発生動向総覧
*2007年4月からの法改正に伴い、疾病の追加および並び順を一部変更しました。
〈第15週コメント〉 4月18日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 98例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢10例(感染地域:埼玉県6例*、インド2例、カンボジア1例、フィリピン1例)
*知的障害児施設における集団発生
腸管出血性大腸菌感染症13例(うち有症者12例、HUS 2例を含む)
感染地域:石川県3例、栃木県1例、東京都1例、福井県1例、岐阜県1例、京都府1例、大阪府1例、鳥取県1例、島根県1例、高知県1例、宮崎県1例
年齢群:10歳未満(7例)、10代(1例)、30代(1例)、50代(3例)、70代(1例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(4例)、O157 VT2(2例)、O26 VT1(1例)、O125 VT1(1例)、O146 VT2(1例)、その他/不明(4例) |
4類感染症: |
A型肝炎3例〔感染地域:国内(都道府県不明)1例、ペルー1例、タイ/バングラデシュ1例〕
エキノコックス症1例(多包条虫_感染地域:北海道)
デング熱1例(感染地域:インドネシア/インド) マラリア 3例
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三日熱1例(感染地域:ナイジェリア)
卵形1例(感染地域:ウガンダ)
熱帯熱1例(感染地域:ケニア) |
レジオネラ症3例(すべて肺炎型)
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年齢群:50代1例、60代1例、70代1例
感染地域:京都府1例、兵庫県1例、国外(国不明)1例
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レプトスピラ症1例(感染地域:東京都.感染源:ネズミ)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢5例(すべて腸管アメーバ症) |
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感染地域:国内4例、香港1例
感染経路:経口1例、性的接触2例(同性間1例、異性間・同性間不明1例)、不明2例
後天性免疫不全症候群15例(無症候10例、AIDS 4例、その他1例) |
ウイルス性肝炎1例〔B型_感染経路:性的接触(異性間・同性間不明)〕
急性脳炎1例〔病原体不明(1歳)〕
クロイツフェルト・ヤコブ病2例(ともに孤発性プリオン病古典型)
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感染地域:国内14例、ブラジル1例
感染経路:性的接触14例(異性間4例、同性間9例、異性間・同性間不明1例)、不明1例 |
ジアルジア症1例(感染地域:国内)
梅毒6例(早期顕症I期1例、早期顕症II期1例、晩期顕症2例、無症候2例)
破傷風1例(40代)
(補)他に報告遅れとして、細菌性赤痢4例(感染地域:インド2例、ベトナム1例、カンボジア1例)、E型肝炎1例(感染地域:大阪府.感染源:生豚肉)、急性脳炎8例〔A型インフルエンザウイルス4例(0歳、3歳、7歳2例)、ノロウイルス2例(2歳、6歳)、病原体不明2例(20代、70代)〕、髄膜炎菌性髄膜炎1例(感染地域:国内)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanC_菌検出検体:胆汁)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は第12週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では沖縄県(18.1)、青森県(15.6)、石川県(15.1)、宮崎県(14.9)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は317例の報告があり、報告数は増加した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約81%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では富山県(0.79)、島根県(0.70)、鳥取県(0.58)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では富山県(4.7)、石川県(3.1)、北海道(3.1)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福井県(16.7)、宮崎県(12.4)、大分県(10.8)が多い。水痘の定点当たり報告数は微増した。都道府県別では宮崎県(4.7)、富山県(3.7)、佐賀県(3.6)が多い。