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発生動向総覧
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1類感染症: | 報告なし | ||||||||||
2類感染症: | 結核232例 | ||||||||||
3類感染症: | 細菌性赤痢5例〔感染地域:兵庫県1例、国内(都道府県不明)1例、中国1例、インドネシア1例、中国/ドイツ1例〕 腸管出血性大腸菌感染症147例(うち有症者105例、うちHUS 1例、死亡なし)
パラチフス2例(感染地域:ともにインド) |
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4類感染症: | E型肝炎1例(感染地域:福島県.感染源:豚レバー) A型肝炎1例(感染地域:フィリピン) デング熱1例(出血熱_感染地域:ベトナム) 日本紅斑熱2例(感染地域:島根県1例、宮崎県1例) マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ブルキナファソ) ライム病1例(感染地域:北海道)
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5類感染症: |
(補)他に細菌性赤痢1例(感染地域:タイ)、腸チフス1例(感染地域:ネパール)、エキノコックス症1例(多包条虫_感染地域:北海道)、日本紅斑熱1例(感染地域:島根県)、ライム病1例(感染地域:長野県)、レプトスピラ症2例(感染地域:ともに沖縄県)、急性脳炎4例〔肺炎球菌1例(60代)、病原体不明3例(1歳、10代、60代)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:胆汁)等の報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では沖縄県(5.31)、静岡県(0.06)、長崎県(0.06)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は204例の報告があり、報告数は第33週以降増加が続いている。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約72%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では高知県(1.67)、長野県(0.98)、宮崎県(0.92)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は3週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では鳥取県(2.11)、北海道(1.45)、富山県(1.34)、山口県(1.33)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は3週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では大分県(7.3)、島根県(6.3)、鳥取県(5.6)、宮崎県(5.4)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(0.97)、栃木県(0.77)、福岡県(0.77)が多い。手足口病の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では山形県(4.3)、秋田県(3.9)、岩手県(3.4)、宮城県(3.2)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では新潟県(1.20)、宮城県(1.03)、長野県(0.89)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では千葉県(0.10)、山口県(0.10)、熊本県(0.06)が多い。風しんの報告数は10例と増加した。都道府県別では大阪府3例、広島県2例、青森県、東京都、神奈川県、静岡県、兵庫県から各1例の順であった。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第31週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では新潟県(5.0)、長野県(3.8)、青森県(3.8)が多い。麻しんの報告数は増加し、16都道府県から76例の報告があった。都道府県別では福岡県22例、大阪府15例、山梨県11例、京都府7例、千葉県5例、宮城県4例、北海道、埼玉県から各2例の順であった。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では高知県(1.20)、秋田県(0.86)、宮崎県(0.75)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では沖縄県(1.7)、福島県(1.3)、宮城県(1.0)、鳥取県(1.0)が多い。成人麻しんの報告数は減少し、6都府県から6例の報告があった。都道府県別では、東京都、神奈川県、大阪府、愛媛県、福岡県、佐賀県から各1例であった。
◆ 腸管出血性大腸菌感染症
腸管出血性大腸菌感染症は、感染症法の3類感染症として、無症状病原体保有者を含む症例の報告が、診断した全ての医師に義務付けられている。無症状病原体保有者は、食品産業従事者の検便によって偶然発見される場合もあるが、届け出された患者と食事をともにした者や、接触者の調査などによって発見される場合が多い。
2007年の腸管出血性大腸菌感染症の報告数は第19週に50例を超え、第22週には東京都における集団発生の影響から100例を超えた。第23週は196例(うち東京都105例)となった後、第24週には一旦80例に減少したが、その後は毎週100例以上の報告が継続して認められている。第28週(208例)、第30週(225例)、第34週(273例)、第35週(253例)は200例を超え、第36週は147例であった(2007年9月12日現在)(図1)。本年第36週までの累積報告数2,982例は、過去7年間の同週までの累積報告数と比較して、2001年に次いで多い報告数である(2000年2,458例、2001年3,677例、2002年2,541例、2003年1,824例、2004年2,804例、2005年2,610例、2006年2,798例。7年間の平均2,673例)。
第36週に報告のあった147例は、有症者105例(71%)で、無症状病原体保有者が42例(29%)であった。報告の多かった都道府県は大阪府(14例)、東京都(11例)、京都府(11例)、福岡県(10例)、富山県(9例)、青森県(8例)であった。感染地域は国内142例、インドネシア2例、中国1例、韓国1例、国外(国不明)1例であり、国内の感染地域として多かった都道府県は、大阪府(12例)、京都府(11例)、福岡県(9例)、青森県(8例)、東京都(8例)、富山県(8例)であった。富山県は焼肉店における集団発生による報告が含まれている。性別では男性70例、女性77例であり、年齢群別では0〜9歳53例(0〜4歳33例、5〜9歳20例)、10〜19歳27例、20〜29歳24例、30〜39歳17例、50〜59歳10例、70歳以上8例、40〜49歳5例、60〜69歳3例の順に多かった。
分離された菌の血清型・毒素型は、O157 VT1・VT2(63例)、O157 VT2(34例)、O157 VT1(11例)、O26 VT1(8例)、O121 VT2(5例)、O111 VT1(3例)、O26 VT1・VT2(2例)、O103VT1(2例)、O28 VT2(1例)、O103 VT1・VT2(1例)、O111 VT1・VT2(1例)、145 VT1(1例)、O153 VT2(1例)、その他/不明(14例)であった。
図1. 腸管出血性大腸菌感染症の年別・週別発生状況(1999年第14週〜2007年第36週) |
図2. 腸管出血性大腸菌感染症の都道府県別累積報告状況(2007年第1〜36週) |
図3. 腸管出血性大腸菌感染症の性別・年齢別・症状の有無別報告状況(2007年第1〜36週) |
本年は学校での食中毒による大規模な集団発生が見られたほか、保育施設における集団発生はいまだに後を絶たない状況が続いている。また第34〜36週には飲食店における20例を超える集団発生も発生している。今後も報告数の多い状況が続くと考えられるので、その発生動向には引き続き注意が必要である。
食品の取り扱いには十分注意して食中毒の予防を徹底するとともに、手洗いの励行などにより、ヒトからヒトへの二次感染を予防することが大切である。特に、保育施設における集団発生が多くみられており、腸管出血性大腸菌に限らない日ごろからの注意として、オムツ交換時の手洗い、園児に対する排便後・食事前の手洗い指導の徹底が重要である。また、簡易プールなどの衛生管理にも注意を払う必要がある。さらに2006年には、動物とのふれあい体験での感染と推定される事例が報告されており、動物との接触後の充分な手洗いにも注意する必要がある。
保健所などによる原因食材・食品の調査の際には、感染症対策部門と食品衛生部門が連携することはもとより、食材・食品の流通の観点から都道府県を越えた発生拡大(Diffuse outbreak)も考慮し、必要に応じて関連自治体が協働して対応することも重要である。
(補)菌の検出状況については、http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph-lj.html をご参照ください。
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