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発生動向総覧
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1類感染症: | 報告なし | ||||||||||||
2類感染症: | 結核62例 | ||||||||||||
3類感染症: | 細菌性赤痢5例 感染地域:国内(都道府県不明)1例、カンボジア3例、インド1例) 腸管出血性大腸菌感染症2例 (うち有症者1例、HUSなし) 感染地域:感染地域:京都府1例、福岡県1例 年齢群:10歳未満(1例)、60代(1例) 血清型・毒素型:ともにO157 VT2 |
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4類感染症: | つつが虫病4例(感染地域: 鹿児島県3例、東京都1例) デング熱2例感染地域(ベトナム1例、パプアニューギニア1例) レジオネラ症1例(すべて肺炎型) |
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5類感染症: |
破傷風1例(年齢群:50代) 麻しん34例〔麻しん(検査診断例5例、臨床診断例29例)、修飾麻しん(検査診断例)0例〕
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、 疾患により小児科定点(約3,000カ所)、インフルエンザ(小 児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基幹定点(約500カ所)に分かれています。また、定 点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。。
インフルエンザ:
定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では青森県(7.8)、香川県(7.7)、岩手県
(7.6)、徳島県(6.6)、沖縄県(5.0)、岐阜県(4.8)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は1,671例の報告があり、報告数は減少した。年齢別では、1歳以下の報告
数が全体の約80%を占めている咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では長崎県(0.64)、佐賀県(0.48)、岐阜県(0.45)が多い。
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では富 山県(1.9)、山口県(1.5)、茨城県(1.3)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では福井県(12.3)、徳 島県(12.2)、大分県(12.1)、三重県(10.6)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では石川県(4.9)、新潟県(4.1)、大分県(3.8) が多い。手足口病の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では鳥取県(0.84)、沖縄県 (0.74)、大分県(0.67)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数はは2週連続で減少した。都道府県別では福井県(0.77)、新潟 県(0.64)、大分県(0.58)が多い。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では徳島県(0.09)、岐阜県 (0.06)、香川県(0.04)が多い。ヘルパンギーナ定点当たりの報告数はは第50週以降減少が続いている。都道府県別では岐阜県 (0.19)、岩手県(0.10)、三重県(0.07)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では岐阜県(0.85)、 群馬県(0.79)、秋田県(0.74)が多い。
基幹定点報告疾患
マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では沖縄県(2.6)、福島県 (1.3)、埼玉県(1.0)が多い。
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: | 報告なし | ||||||||||||||
2類感染症: | コレラ1例(感染地域:インド) 細菌性赤痢10例(感染地域::宮城県1例、栃木県1例、千葉県1例、京都府1例、和歌山県1例、インド4例、べトナム/カンボジア1例) |
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3類感染症: |
腸管出血性大腸菌感染症 15例 :うち有症者13例、HUS 2例
パラチフス1例(感染地域:インド) |
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4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:北海道.感染源:不明)
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5類感染症: |
梅毒5例(早期顕症II期1例、無症候4例) 破傷風1例(年齢群:60代) 風しん2例(検査診断例1例、臨床診断例1例)
(補)他に2008年第1週までに診断されたものの報告遅れとして、E型肝炎1例(感染地域:ベトナム. |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000カ所)、インフルエンザ(小
児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基幹定点(約500カ所)に分かれています。また、定
点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は増加した。都道府県別では愛知県(11.8)、香川県(11.3)、静岡県(10.8)、 三重県(10.2)、愛媛県(10.2)、岩手県(9.8)が多い。
