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発生動向総覧
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1類感染症: | 報告なし | ||||||||||
2類感染症: | 結核 220例 | ||||||||||
3類感染症: | 細菌性赤痢3例(感染地域:埼玉県1例*、東京都1例、愛知県1例) *第23週、24週に続く知的障害者更正施設における集団発生 腸管出血性大腸菌98例(うち有症者69例、うちHUS1例)
パラチフス1例(感染地域:富山県) |
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4類感染症: | A型肝炎1例(感染地域:北海道) オウム病2例〔感染地域:北海道1例(感染源:ハト)、福岡県1例(感染源:鳥類)〕 つつが虫病3例(感染地域:青森県1例、山形県1例、福島県1例) デング熱2例(感染地域:フィリピン1例、インドネシア1例) マラリア1例(熱帯熱1例_感染地域:インドネシア)
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5類感染症: |
破傷風1例(80代) バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanC 1例_菌検出検体:血液) (補)他に報告遅れとして、細菌性赤痢4例(感染地域:岡山県1例、ベトナム2例、フィリピン1例)、急性脳炎2例〔麻疹ウイルス1例(20代)、病原体不明1例(0歳)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例〔0歳1例、10代1例、80代1例(死亡)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanC 1例_菌検出検体:血液)などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は第12週以降減少が続いている。都道府県別では沖縄県(10.12)、鹿児島県(0.76)、宮城県(0.57)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は223例の報告があり、報告数は増加した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約70%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では富山県(1.4)、青森県(1.3)、福井県(1.1)、滋賀県(1.1)、島根県(1.1)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は3週連続で減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では宮崎県(4.0)、茨城県(3.3)、富山県(3.3)、埼玉県(3.2)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第21週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では大分県(11.5)、滋賀県(8.3)、鳥取県(7.6)、三重県(7.5)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では福井県(2.9)、宮崎県(2.9)、長野県(2.7)、福島県(2.7)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第19週以降増加が続いている。都道府県別では熊本県(4.6)、佐賀県(4.0)、福島県(3.0)、宮崎県(3.0)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では長野県(3.8)、新潟県(2.4)、宮城県(2.3)、石川県(2.2)が多い。百日咳の定点当たり報告数は横ばいであるが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では山口県(0.18)、千葉県(0.15)、徳島県(0.13)、栃木県(0.09)が多い。風しんの報告数は19例と増加した。都道府県別では大阪府6例、埼玉県3例、山梨県2例、北海道、茨城県、千葉県、東京都、神奈川県、京都府、兵庫県、広島県から各1例の順であった。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第19週以降増加が続いている。都道府県別では宮崎県(6.2)、福井県(6.2)、山口県(5.3)、鳥取県(5.2)が多い。麻しんの報告数は2週連続で減少し、23都道府県から132例の報告があった。都道府県別では大阪府18例、東京都17例、北海道16例、神奈川県15例、千葉県14例、埼玉県10例、広島県9例、宮城県6例、栃木県、福岡県から各3例、茨城県、新潟県、長野県、静岡県、愛知県、京都府、兵庫県、岡山県から各2例の順であった。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では新潟県(1.36)、愛媛県(1.24)、高知県(1.03)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では岡山県(1.6)、福島県(1.6)、宮城県(1.5)が多い。成人麻しんの報告数は第22週以降減少が続いており、18都道府県から42例の報告があった。都道府県別では、東京都10例、大阪府6例、宮城県、神奈川県から各4例、新潟県3例、長野県、大分県から各2例、北海道、秋田県、群馬県、埼玉県、千葉県、富山県、三重県、兵庫県、島根県、広島県、福岡県から各1例の報告があった。
◆ 麻しん
