発生動向総覧
※2008年1月からの省令改正に伴い、疾病の追加および並び順を一部変更しました。
◆全数報告の感染症
〈第5週コメント〉 2月6日集計分
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核307例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢3例(感染地域:エジプト1例、ネパール1例、ベトナム/カンボジア1例) 腸管出血性大腸菌感染症7例(うち有症者4例、HUSなし)
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感染地域:東京都1例、福井県1例、愛知県1例、滋賀県1例、兵庫 県1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)1例 年齢群:10歳未満(3例)、10代(1例)、20代(1例)、30代(2例)
血清型・毒素型::O157 VT1・VT2(2例)、O157 VT2(2例)、O26
VT1(1例)、O153 VT2(1例)、その他・不明(1
例)
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バラチフス1例(感染地域:インド)
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4類感染症: |
A型肝炎4例(感染地域:宮城県1例、栃木県1例、埼玉県1例、インド1例)
つつが虫病3例(感染地域:千葉県1例、和歌山県1例、鹿児島県1例)
マラリア1例(熱帯熱_感染地域:バングラデシュ)
レジオネラ症23例(肺炎型22例、ポンティアック型1例) |
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感染地域:広島県3例、東京都2例(うち1例温泉)、神奈川県2例(う
ち1例温泉)、兵庫県2例、北海道1例、岩手県1例、福
島県1例(温泉)、茨城県1例、群馬県1例(温泉)、長野
県1例、愛知県1例、京都府1例、大阪府1例(温泉)、奈
良県1例、鹿児島県1例、国内(都道府県不明)3例
年齢群:30代(1例)、40代(3例)、50代(4例)、60代(3例)、70代(5
例)、80代(5例)、90代(2例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢12例(腸管アメーバ症9例、腸管外アメーバ症3例) |
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感染地域:千葉県1例、三重県1例、京都府1例、広島県1例、熊本
県1例、宮崎県1例、国内(都道府県不明)4例、中国/タ
イ1例、国外(国不明)1例 感染経路:性的接触3例(異性間1例、同性間2例)、その他1例、不明8例 |
ウイルス性肝炎4例
B型肝炎3例_感染経路:性的接触2例(異性間1例、同性間1例)不明1例
C型肝炎1例_感染経路:針刺し事故
急性脳炎5例
A型インフルエンザウイルス1例_年齢群:6歳
インフルエンザウイルス型不明1例_年齢群:6歳
アデノウイルス1例_年齢群:2歳
病原体不明2例_年齢群:40代(1例)、60代(1例)
クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性プリオン病古典型)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(年齢群:80代) |
後天性免疫不全症候群18例(AIDS 4例、無症候14例) |
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感染地域:国内17例、アルゼンチン1例
感染経路:性的接触13例(異性間4例、同性間9例)、ピアスの穴あけ器の共用1例、不明4例 |
ジアルジア症2例(感染地域:国内1例、アフリカ1例)
梅毒5例(早期顕症II期1例、無症候4例)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例(遺伝子型VanC 1例_菌検出検体:血液遺伝子型不明1例_菌検出検体:血液)
風しん8例(検査診断例6例、臨床診断例2例) |
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感染地域:神奈川県2例、大阪府2例、東京都1例、兵庫県1例、愛媛県1例、フィリピン1例
年齢群:10〜14歳(3例)、20〜24歳(1例)、25〜29歳(2例)、30〜34歳(1例)、50代(1例)
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麻しん436例〔麻しん(検査診断例93例、臨床診断例326例)、修飾麻しん(検査診断例)17例〕 |
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感染地域:国内432例、ギニア1例、国外(国不明)1例、国内・国外不明2例
国内の多い感染地域神奈川県131例、北海道65例、福岡県65例、秋田県33例、東京都28例
年齢群:0歳(10例)、1歳(14例)、2歳(6例)、3歳(6例)、4歳(1例)、5〜9歳(26例)、10〜14歳(119例)、15〜19歳(118例)、20〜24歳(69例)、25〜29歳(37例)、30〜34歳(13例)、35〜39歳(8例)、40代(6例)、50代(2例)、60代(1例)
累積報告数::1,164例〔麻しん(検査診断例295例、臨床診断例812例)、修飾麻しん(検査診断例)57例〕