RSウイルス感染症は2,170例の報告があり、報告数は増加した。年齢別では、1歳以下の報告 数が全体の約82%を占めている咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では佐賀県(0.87)、熊本県(0.58)、 青森県(0.56)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では石川県(3.3)、 富山県(3.0)、新潟県(2.8)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較 してやや多い。都道府県別では福井県(17.6)、愛媛県(16.4)、三重県(15.5)、宮崎県(14.8)、 滋賀県(14.7)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では新潟県(4.9)、石川県(4.7)、大分県(4.3) が多い。手足口病の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では鳥取県(0.79)、大分県(0.56)、沖 縄県(0.47)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では大分県(1.17)、新潟県(1.13)、 岩手県(0.69)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別 では岐阜県(0.23)、徳島県(0.17)、福井県(0.14)が多い。 ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加した。都道府県別では徳島県(0.22)、熊本県(0.13)、 大分県(0.11)が多い。 流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では秋田県(2.06)、宮崎県(1.06)、 群馬県(1.05)が多い。
基幹定点報告疾患
マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福島県(3.6)、沖縄県 (3.1)、岡山県(1.8)が多い。
◆ インフルエンザ
インフルエンザ(Influenza)は、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で ある。1〜3日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉 痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続く。通常は1週間前後の経過 で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴である。我が国のインフル エンザの流行は、例年12〜1月に全国的な流行が始まるが、今シーズンは例年とは異なって 2007年11月中(第47週)に全国的な流行開始の指標である定点当たり報告数1.0を上回り、流 行開始となった。 感染症発生動向調査によると、インフルエンザの定点当たり報告数は2007年第42週以降第 51週までは増加が続いていたが、冬期休暇の影響により第52週および2008年第1週の2週間連 続で減少した後、第2週は6.4(報告数30,282)と増加した(図1)。都道府県別では愛知県(11.8)、 香川県(11.3)、静岡県(10.8)、三重県(10.2)、愛媛県(10.2)、岩手県(9.8)、徳島県(9.4)、青 森県(9.1)の順となっている。殆どの地域において報告数の増加がみられているが、特に中部 地域や四国地域での増加が目立ってきている(図2)。シーズン開始の2007年第36週から2008 年第2週までの定点当たり累積報告数は38.3(累積報告数183,130)であり、年齢別では5〜9歳 38.1%、0〜4歳23.3%、10〜14歳12.4%、30〜39歳8.8%の順となっている(図3)。2007年第36週 以降のインフルエンザウイルスの分離報告数は43都道府県から1,023件であり、うちAH1亜型 933件(91.2%)、AH3亜型73件(7.1%)、B型17件(1.7%)となっており、これまでのところ国内に おけるインフルエンザ流行の原因ウイルスの大半はAH1亜型であると思われる(図4)。
図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(1998年〜2008年第2週) |
図2. インフルエンザの都道府県別報告状況(2008年第2週) |
図3. 2007/08シーズンのインフルエンザ累積報告数の年齢群別割合(2007年第36〜2008年第2週) |
図4.インフルエンザウイルス型別分離・検出報告割合(2007年第36〜2008年第2週) |
今シーズンのインフルエンザの定点当たり報告数は、2007年第42週以降増加が続いていた
ものの、第52週および2008年第1週の2週間は減少がみられた。これは学校等の冬期休暇の影
響によるものであると考えられるが、休暇が終了した第2週では、インフルエンザの患者発生報
告数は再び増加がみられている。インフルエンザの本格的な流行はこれからであろうと予想さ
れることから、今後インフルエンザの発生動向にはより注意が必要である。インフルエンザが疑
われる症状を呈した場合は、速やかに医療機関を受診して医師の診断と適切な治療を受ける
ことと、周囲への感染拡大を防止するため、マスク着用などの咳エチケットを始めとした予防措
置を取ることが重要である。
◆ 麻しん
麻しんは麻しんウイルス(Paramyxovirus科Morbillivirus属)によって引き起こされる感染症で あるが、空気感染(飛沫核感染)、飛沫感染、接触感染と様々な感染経路を示し、その感染力 は極めて強い。典型的な麻しんを発症した場合、感染後10〜12日間前後の潜伏期を経て、3 日間前後続くカタル期で発症し、その後高熱と全身の発疹を呈する発疹期に至る。感染力はこ のカタル期にもっとも強いとされている。特異的な治療法はなく、カタル期・発疹期を合わせると 1週間以上高熱が続き、入院率や肺炎、脳炎、中耳炎などの合併症発生率が未だに高い疾患 である。麻しんの二大死因は肺炎と脳炎であり、先進国における麻しんによる死亡率は0.1〜 0.2%とされている。
わが国の麻しんのサーベイランスは1981年7月に開始され、小児科定点からの報告に基づい た小児の麻しんの発生動向調査がこれまで継続されてきた。また、1999年4月に「感染症の予 防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が施行されたことに伴い、基幹定点(約500 定点)で成人に対する麻しんのサーベイランスが開始されると共に、これまで2,000定点であっ た小児科の定点数も3,000に増加された。その後2007年の12月まで、麻しん及び成人麻しんの 定点サーベイランスが実施されてきたが、(1)近年小児科定点からの報告数が大幅に減少して きたこと、(2)2007年の流行では、10代、20代での麻しん患者発生数の増加が指摘されたが、 これまでの2種類の定点把握システムでは、流行状況を正確に評価することが困難であったこ と、(3)今後2012年を目標とする国内からの麻しん排除に向けて、国内の全ての発生例を正確 かつ迅速に把握することが必要とされたこと、等の理由により、2008年1月1日より、麻しんはこれ までの定点把握による調査から、全数把握による調査対象疾病に変更となった。
