発生動向総覧
*2007年4月からの法改正に伴い、疾病の追加および並び順を一部変更しました。
〈第37週コメント〉 9月20日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 241例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢12例〔感染地域:静岡県1例、国内(都道府県不明)1例、中国7例、インド2例、セネガル1例〕
腸管出血性大腸菌感染症142例(うち有症者99例、うちHUS 4例、死亡なし)
感染地域:国内139例、韓国2例、国外(国不明)1例
国内の多い感染地域:大阪府(18例)、愛知県(11例)、京都府(10例)、東京都(9例)、兵庫県(8例)
年齢群:10歳未満(43例)、10代(31例)、20代(19例)、30代(20例)、40代(7例)、50代(10例)、60代(3例)、70歳以上(9例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(72例)、O157 VT2(36例)、O26 VT1(10例)、O111 VT1(4例)、O165 VT2(3例)、O91 VT1(2例)、O157 VT1(2例)、O26 VT1・VT2(1例)、O103VT1(1例)、O111 VT1・VT2(1例)、その他/不明(10例)
腸チフス2例(感染地域:埼玉県1例、フィリピン/インドネシア1例)
パラチフス1例(感染地域:インド) |
4類感染症: |
A型肝炎2例(感染地域:新潟県1例、山口県1例)
デング熱5例(感染地域:インド2例、カンボジア1例、インドネシア1例、バングラデシュ1例)日本紅斑熱2例(感染地域:三重県1例、和歌山県1例)
マラリア2例三日熱1例_感染地域:マレーシア/韓国
原虫種不明1例_感染地域:インドネシア)
レジオネラ症13例(肺炎型12例、ポンティアック型1例)
|
|
年齢群:40代2例、50代3例、60代3例、70代2例、80代2例、90代1例感染地域:兵庫県2例、北海道1例、宮城県1例、秋田県1例、茨城県1例、福井県1例、静岡県1例、広島県1例、神奈川県/静岡県(温泉)1例、富山県(温泉)/長野県(温泉)1例、中国2例
|
レプトスピラ症2例〔感染地域:宮崎県1例(感染源:ネズミ)、マレーシア1例(感染原因:川での遊泳)〕
|
5類感染症: |
アメーバ赤痢8例(腸管アメーバ症6例、腸管外アメーバ症1例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
|
感染地域:すべて国内
感染経路:経口1例、性的接触2例(異性間1例、同性間1例)、不明5例 |
ウイルス性肝炎4例
|
|
B型2例_感染経路:ともに不明
C型2例_感染経路:ともに不明例 |
急性脳炎3例〔麻疹ウイルス1例(20代)、病原体不明2例(2歳、7歳)〕
クロイツフェルト・ヤコブ病3例(孤発性プリオン病古典型2例、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー病1例)
後天性免疫不全症候群9例(無症候5例、AIDS 2例、その他2例))
感染地域:国内8例、国外(国不明)1例
感染経路:性的接触8例(異性間1例、同性間6例、異性間及び同性間1例)、不明1例 |
髄膜炎菌性髄膜炎1例(感染地域:国内)
梅毒8例(早期顕症I期3例、早期顕症II期3例、無症候2例)
破傷風1例(60代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanC 1例_菌検出検体:創部の膿)
(補)他にマラリア1例、ウイルス性肝炎1例の報告があったが、削除予定。また、第36週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢2例(感染地域:静岡県1例、マダガスカル1例)、E型肝炎1例(感染地域:岡山県.感染源:不明)、日本紅斑熱1例(感染地域:島根県)、ライム病1例(感染地域:長野県)、レジオネラ症1例〔肺炎型.60代.感染地域:岐阜県(温泉)〕、急性脳炎2例〔ともに単純ヘルペスウイルス(20代、70代)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例(50代、60代)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例(遺伝子型:ともに不明_菌検出検体:血液1例、尿1例)等の報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では沖縄県(6.64)、大分県(0.47)、香川県(0.35)、静岡県(0.19)が多い。 小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は292例の報告があり、報告数は第33週以降増加が続いている。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約73%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では高知県(1.43)、長野県(0.85)、佐賀県(0.78)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第34週以降増加が続いており、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では山形県(1.93)、北海道(1.87)、茨城県(1.60)、鳥取県(1.58)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第34週以降増加が続いており、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では島根県(8.2)、大分県(7.3)、宮崎県(6.2)、福井県(5.1)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では大分県(0.78)、和歌山県(0.77)、福岡県(0.71)が多い。