感染症発生動向調査によると、全国約3,000カ所の小児科定点からの麻しんの報告数は、2007年第25週は23都道府県から132例(定点当たり報告数0.044)の報告があり、2週連続で減少した(図1)。都道府県別では大阪府18例、東京都17例、北海道16例、神奈川県15例、千葉県14例、埼玉県10例、広島県9例、宮城県6例、栃木県、福岡県から各3例、茨城県、新潟県、長野県、静岡県、愛知県、京都府、兵庫県、岡山県から各2例の順となっている。南関東地域(千葉県、埼玉県、神奈川県、東京都)からの報告数が56例と2週連続で大幅な減少がみられている一方で、大阪府からの報告数は3週連続で増加がみられている(図2)。2007年第1〜25週までの小児科定点からの累積報告数は1,837例(定点当たり報告数0.61)であり、都道府県別では埼玉県、千葉県から各303例、東京都242例、神奈川県182例、北海道127例、大阪府91例、宮城県、栃木県から各64例、広島県51例、福岡県46例、山梨県37例、茨城県35例、愛知県30例、香川県26例、長野県、岡山県から各25例、鹿児島県24例、兵庫県23例、徳島県18例、新潟県14例、群馬県11例の順となっている。第25週までの麻しんの累積報告数が50例を超えているのは9都道府県であり、今回の麻しんの流行は関東地域を中心に北海道、東北、近畿、中国等の各地域に広がっている(図3)。累積報告数の年齢別割合では、0〜4歳の報告割合は37.1%(681例)と例年(55〜67%)と比べて低く、10〜14歳の報告割合は31.1%(571例)と例年(5〜15%)よりも高い状況が続いている(図4)。
図1. 麻しんの年別・週別発生状況(1997年〜2007年第25週) |
図2. 主要都道府県における麻しんの報告の週別推移(2007年第1〜25週) |
図3. 麻しんの都道府県別累積報告状況(2007年第1〜25週) |
全国約450カ所の基幹定点からの成人麻しん(届出対象は15歳以上)の2007年第25週の報告 数は18都道府県から42例(定点当たり報告数0.091)となり、前週よりもやや低下した(図5)。都道 府県別では、東京都10例、大阪府6例、宮城県、神奈川県から各4例、新潟県3例、長野県、大 分県から各2例、北海道、秋田県、群馬県、埼玉県、千葉県、富山県、三重県、兵庫県、島根県、 広島県、福岡県から各1例の報告があった。
図4. 麻しんの報告症例の年別・年齢群別割合(2000年〜2007年第25週) |
図5. 成人麻しんの年別・週別発生状況(1999年第14週〜2007年25週) |
図6. 成人麻しんの都道府県別累積報告状況(2007年第1〜25週) |
2007年第1〜25週までの累積報告数は613例(定点 当たり報告数1.34)であり、都道府県別では東京都209例、神奈川県82例、宮城県62例、埼玉県 39例、北海道19例、千葉県、大阪府から各15例、長野県14例、新潟県、広島県から各13例、群 馬県11例、茨城県10例、山形県、福島県、石川県から各9例、岩手県、島根県から各8例、山梨 県、三重県、兵庫県から各6例の順である(図6)。
麻疹の重篤な合併症である麻疹脳炎の発生は、2007年ではこれまでに第13、16、20、21、 23週に5例(10代1例、20代4例)の報告があった。
全国の衛生研究所における麻疹ウイルスの分離・検出状況をみると、2007年2月〜6月に北海道、山形県、茨城県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、石川県、山梨県、大阪府、兵庫県、島根県、広島県、福岡県、佐賀県、熊本県、大分県、宮崎県、沖縄県の20都道府県から計191件の報告がされている。そのうちウイルスの遺伝子型別が実施された128件中123件はD5型が検出されており、他にはA型4件(ワクチン接種後2週間以内に採取された検体から)とH1型1件(国外から帰国して5日後に発症した患者から)が検出されている(本号「病原体情報」参照、最新の報告数は感染症情報センターホームページ:https://nesid3g.mhlw.go.jp/Byogentai/Pdf/data61j.pdf に掲載)。
第25週の小児科定点からの麻しんの報告数は前週に引き続いて大幅な減少となり、また基幹定点からの成人麻しんの報告数は第22週以降減少が続いている。今回の流行における麻しん(及び成人麻しん)の報告数は概ね減少傾向にあるものと考えられる。しかしながらまだ大阪府等一部の地域においては報告数の増加がみられている地域も存在しており、今後ともその発生動向には注意が必要である。
今回の日本国内における麻疹の流行は、10代、20代の年齢層においての発生報告例が多いことが特徴であり、これは1978年に麻疹ワクチンが定期接種となり、大半が麻疹ワクチンを1回接種していることに加えて、麻疹ワクチンの接種から比較的長い年月が経過している世代において麻疹の流行がみられていることを示している。この流行形態は、既に麻疹が国内から排除 された米国や韓国においても、麻疹関連ワクチン(麻疹ワクチン、麻疹・風疹・おたふくかぜ混合ワクチン等)の接種者の多くが1回接種者であった時期に一時的にみられているが、我が国はこれら諸外国と比べて麻疹関連ワクチンの定期接種が1回接種であった期間が長く、現状のままでは今後も比較的短期間のうちに今回と同様の流行を繰り返していく可能性が高いものと考えられる。麻疹は未だに有効な治療法がなく、また合併症発症率や発病者の入院率も低くはない。今回と同様の流行を繰り返さないためには、[1] 現行の第1期、第2期の定期予防接種の接種率を高く維持すること、[2] 加えて今回発病者が多く見られた、大半が麻疹ワクチンを1回接種している世代に対する補足的ワクチン接種を行うための体制を構築すること、[3] 麻しんの発生動向を現行の定点把握から全数把握に変更し、麻疹が1例発生した時点で迅速に感染拡大防止対策を実行できるようにすること、等の新たな対策が必要である。そして最も重要なことは、既に数多くの国々において達成されているように、麻疹を日本国内から排除することを目標と定め、実行することであると思われる。
以下に、麻しん関連情報として感染症情報センターのホームページに掲載されている主な項目とそのURLを挙げる。麻しん対策として活用いただければ幸いである。
●麻疹(はしか)
□緊急情報
□関連情報(注目すべき感染症/速報「麻しん」、施設別発生状況(学校欠席者数)、医療機関での麻疹の対応について、保育園・幼稚園・学校等での麻しん患者発生時の対応マニュアル)
□国内情報(麻疹の現状と今後の麻疹対策について、我が国の健常人における麻疹PA抗体保有率、病原微生物情報[IASR]麻疹特集、ウイルス検出状況他)
●Q&A
●麻疹発生DB(データベース)
●予防接種の話「麻疹」
●年齢別麻疹、風疹、MMRワクチン接種率
●感染症の話「麻疹」
●「麻疹・風疹ワクチンなぜ2回接種なの?」ポスター
●「麻疹風疹混合ワクチンを1歳のお誕生日のプレゼントにしましょう」ポスター
●「小学校入学準備に2回目の麻疹・風疹ワクチンを!」ポスター
●2006年度第2期麻疹・風疹ワクチン接種に関する全国調査−2006年10月1日現在中間評価−
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