2008年1月1日からの感染症発生動向調査による麻しんの全数報告によると、診断日に基づい た第2週(2008年1月13日)までの麻しんの累積報告数は19都道府県より145例(第1週55例、第2 週90例)であった。都道府県別では、神奈川県44例、北海道22例、福岡県16例、東京都13例、 秋田県10例、兵庫県9例、千葉県7例、大分県6例、埼玉県4例の順であった(図1)。確定また
は推定を含む感染地域は国内136例、フィリピン1例、東京かあるいは韓国1例、不明7例であっ
たが、国内の報告数の多い感染地域をみると、神奈川県43例が最多であり、次いで北海道22
例、東京都16例(東京都または韓国を感染地域としている1例を含む)、福岡県14例、秋田県10
例、千葉県7例、兵庫県7例、大分県5例、埼玉県4例の順であり、発生報告数の多い地域での
感染例が多かった。年齢別報告数をみると、10〜14歳、15〜19歳が共に32例(22.1%)と最も
多く、次いで0〜4歳(0歳11例、1歳8例、2歳3例、3歳3例、4歳1例の計26例、17.9%)、25〜29
歳(19例、13.1%)、5〜9歳、20〜24歳が共に11例(7.6%)、30〜34歳(10例、6.9%)の順であっ
た(図2)。麻しんワクチン接種歴別の報告数をみると、接種歴有り18例(12.4%)、接種歴無し
87例(60.0%)、接種歴不明40例(27.6%)であり、接種歴無しが最多であった(図3)。2回接種
者での報告はなかった。また、比較的低年齢の発病者では接種歴無しが多く、高年齢の発病
者では接種歴不明が多かった(図4)。脳炎の合併や死亡例の報告はなかった。
図1. 麻しんの累積報告の都道府県別発生状況(2008年第1〜2週) |
図2. 麻しんの報告症例の年別割合(2008年第1〜2週) |
図3. 麻しんの報告症例のワクチン接種別割合(2008年第1〜2週) |
図4. 麻しんの年齢別ワクチン接種歴別報告状況(2008年第1〜2週) |
感染症発生動向調査による麻しんの全数報告は、まだ始まったばかりであり、報告が遅れて いる可能性もあるが、昨年12月に定点疾患としての報告数の増加がみられていた神奈川県や北 海道等の地域において継続して麻しん患者が発生していることがわかる。また、昨年の流行時 に推定されていた通り、10代、20代での患者発生割合が多く、特に10代(10〜19歳)の患者発 生割合は40%以上を占めている(図2)。麻しんは例年春季から夏季にかけて発生報告数が増 加する疾患であり、今後麻しんの報告数が大きく増加してくることは十分に予想される。昨年と 同様の流行を招かないためにも、全数把握調査による麻しん発生状況の迅速で正確な把握と、 それに続く対応が重要であると思われる。
日本を含むWHO西太平洋地域では、2012年が麻しん排除(elimination)の目標年として設定 され、国際的な責務として各国に対策が求められている。我が国における対策としては、(1)積 極的な感受性者対策、すなわち95%以上の予防接種率の達成・維持のための取り組み(1歳代、 小学校就学前1年間、さらに2008年4月1日より5年間の期限付きで実施される、中学校1年生、高 校3年生相当世代への定期接種としての予防接種計画)、(2)2008年1月1日からの全数把握制度 による麻しんサーベイランス、(3)麻しん発生時の迅速な対応、が対策の三本柱として実施され つつある。これらを可能な限り円滑に導入・実施することを目的として、国は「国の麻しん対策 委員会」を設置し、「都道府県を主体とした麻しん対策会議」の設立等をはじめとした都道府県 レベルの活動支援を実践することとしている。2月には、国の麻しん対策委員会が開催され、ま た全国各地における行政担当者を対象としたブロック会議が開催される予定である。麻しん排 除のためには、関係各機関との意思統一とより一層の連携が重要である。
以下に、麻しん関連情報として感染症情報センターのホームページに掲載されている主な項 目とそのURLを挙げる。麻しん対策として活用いただければ幸いである。
■麻疹(はしか):http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/index.html
□緊急情報「2012年麻疹排除(Elimination)に向けて」
●「麻疹」の届出基準・届け出様式、「風疹」の届出基準・届出様式、ポスター
●2008年4月1日以降の予防接種スケジュール
□対策・ガイドラインなど
●麻疹の現状と今後の麻疹対策について
●都道府県による麻しん対策会議のガイドライン(案)
●麻しん排除に向けた積極的疫学調査ガイドライン(案)第一版
●医師による麻しん届出ガイドライン(案)第二版
●医療機関での麻疹対応ガイドライン第二版
●保育所・幼稚園・学校等における麻しん対応ガイドライン第二版
□国内情報
●注目すべき感染症/速報
●病原微生物検出情報[IASR]麻疹特集・速報、ウイルス分離・検出状況他)
●わが国の健常人における麻疹PA抗体保有率
□関連情報
●予防接種法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令及び予防接種法施行 規則及び予防接種実施規則の一部を改正する省令
●麻しんに関する特定感染症予防指針
●予防接種法施行規則の一部を改正する省令
■Q&A:http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/QA.html
■麻疹発生DB(データベース):http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/meas-db.html
■予防接種の話「麻疹」:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/b-measles.html
■年齢別麻疹、風疹、MMRワクチン接種率:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/atopics/atpcs001.html
■感染症の話「麻疹」:http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_03/k03_03.html
■「麻疹・風疹ワクチンなぜ2回接種なの?」ポスター:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cpn01.html
■「麻疹風疹混合ワクチンを1歳のお誕生日のプレゼントにしましょう」ポスター: http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cpn04.html
■「小学校入学準備に2回目の麻疹・風疹ワクチンを!」ポスター: http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cpn07.html
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