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発生動向総覧
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1類感染症: | 報告なし | ||||||||||||||||||
2類感染症: | 結核287例 | ||||||||||||||||||
3類感染症: | 細菌性赤痢6例(感染地域:宮城県2例、大阪府2例、千葉県1例、インドネシア1例) 腸管出血性大腸菌感染症12例(うち有症者5例、HUSなし)
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4類感染症: | E型肝炎2例(感染地域(感染源):東京都1例(感染源:不明)、長崎県1例(感染源:猪肉)) A型肝炎10例(感染地域:東京都1例、広島県1例、インド6例、インド/ネパール2例) つつが虫病1例(感染地域:鹿児島県)
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5類感染症: |
梅毒10例(早期顕症I期4例、早期顕症II期1例、晩期顕症1例、無症候4例) バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例(遺伝子型 VanC 1例_菌検出検体:血液 遺伝子型不明1例_菌検出検体:腹膜透析廃液)
(補)他に2008年第3週までに診断されたも のの報告遅れとして、細菌性赤痢1例(感染地域 :インドネシア)、腸チフス1例(感染地域:インド)、レジオネラ症3例〔感染地域:静岡県1例(温泉)、愛知県1例(温泉)、岡山県1例(温泉)〕、急性脳炎5例〔(A型インフルエンザウイルス2例(0歳、30代.うち1例死亡) 、HHV6 1例(1歳)、病原体不明2例(3歳、30代)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(40代)、バンコマイシン耐 性腸球菌感染症1例(遺伝子型 VanC_菌検出検体:血液透析用血管留置カテーテル)などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患によ
り小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基
幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は3週連続で増加した。都道府県別では三重県(42.8)、高知県(31.4)、愛知 県(31.2)、静岡県(26.5)、石川県(26.0)、香川県(26.0)、宮崎県(25.9)、福井県(25.8)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は1,534例の報告があり、報告数は増加した。年齢別では1歳以下の報告数 が全体の約78%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福井県(0.68)、長崎県(0.50)、 大分県(0.50)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は3週連続で増加した。都道府県別では石 川県(4.1)、富山県(4.1)、茨城県(4.0)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(16.7)、島根県(15.9)、 鳥取県(15.4)、福井県(14.8)、大分県(14.1)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では新潟県(4.0)、石川県(3.6)、福岡県(3.5) が多い。手足口病の定点当たり報告数は3週連続で増加した。都道府県別では沖縄県(1.09)、大分県 (1.08)、鳥取県(1.05)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では新潟県(0.95)、大分 県(0.92)、岩手県(0.67)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してか なり多い。都道府県別では千葉県(0.07)、徳島県(0.07)、沖縄県(0.06)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加した。都道府県別では熊本県(0.25)、栃木県(0.11)、 和歌山県(0.10)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では秋田県(0.86)、 高知県(0.83)、佐賀県(0.83)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(3.3)、福島県
(1.7)、岡山県(1.2)が多い。
◆ インフルエンザ
インフルエンザ(Influenza)は、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で ある。1〜3日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉 痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続く。通常は1週間前後の経過 で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴である。 感染症発生動向調査によると、2008年第4週のインフルエンザ定点当たり報告数は15.27(報 告数72,994)と3週連続で増加した(図1)。都道府県別では三重県(42.8)、高知県(31.4)、愛知 県(31.2)、静岡県(26.5)、石川県(26.0)、香川県(26.0)、宮崎県(25.9)、福井県(25.8)、熊本 県(24.6)の順となっている。沖縄県を除く他の46都道府県において報告数の増加がみられて おり、特に中部、四国、九州の各地域における増加が目立つ(図2、図3)。シーズン開始の2007 年第36週から2008年第4週までの定点当たり累積報告数は63.1(累積報告数299,586)であり、 年齢別では5〜9歳39.1%、0〜4歳23.5%、10〜14歳12.9%、30〜39歳8.3%の順となっている(図 4)。2007年第36週以降のインフルエンザウイルスの分離報告数は宮崎県を除く46都道府県か ら1,452件で、内訳はAH1亜型1,328件(91.5%)、AH3亜型101件(7.0%)、B型23件(1.6%)とな っており、流行の主流がAH1亜型である状態が続いている(図5)。
図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(1998年〜2008年第4週) |
図2. インフルエンザの都道府県別報告状況(2008年第4週) |
図3. 2007/08シーズンの主要都道府県におけるインフルエンザの週別推移(2007年第36週〜2008年第4週) |
図4. 2007/08シーズンのインフルエンザ累積報告数の年齢別割合(2007年第36週〜2008年第4週) |
図5. インフルエンザウイルス型別分離・検出報告割合(2008年第36週〜第4週) |