手足口病の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では山形県(4.7)、秋田県(4.1)、宮城県(3.4)、島根県(2.7)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では宮城県(0.77)、秋田県(0.66)、徳島県(0.65)が多い。百日咳の定点当たり報告数は横ばいであったが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では栃木県(0.15)、愛媛県(0.08)、千葉県(0.07)、長野県(0.07)が多い。風しんの報告数は8例と減少した。都道府県別では和歌山県2例、北海道、埼玉県、千葉県、長野県、大阪府、岡山県から各1例の順であった。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第31週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では新潟県(4.9)、山形県(3.7)、福島県(3.7)、青森県(3.4)が多い。麻しんの報告数は減少し、12都道府県から36例の報告があった。都道府県別では福岡県13例、大阪府8例、千葉県、静岡県から各3例、東京都2例の順であった。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福井県(1.09)、秋田県(0.80)、高知県(0.73)、福岡県(0.73)、長崎県(0.73)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では沖縄県(1.7)、福島県(1.4)、鳥取県(1.0)、宮城県(0.9)が多い。成人麻しんの報告数は横ばいであり、6道府県から6例の報告があった。都道府県別では、北海道、山形県、山梨県、大阪府、鳥取県、広島県から各1例であった。
(補)風しんおよびヘルパンギーナの報告数は修正予定である。
〈8月コメント〉
◆性感染症について 2007年9月11日集計分 性感染症定点数:964
(産婦人科・産科・婦人科:464、泌尿器科:396、皮膚科90、性病科14)
●月別推移 2007年8月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.64(男1.14、女1.50)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.78(男0.30、女0.47)、尖圭コンジローマが0.56(男0.32、女0.24)、淋菌感染症が1.09(男0.88、女0.20)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。
前月に比べると、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマは男女ともに減少し、淋菌感染症は男女ともに増加した(27〜30ページ「グラフ総覧」参照)。男女別に過去5年間の同時期と比較すると、性器クラミジア感染症では男性で平均-2標準偏差(SD)、女性で-1SDを下回り、性器ヘルペスウイルス感染症では男女ともに-2SDを下回り、尖圭コンジローマは女性で-1SDを下回り、淋菌感染症では男女ともに-1SDを下回った(図2)。
|
|
図1.各性感染症が総報告数に占める割合(8月) |
●男女別・年齢階級別
年齢群(0歳、1〜4歳、5〜69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では性器クラミジア感染症では25〜29歳、性器ヘルペスウイルス感染症および尖圭コンジローマでは30〜34歳、淋菌感染症では25〜29歳および30〜34歳であるのに対し、女性では4疾患ともに20〜24歳であり、女性の罹患年齢が男性に比べてやや若い傾向が認められた(図3:PDF参照)。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患は、男性では60代以降、女性では50代以降の報告はないか、あっても僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ要請のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、報告数や年齢階級別分布において明らかな変化は見られておらず、この基準変更の周知徹底が必要と考える。
年齢群毎にみた男女の比較では、淋菌感染症では全ての年齢群において男性が女性よりも報告数が多いが、性器クラミジア感染症では15〜34歳の4つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では15〜34歳、55〜59歳、65〜69歳、70歳以上、尖圭コンジローマでは15〜24歳の2つの年齢群において、女性が男性よりも多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較についてはそれらの比率の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年齢層(15〜29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に図4(PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症と淋菌感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられ、尖圭コンジローマは男女ともに2005年半ば頃から微かながら減少傾向がみられる。また性器ヘルペスウイルス感染症は男性でほぼ横ばい傾向であるが、女性では微かながら減少傾向がみられる。前月との比較では、男性で性器クラミジア感染症と性器ヘルペスウイルス感染症は減少したが、尖圭コンジローマと淋菌感染症は増加し、女性では性器クラミジア感染症と尖圭コンジローマは減少したが、性器ヘルペスウイルス感染症は同値で、淋菌感染症は増加した。
◆薬剤耐性菌について (9月11日集計分)
|
基幹定点数(8月):469.