手足口病の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(1.3)、佐賀県(1.3)、鹿児島県(1.2)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は3週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では富山県(3.8)、石川県(3.2)、長野県(1.9)、北海道(1.9)が多い。百日咳の定点当たり報告数は微減した。都道府県別では長野県(0.07)、栃木県(0.06)、千葉県(0.05)、徳島県(0.05)が多い。風しんの報告数は微減した。都道府県別では北海道、埼玉県、京都府、大阪府から各1例の報告であった。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加した。都道府県別では岩手県(0.33)、長崎県(0.18)、福岡県(0.15)が多い。麻しんの報告数は3週連続で増加した。都道府県別では東京都10例、埼玉県9例、茨城県、神奈川県から各3例、香川県2例、秋田県、栃木県、千葉県、新潟県、長野県、愛知県、鹿児島県から各1例の報告があった。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では新潟県(1.6)、青森県(1.3)、秋田県(1.1)、三重県(1.1)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では沖縄県(3.4)、群馬県(1.9)、青森県(1.2)が多い。成人麻しんの報告数は14例と増加し、東京都7例、神奈川県3例、埼玉県2例、宮城県、茨城県から各1例の報告があった。
〈3月コメント〉
◆性感染症について 2007年4月11日集計分 性感染症定点数:953
(産婦人科・産科・婦人科:456、泌尿器科:382、皮膚科102、性病科13)
●月別推移
2007年3月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.51(男1.12、女1.39)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.87(男0.36、女0.52)、尖圭コンジローマが0.56(男0.30、女0.26)、淋菌感染症が0.92(男0.76、女0.16)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。
前月に比べると、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマは男女ともに増加し、淋菌感染症は男性で増加、女性で減少した(「グラフ総覧」参照)。男女別に過去5年間の同時期と比較すると、性器クラミジア感染症では男性で平均-1標準偏差(SD)、女性で-2SDを下回り、淋菌感染症では男性で-2SDを、女性で-1SDを下回った(図2)。
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図1.各性感染症が総報告数に占める割合(3月) |
●男女別・年齢階級別
年齢群(0歳、1〜4歳、5〜69歳は5歳毎、および70歳以上)にみた定点当たり報告数のピークは、男性では性器クラミジア感染症が20〜24歳、性器ヘルペスウイルス感染症が25〜29歳、30〜34歳及び40〜44歳、尖圭コンジローマが30〜34歳、淋菌感染症が25〜29歳であったが、女性では性器クラミジア感染、尖圭コンジローマ、淋菌感染症が20〜24歳、性器ヘルペスウイルス感染症が25〜29歳であり、女性の罹患年齢が男性に比べてやや若い傾向が認められた(図3)。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症では男女ともに、ピーク以降、年齢が高くなるに従って減少傾向が顕著であり、男性では60代以降、女性では50代以降の報告はないか、あっても僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症では男女ともに、50代以降の報告も少なくない。
年齢群毎にみた男女の比較では、淋菌感染症では全ての年齢群において男性が女性よりも多いが、性器クラミジア感染症では15〜29歳、性器ヘルペスウイルス感染症では15〜39歳および50〜54歳、70歳以上、尖圭コンジローマでは15〜24歳の年齢群において、女性が男性よりも多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較についてはそれらの比率の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年齢層(15〜29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に図4に示した。2001年以降、男女ともに性器クラミジア感染症と淋菌感染症は減少傾向がみられ、性器ヘルペスウイルス感染症と尖圭コンジローマはほぼ横ばい傾向である。前月との比較では、男性では4疾患すべてが増加し、女性では性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマは増加し、淋菌感染症は減少した。
◆薬剤耐性菌について (4月11日集計分)
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基幹定点数(3月):458.
