当たり報告数0.01)であり、前週の報告数26を更に上回った(図1)。関東地域からの報告数が多く、埼玉県12、東京都6、神奈川県4、茨城県、栃木県、群馬県各1となっており、埼玉県、東京都、神奈川県を中心とした関東地域からの総報告数は25と全体の約78%を占めている。
図1. 麻しんの年別・週別発生状況(1997年〜2007年第14週) | 図2. 麻しんの都道府県別累積報告状況(2007年第1〜14週) | 図3. 主要都道府県における麻しんの報告の週別推移(2006年第36週〜2007年第14週) |
累積報告数の年次別推移をみると、2001年の流行以降は年々大幅な減少が続き、2005年、2006年と2年連続して報告数は500台となっている。更に累積報告の年齢別割合をみると、2000年以降2006年までは例年1歳児からの報告数が最多であり、次いで0歳児の順となっていたが、2007年では10〜14歳からの報告数が27.8%と最多であり、次いで0歳児(18.3%)、1歳児(16.6%)の順となっている(図4)。
2007年第14週までの基幹定点(全国約450カ所)からの成人麻しんの累積報告数は47であるが、第10週以降の5週間の累積報告数は34と増加しており、特に東京都(18)、神奈川県(5)を中心とした関東地域からの報告が目立つ(図5)。
現在埼玉県、東京都を中心とした関東地域では麻しんが流行しており、既に学校や施設等における入学(園)式、始業式の実施を経て、今後4〜6月にかけて流行は更に拡大する可能性が高いと危惧される。麻しんワクチン未接種で麻しん未罹患の方は、至急ワクチン(麻疹ワクチンもしくは麻疹・風疹混合ワクチン)の接種が勧められる(→ 詳細)。
麻しんは国内からの排除(elimination)を目標とすべき疾患であり、そのためには地域的な流行は積極的に阻止されなければならない。麻しんの流行を阻止するためには、1歳になったらすぐの1回目と学童期前の2回目を含めた麻しん関連ワクチンのより積極的な勧奨が必要であると共に、1例でも発生すればすぐに対応を講じる等の対策が重要である。
以下に、麻しん関連情報として感染症情報センターのホームページに掲載されている主な項目とそのURLを挙げる。麻しん対策として活用いただければ幸いである。
○ 麻疹流行情報(感染症情報センター)
○ 麻疹(国内情報:医療機関での麻疹対応について、保育園・幼稚園・学校等での麻しん患者発生時の対応マニュアル等)
○ 感染症の話「麻疹」
○ 「麻疹風疹混合ワクチンを1歳のお誕生日のプレゼントにしましょう」ポスター
○ 「小学校入学準備に2回目の麻疹・風疹ワクチンを!」ポスター
○ 2006年度第2期麻疹・風疹ワクチン接種に関する全国調査−2006年10月1日現在中間評価−:
○ 麻疹発生DB(データベース)
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