全国の多くの地域で冬期休暇が終了した後、インフルエンザの患者発生報告数は再び増加
し、第4週の定点当たり報告数は15.27(報告数72,994)となり、前週に引き続いて今シーズンの
最高値を更新した(図1)。中部、四国、九州の各地域を中心に全国の殆どの地域で患者発生
数の増大がみられており、今シーズンのインフルエンザの流行は全国的に本格化しつつあると
考えられる。インフルエンザの発生動向にはより注意深い観察が必要である。各地域ごとのイ
ンフルエンザの流行情報に注意し、流行地域においてインフルエンザが疑われる症状を呈した
場合は、速やかに医療機関を受診して医師の診断と適切な治療を受けることと、マスク着用な
どの咳エチケットを始めとした周囲への感染拡大防止策を取ることが重要である。また、外出時
のマスク着用や帰宅時のうがい、手洗いなどは、かぜの予防と併せて奨められる。
◆ 麻しん
麻しんは「はしか」とも呼ばれ、麻しんウイルス(Paramyxovirus科Morbillivirus属)によって引き 起こされる感染症で、
39℃前後の高熱と耳介後部から始まって体の下方へと広がる赤い発疹を 特徴とする全身性疾患である。空気感染(飛沫核感染)、
飛沫感染、接触感染と様々な感染経 路を示し、その感染力は極めて強い上に、罹患者の約3割が合併症を併発し、そのおよそ半数
が肺炎である。まれに急性脳炎を発症し、精神発達遅滞等の重篤な後遺症が残るか又は死亡 することがある。さらに、よりまれで
はあるが、亜急性硬化性全脳炎という特殊な脳炎を発症する ことがあり、この脳炎を発症した場合には、多くは知能障害や運動障
害が進行した後、数年以内 に死亡する。
麻しんは、発症した場合の治療としては未だに対症療法しかないが、ワクチン接種によって予 防が可能な疾患である。我が国
では1978年10月から麻しんウイルスを弱毒化した生ワクチンが 定期予防接種となった。また、2006年からはそれまでの1回接
種から2回接種に変更された。 しかし、2007年にはこれまでの流行とは異なって10代および20代を中心とした年齢層において
麻 しんの流行が発生し、多数の高等学校や大学において休校等の措置がとられた。また、麻しん 含有ワクチンや検査キットの確保
が困難になるなどの混乱も生じた。これらの事態を受けて、麻 しん対策の更なる強化が求められ、その一環として2008年1月1日
より、感染症発生動向調査で は、麻しんはこれまでの定点把握から、全数把握による調査対象疾病に変更となった。 全数把握調査
によると、第4週(1月21〜27日診断のもの)の麻しん患者発生報告数は1月30日 現在で22都道府県から205例あり、都道府県別
では神奈川県87例、福岡県29例、秋田県16例、 東京都15例、大分県12例、北海道10例の順となっている(図1、図2)
。ただし、第4週の報告数 は、遅れて報告されるものを含めて今後更に増加する可能性が高い。
第1週から4週までの累積報告数は31都道府県から659例であり、都道府県別では神奈川県 269例、福岡県96例、東京都58例、
秋田県49例、北海道45例、大分県27例、兵庫県19例、千葉 県16例の順となっている(図3)。特に神奈川県からの報告
数の増加が目立っており、他に福岡県、 東京都、秋田県、北海道等複数の地域において麻しん患者の発生が継続している。累積報
告 数を病型別にみると、臨床診断例445例(67.5%)、検査診断例181例(27.5%)、修飾麻しん(検査 診断例)33例(5.0%)
であったが(図4)、臨床診断例の中には、検査中のものも含まれていると思 われる。
図1. 麻しんの報告数の週別推移(2008年第1〜4週) | 図2. 麻しんの都道府県別報告状況(2008年第4週) | 図3. 麻しんの都道府県別累積報告状況(2008年第1〜4週) |
図4. 麻しんの塁積報告数の病型分類別割合(2008年第1〜4週) |
図5. 麻しんの累積報告数の年齢群別割合(2008年第1〜4週) | 図6. 麻しんの累積報告数のワクチン接種歴別割合(2008年第1〜4週) | 図7. 麻しんのワクチン接種歴別年齢別累積報告状況(2008年第1〜4週) |
以下に、麻しん関連情報として感染症情報センターのホームページに掲載されている主な項目とそのURLを挙げる。 麻しん対策として活用いただければ幸いである。
■麻疹(はしか):http://idsc.nih.go.jp/disea
se/measles/index.html
□緊急情報「2012年麻疹排除(Elimination)に向けて」
●「麻疹」の届出基準・届け出様式、「風疹」の届出基準・届出様式、ポスター
●2008年4月1日以降の予防接種スケジュール
□対策・ガイドラインなど
●麻疹の現状と今後の麻疹対策について
●都道府県における麻しん対策会議のガイドライン(案)
●麻しん排除に向けた積極的疫学調査ガイドライン第二版
●医師による麻しん届出ガイドライン第二版
●医療機関での麻疹対応ガイドライン第二版
●保育所・幼稚園・学校等における麻しん対応ガイドライン第二版
□国内情報
●注目すべき感染症/速報
●麻しん発生状況(速報グラフ)
●病原微生物検出情報[IASR](麻疹特集・速報、ウイルス分離・検出状況他)
●平成19年度定期の予防接種(麻しん風しん第2期)の実施状況の調査結果について(第1 報)
●わが国の健常人における麻疹PA抗体保有率
□関連情報
●予防接種法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令及び予防接種法施行 規則及び予防接種実施規則の一部を改正する省令
●麻しんに関する特定感染症予防指針
■Q&A:http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/QA.html
■予防接種の話「麻疹」:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/b-measles.html
■年齢別麻疹、風疹、MMRワクチン接種率:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/atopics/atpcs001.html
■感染症の話「麻疹」:http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_03/k03_03.html
■麻疹発生DB(データベース):http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/meas-db.html
■「麻疹・風疹ワクチンなぜ2回接種なの?」ポスター:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cpn01.html
■「麻疹風疹混合ワクチンを1歳のお誕生日のプレゼントにしましょう」ポスター:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cpn04.html
■「小学校入学準備に2回目の麻疹・風疹ワクチンを!」ポスター:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cpn07.html
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