|
●月別
|
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症 4.87(前月:4.42、前年同月:4.35)
定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。8月は前月より増加し、過去8年間の同月との比較では最も高かった。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
0.58(前月:0.76、前年同月:0.66)
定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7〜9月)に少なく推移している。6月以降減少が続き、過去8年間の同月との比較では低位に属した。
薬剤耐性緑膿菌感染症 0.14(前月:0.11、前年同月:0.16)
定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。8月は前月より増加し、過去8年間の同月との比較では低位に属した。
|
●年齢階級別
|
MRSA感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の62%を占めている(図1:PDF参照)
PRSP感染症
小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の56%を占める一方、70歳以上が全体の20%を占めている(図2:PDF参照)。
薬剤耐性緑膿菌感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の68%を占めている(図3:PDF参照)。
|
●性別:女性を1 として算出した男/女比
|
MRSA感染症…男:女=1.8:1
PRSP感染症…男:女=1.2:1
薬剤耐性緑膿菌感染症…男:女=2.4:1
|
●都道府県別
|
MRSA感染症 定点当たり報告数は山口県(9.2)、岐阜県(9.0)、徳島県(7.7)が多い。
PRSP感染症
定点当たり報告数は沖縄県(2.3)、奈良県(1.7)、東京都(1.5)が多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症
報告総数が65件にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
|
注目すべき感染症
◆ 腸管出血性大腸菌感染症
腸管出血性大腸菌感染症は、感染症法の3類感染症として、無症状病原体保有者を含む症例の報告が、診断した全ての医師に義務付けられている。無症状病原体保有者は、食品産業従事者の検便によって偶然発見される場合もあるが、届け出された患者と食事をともにした者や、接触者の調査などによって発見される場合が多い。
2007年の腸管出血性大腸菌感染症の報告数は第19週に50例を超え、第22週には東京都における集団発生の影響から100例を超えた。第23週は196例(うち東京都105例)となった後、第24週には一旦80例に減少したが、その後は毎週100例以上の報告が継続して認められている。第28週(209例)、第30週(226例)、第34週(275例)、第35週(259例)は200例を超え、第37週は142例であった(2007年9月20日現在)(図1)。本年第37週までの累積報告数は3,151例と3,000例を超え、過去7年間の同週までの累積報告数と比較して、2001年に次いで多い報告数である(2000年2,625例、2001年3,805例、2002年2,652例、2003年1,932例、2004年2,922例、2005年2,740例、2006年2,942例。7年間の平均2,803例)
|
|
図1. 腸管出血性大腸菌感染症の年別・週別発生状況(1999年第14週〜2007年第37週)
|
第37週に報告のあった142例は、有症者99例(70%)で、無症状病原体保有者が43例(30%)であった。報告の多かった都道府県は愛知県(19例)、大阪府(18例)、京都府(11例)、東京都(9例)、兵庫県(9例)であった。感染地域は国内139例、韓国2例、国外(国不明)1例であり、国内の感染地域として多かった都道府県は、大阪府(18例)、愛知県(11例)、京都府(10例)、東京都(9例)、兵庫県(8例)であった。性別では男性70例、女性72例であり、年齢群別では10歳未満43例、10〜19歳31例、30〜39歳20例、20〜29歳19例、50〜59歳10例、70歳以上9例、40〜49歳7例、60〜69歳3例の順に多かった。