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
4.26(前月:4.14、前年同月:4.01)
定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。3月は前月より増加し、過去7年間の同月との比較では上位に属した。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
0.78(前月:0.79、前年同月:0.97)
定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7〜9月)に少なく推移している。3月は前月とほぼ同じで、過去7年間の同月との比較では下位に属した。
薬剤耐性緑膿菌感染症
0.10(前月:0.10、前年同月:0.08)
定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。3月は前月と変わらず、過去7年間の同月との比較では中位に属した。 |
●年齢階級別
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MRSA感染症
…高齢者に多く、70歳以上が全体の67%を占めている(図1:PDF参照)。
PRSP感染症 小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の46%を占める一方、70歳以上が全体の28%を占めている(図2:PDF参照)。
薬剤耐性緑膿菌感染症 高齢者に多く、70歳以上が全体の62%を占めている(図3:PDF参照)。
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=2.0:1
PRSP感染症…男:女=1.8:1
薬剤耐性緑膿菌感染症…男:女=4.0:1
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●都道府県別
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MRSA感染症
定点当たり報告数は秋田県(7.5)、高知県(7.0)、栃木県(6.7)が多い。
PRSP感染症
定点当たり報告数は千葉県(5.4)、福井県(3.0)、沖縄県(2.3)が多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症
報告総数が45件のうち約半数(20件)が和歌山県からの報告である。その他、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
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注目すべき感染症
◆ 麻しん
麻しんは麻しんウイルス(Paramyxovirus科Morbillivirus属)によって引き起こされる感染症であるが、空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染、接触感染と様々な感染経路を示し、その感染力は極めて強い。麻しんウイルスに免疫を持たないヒトが同ウイルスに曝露・感染した場合、10日間前後の潜伏期間を経て前駆期(カタル期:38℃前後の発熱、倦怠感、咳・鼻水等の上気道炎症状、結膜炎症状が2〜4日間続く。経過中、頬粘膜の臼歯対面付近にコプリック斑が出現する)、発疹期(一旦体温が下降した後に39.5℃以上の高熱、頭部・顔面から四肢末端にまで広がる不正形斑状の発疹が出現し、3〜4日間続く)、回復期(解熱し、発疹は退色し、全身状態が改善する)と続き、合併症のない場合は軽快していく。合併症には肺炎、脳炎、中耳炎、クループ症候群、心筋炎、更には亜急性硬化性全脳炎(SSPE)等がある。先進国では致死率は低下しているものの、合併症発症率、入院率はわが国においても高く、未だ重篤な疾患であることには変わりはない。一度典型的な麻しんを発症した者は、通常は再び麻しんを発症することはないと考えられる。また、生ワクチンである麻しんワクチンの有効性は95%以上と高く、獲得された免疫の持続期間も長期に渡ると考えられている。
しかしながら、近年麻しん発症者数が大きく減少したことによって、麻しんウイルスに曝露・感染する機会が激減し、麻しんに対する免疫のブースター効果(免疫増強効果)を得る機会が少なくなっている。そのため、一部のワクチン既接種者においては麻しんウイルスに対する免疫が減衰している場合があると思われる。また最近では比較的年長のワクチン既接種者において、修飾麻しんとして発症する例がしばしばみられるようになってきており、この場合は潜伏期間の延長や、非典型的な症状を呈する場合も少なくない。麻しんは春から夏にかけて流行する場合が多いが、特に4月から5月にかけては、入学(園)式、始業式、入社式等、多数の者が一堂に会する機会が多く、このような行事をきっかけとした麻しんの集団発生と地域への感染拡大がしばしばみられている。
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感染症発生動向調査によると、2007年第15週の全国約3,000カ所の小児科定点からの麻しんの報告数は34(定点当たり報告数0.01)であり、前週の報告数32を更に上回った(図1)。都道府県別では東京都10、埼玉県9、茨城県、神奈川県から各3、香川県2、秋田県、栃木県、千葉県、新潟県、長野県、愛知県、鹿児島県から各1の順であり、東京都、埼玉県を中心とした関東地域からの報告数は27と多くを占めている。
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図1. 麻しんの年別・週別発生状況(1997年〜2007年第15週)
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図2. 麻しんの都道府県別累積報告状況(2007年第1〜15週)
