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発生動向総覧
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1類感染症: | 報告なし | ||||||||||
2類感染症: | 結核274例 | ||||||||||
3類感染症: | 細菌性赤痢17例(感染地域:埼玉県9例*、岩手県1例、ベトナム2例、タイ2 例、エジプト1例、シリア1例、インド/ネパール1例**) *第15週に始まった知的障害者更生施設に関連した集団発生 **クリプトスポリジウム症、ジアルジア症合併 腸管出血性大腸菌感染症181例 (うち有症者143例、うちHUS 8例、死亡なし)
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4類感染症: | E型肝炎1例(感染地域:岡山県.感染源:不明) デング熱3例(感染地域:フィリピン2例、バングラデシュ1例)
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5類感染症: |
(補)他に報告遅れとして、細菌性赤痢1例(感染地域:タイ)、急性脳炎5例〔HHV6 1例(1歳)、病原体不明4例(1歳2例、10代、30代)〕等の報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は第29週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では沖縄県(4.41)、宮崎県(0.31)、岐阜県(0.06)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は154例の報告があり、報告数は微増した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約78%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では長崎県(0.91)、広島県(0.82)、長野県(0.80)、佐賀県(0.70)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では鳥取県(1.42)、富山県(1.41)、埼玉県(1.22)、宮崎県(1.19)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では宮崎県(7.2)、大分県(6.2)、福井県(6.2)、島根県(5.8)が多い。水痘の定点当たり報告数は第25週以降減少が続いている。都道府県別では宮崎県(0.83)、長野県(0.78)、福井県(0.73)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第31週以降減少が続いている。都道府県別では秋田県(2.9)、山形県(2.2)、福島県(2.2)、青森県(1.9)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮城県(1.08)、長野県(0.93)、高知県(0.70)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では和歌山県(0.13)、石川県(0.10)、山口県(0.08)、愛媛県(0.08)、神奈川県(0.06)が多い。風しんの報告数は15例と増加した。都道府県別では愛知県5例、北海道3例、千葉県2例、埼玉県、岐阜県、滋賀県、鳥取県、岡山県から各1例の順であった。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は4週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では宮崎県(5.6)、新潟県(4.8)、青森県(4.5)、長野県(2.5)が多い。麻しんの報告数は2週連続で増加し、22都道府県から71例の報告があった。都道府県別では福岡県24例、大阪府14例、宮城県8例、北海道4例、岡山県3例、埼玉県2例の順であった。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では高知県(1.53)、宮崎県(1.19)、秋田県(0.83)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では沖縄県(2.71)、福島県(2.00)、富山県(0.80)が多い。成人麻しんの報告数は減少し、8都道府県から12例の報告があった。都道府県別では福岡県3例、新潟県、大阪府から各2例、北海道、宮城県、山形県、神奈川県、岐阜県から各1例の順であった。
◆ 腸管出血性大腸菌感染症
腸管出血性大腸菌感染症は、感染症法の3類感染症として、無症状病原体保有者を含む症例の報告が、診断した全ての医師に義務付けられている。無症状病原体保有者は、食品産業従事者の検便によって偶然発見される場合もあるが、届け出された患者と食事をともにした者や、接触者の調査などによって発見される場合が多い。
2007年の腸管出血性大腸菌感染症の報告数は第19週に50例を超え、第22週には東京都における集団発生の影響から100例を超えた。第23週は196例(うち東京都105例)となった後、第24週には一旦80例に減少したが、その後は毎週100例を超える報告が認められる。第28週、第30週は200例を超える報告数となり、第31週は184例、第32週は179例、第33週は145例で、第34週は181例(8月30日現在)であった(図1)。
本年第34週までの累積報告数2,479例は、過去7年間の同週までの累積報告数と比較して、2001年に次いで多い報告数である(2000年2,083例、2001年3,296例、2002年2,319例、2003年1,523例、2004年2,416例、2005年2,264例、2006年2,324例。7年間の平均2,318例)。
第34週に報告のあった181例は、有症者143例(79%)で、無症状病原体保有者が38例(21%)であった。報告の多かった都道府県は大阪府(22例)、神奈川県(14例)、熊本県(13例)、愛知県(11例)、兵庫県(10例)であった。感染地域は国内178例、トルコ2例、エジプト1例であり、国内の感染地域として多かった都道府県は、大阪府(24例)、熊本県(13例)、神奈川県(10例)、愛知県(10例)、岡山県(9例)であった。大阪府、熊本県は保育施設での集団発生に関連した報告が含まれている。性別では男性92例、女性89例であり、年齢群別では0〜9歳80例(0〜4歳53例、5〜9歳27例)、10〜19歳及び20〜29歳各25例、30〜39歳15例の順に多かった。
分離された菌の血清型・毒素型は、O157 VT1・VT2(86例)、O157 VT2(44例)、O26 VT1(13例)、O111 VT1(12例)、O121 VT2(4例)、O157 VT1(3例)、O103 VT1(2例)、O165 VT1・VT2(2例)、O91 VT1(1例)、O111 VT1・VT2(1例)、その他/不明(13例)であった。
図1. 腸管出血性大腸菌感染症の年別・週別発生状況(1999年第14週〜2007年第34週) |
図2. 腸管出血性大腸菌感染症の都道府県別累積報告状況(2007年第1〜34週) |
図3. 腸管出血性大腸菌感染症の性別・年齢別・症状の有無別報告状況(2007年第1〜34週) |
本年は学校での食中毒による大規模な集団発生が見られたほか、保育施設における集団発生は後を絶たない状況が続いている。今後も報告数の多い状況が続くと考えられるので、その発生動向には引き続き注意が必要である。
食品の取り扱いには十分注意して食中毒の予防を徹底するとともに、手洗いの励行などにより、ヒトからヒトへの二次感染を予防することが大切である。特に、保育施設における集団発生が多くみられており、腸管出血性大腸菌に限らない日ごろからの注意として、オムツ交換時の手洗い、園児に対する排便後・食事前の手洗い指導の徹底が重要である。また、簡易プールなどの衛生管理にも注意を払う必要がある。さらに2006年には、動物とのふれあい体験での感染と推定される事例が報告されており、動物との接触後の充分な手洗いにも注意する必要がある。
(補)菌の検出状況については、http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph-lj.html をご参照ください。
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