分離された菌の血清型・毒素型は、O157 VT1・VT2(72例)、O157 VT2(36例)、O26 VT1(10例)、O111 VT1(4例)、O165 VT2(3例)、O91 VT1(2例)、O157 VT1(2例)、O26 VT1・VT2(1例)、O103 VT1(1例)、O111 VT1・VT2(1例)、その他/不明(10例)であった。
第1〜37週に報告された3,151例についてみると、報告の多い都道府県は、東京都(384例)、大阪府(337例)、福岡県(152例)、神奈川県(143例)、千葉県(132例)、兵庫県(129例)、埼玉県(111例)、石川県(111例)、愛知県(104例)、熊本県(102例)であった(図2)。感染地域は国内が3,101例(98%)であり、国外が39例、国内か国外か不明が11例であった。
症状の有無別では有症者2,122例(67%)、無症状病原体保有者1,029例(33%)、性別では男性1,407例(45%)、女性1,744例(55%)であり、年齢群別では0〜9歳1,150例(0〜4歳724例、5〜9歳426例)、20〜29歳498例、10〜19歳492例、30〜39歳327例、50〜59歳206例、40〜49歳158例、60〜69歳153例、70〜79歳97例、80歳以上70例の順に多かった。また、30歳未満の年齢群では有症状者が多く、30〜39歳及び40〜49歳は無症状病原体保有者が多くなるが、50歳以上の年齢群では再び有症者が多くなる傾向が認められる(図3)
分離された菌の血清型・毒素型は、O157 VT1・VT2(1,286例)、O157 VT2(939例)、O26VT1(315例)、O111 VT1(93例)、O111 VT1・VT2(85例)、O157 VT1(64例)、O121 VT2(61例)、O103 VT1(55例)が多かった。
溶血性尿毒症症候群(HUS)は、届け出時点以降の追加報告を含め、第37までに83例が報告されている。本疾患の届出の基準としては、大腸菌の分離・同定かつ分離菌におけるベロ毒素の確認が必要であるが、溶血性尿毒症症候群(HUS)発症例に限り、2006年4月からは、便からのベロ毒素の検出や血清抗体(O抗原凝集抗体あるいはベロ毒素抗体)の検出によって診断された場合も届け出の対象とされている。83例のうち29例は菌が分離されず、そのうち2例が便からのベロ毒素の検出、27例が血清抗体の検出による診断として届け出られたものである。死亡例は、届け出時点以降の追加報告により、第37週までに3例(3歳、50代、80代)報告されている。届け出時点以降でのHUSなどの合併症や死亡は十分反映されていない可能性があるので、発生があった場合には追加・修正報告していただくようお願いしている。
本年は、食中毒による学校の食堂での大規模な集団発生が見られたほか、地域の飲食店での集団発生も散見されている。また、保育施設における二次感染を中心とした集団発生も多数認められている。今後も報告数の多い状況が続くと考えられるので、その発生動向には引き続き注意が必要である。
食品の取り扱いには十分注意して食中毒の予防を徹底するとともに、手洗いの励行などにより、ヒトからヒトへの二次感染を予防することが大切である。特に、保育施設における集団発生が多くみられており、腸管出血性大腸菌に限らない日ごろからの注意として、オムツ交換時の手洗い、園児に対する排便後・食事前の手洗い指導の徹底が重要である。また、簡易プールなどの衛生管理にも注意を払う必要がある。さらに2006年には、動物とのふれあい体験での感染と推定される事例が報告されており、動物との接触後の充分な手洗いにも注意する必要がある。
保健所などによる原因食材・食品の調査の際には、感染症対策部門と食品衛生部門が連携することはもとより、食材・食品の流通の観点から都道府県を越えた発生拡大(Diffuse outbreak)も考慮し、必要に応じて関連自治体が協働して対応することも重要である。
|
|
図2. 腸管出血性大腸菌感染症の都道府県別累積報告状況(2007年第1〜37週)
|
図3. 腸管出血性大腸菌感染症の性別・年齢別・症状の有無別報告状況(2007年第1〜37週)
|
|