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2007年第1週以降の小児科定点からの患者累積報告数は216であり、埼玉県79、東京都38、千葉県15、神奈川県、愛知県各14、大阪府10と埼玉県、東京都を中心とした関東地域や、関東以外では愛知県、大阪府等の大都市圏での患者発生が目立つ(図2)。累積報告数の年齢別割合では、10〜14歳(28.4%)、0歳(17.1%)、1歳(17.1%)、8〜9歳(9.5%)の順であり、例年と比べると0歳児、1歳児を中心とした乳幼児の割合が減少している一方で、10〜14歳を中心とした比較的年長者の割合が増加している(図3)。
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図3. 麻しんの報告症例の年齢群別割合(2007年第1週〜第15週)
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図4. 成人麻しんの年別・週別発生状況(1999年〜2007年第15週)
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図5. 成人麻しんの都道府県別累積報告状況(2007年第1〜15週)
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一方、第15週の全国約450カ所の基幹定点からの成人麻しん(届出対象は15歳以上)の報告数は14(定点当たり報告数0.03)となり、2004年以降最多であった第13週の報告数11を更に上回った(図4)。
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2007年第1週から15週までの累積報告数は61であり、東京都26、神奈川県9、宮城県8、埼玉県6、茨城県4と東京都や神奈川県を中心とした関東地域や宮城県からの報告が多い。また、第10週以降の報告数は48であり、3月以降に急増している(図5)。累積報告の年齢別では20〜24歳(34.9%)、25〜29歳(22.2%)、15〜19歳(19.0%)となっており、20代の報告数が半数以上を占めている(図6)。
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図6. 成人麻しんの報告症例の年齢群別割合(2007年第1週〜第15週)
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埼玉県、東京都を中心とした関東地域では麻しんの流行が継続している。学校、企業等の
入学(園)式、始業式、入社式等の多数のヒトが一堂に会する行事等による麻しんウイルスの感染機会の増加の影響もあり、今後4〜6月にかけて流行は更に拡大する可能性が高いと危惧される。また、今回の流行は10代、20代での患者発生が多いが、これらの年代の者は従来の流行の中心であった乳幼児と比較するとその活動範囲は広く、またカタル期の段階で麻しんと気付かないままに発熱をおして通学、通勤やその他社会活動等をした場合には、非常に広範囲に麻しんウイルスの感染を拡大させる可能性が高い。また、麻しんは空気感染する疾患であることから、交通機関内や映画館、レストラン等の建造物の空間内での不特定多数の者からの感染曝露等、感染源が不明の発病者が今後多数発生することも考慮すべきである。
麻しんは国内からの排除(elimination)を目標とすべき疾患であり、地域的な流行は積極的に阻止されなければならない。そのためには、学校、施設等においては、1例でも麻しん患者が発生した場合に迅速かつ適切な対応を実施することが望まれる(「保育園・幼稚園・学校等での麻しん患者発生時の対応マニュアル」)。加えて、麻しんワクチン未接種で麻しん未罹患の方は、至急ワクチン(麻疹ワクチンもしくは麻疹・風疹混合ワクチン)の接種が勧められる。また、従来の麻しん流行の中心である乳幼児における患者発生の増大を阻止するために、1歳早期(1回目)と学童期前(2回目)のワクチン(麻疹ワクチンもしくは麻疹・風疹混合ワクチン)のより積極的な勧奨が重要である。
以下に、麻しん関連情報として感染症情報センターのホームページに掲載されている主な項目とそのURLを挙げる。麻しん対策として活用いただければ幸いである。
●麻疹(国内情報:「医療機関での麻疹の対応について」、「保育園・幼稚園・学校等での麻しん患者発生時の対応マニュアル」等):http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/index.html
●感染症の話「麻疹」:http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_03/k03_03.html
●「麻疹・風疹混合ワクチンを1歳のお誕生日のプレゼントにしましょう」ポスター: http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cpn04.html
●「小学校入学準備に2回目の麻疹・風疹ワクチンを!」ポスター: http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cpn07.html
●2006年度第2期麻疹・風疹ワクチン接種に関する全国調査−2006年10月1日現在中間評価−:http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3252.html
●麻疹発生DB(データベース):http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/meas-db.html
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