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(補)他に2008年第4週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢2例(感染地域:東京都1例、インド1例)、エキノコックス症1例(単包条虫_感染地域:英国)、レジオネラ症1例〔感染地域:静岡県(温泉)〕、急性脳炎6例〔A型インフルエンザウイルス1例(6歳)、インフルエンザウイルス型不明1例(2歳)、単純ヘルペスウイルス1例(50代)、マイコプラズマ肺炎1例(6歳)、病原体不明2例(0歳、40代)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanA_菌検出検体:髄液)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患によ
り小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基
幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は第2週以降増加が続いている。都道府県別では三重県(41.7)、岩手県
(38.5)、高知県(35.0)、福井県(34.8)、熊本県(34.4)、愛知県(32.7)、石川県(32.5)、大分県
(32.1)が多い。。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症 は1,386例の報告があり、報告数は減少した。年齢別では1歳以下の報告数 が全体の約75%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では石川県(0.59)、秋田 県(0.54)、福岡県(0.51)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第2週以降増加が続いている。都道府県 別では富山県(4.3)、茨城県(4.0)、山形県(3.9)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は微増した。都道府県別では宮崎県(15.5)、鳥取県(14.6)、 大分県(13.5)、島根県(13.2)、福井県(13.1)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では宮崎県(2.6)、新潟県(2.5)、福岡県(2.5) が多い。 手足口病の定点当たり報告数は微減した。都道府県別では鳥取県(1.42)、大分県(0.92)、沖 縄県(0.88)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では新潟県(0.89)、山形県 (0.73)、大分県(0.64)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較し てかなり多い。都道府県別では福井県(0.09)、徳島県(0.08)、香川県(0.07)、福岡県(0.07)が 多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では三重県(0.18)、熊本 県(0.17)、栃木県(0.11)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では秋田県(1.20)、宮崎県(1.03)、 高知県(1.00)が多い。 基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎
の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では宮城県(2.8)、
沖縄県(2.7)、福島県(2.3)が多い。
注目すべき感染症
◆ インフルエンザ
インフルエンザ(Influenza)は、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で ある。1〜3日間の潜伏期間を経て、突然に発熱(38℃以上の高熱)、頭痛、全身倦怠感、筋肉 痛・関節痛などが出現し、鼻水・咳などの呼吸器症状がこれに続く。通常は1週間前後の経過で軽快するが、いわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強いのが特徴である。温帯地域より緯度の高い国々での流行は冬季にあり、北半球では1〜2月頃、南半球では7〜8月頃が流行のピークとなる。また、熱帯・亜熱帯地域では、雨季を中心としてインフルエンザが発生する。わが国のインフルエンザの発生は、11月下旬から12月上旬頃に始まり、翌年の1〜3月頃に患者数が増加し、4〜5月にかけて減少していくパターンを示すが、最近では沖縄県で、3シーズン連続して夏季の流行が認められた。流行の程度とピークの時期はその年によって異なる。
感染症発生動向調査によると、2008年第5週のインフルエンザ定点当たり報告数は17.62(報告数84,205)と第2週以降増加が続いている(図1)。都道府県別では三重県(41.7)、岩手県 (38.5)、高知県(35.0)、福井県(34.8)、熊本県(34.4)、愛知県(32.7)、石川県(32.5)、大分県(32.1)、宮崎県(31.7)の順となっている。特に中部、四国、九州の各地域において報告数の多 い県が目立っている(図2)。シーズン開始の2007年第36週から2008年第5週までの定点当たり累積報告数は80.5(累積報告数380,185)であり、年齢別では5〜9歳39.6%、0〜4歳23.5%、10〜14歳13.3%、30〜39歳8.1%の順となっている(図3)。2007年第36週以降のインフルエンザウイルスの分離・検出報告数は宮崎県を除く46都道府県から1,705件で、内訳はAH1亜型1,573件(92.3%)、AH3亜型109件(6.4%)、B型23件(1.3%)となっており、流行の主流がAH1亜型である状態が続いている(図4)。
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図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(1998年〜2008年第5週)
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図2. インフルエンザの都道府県別報告状況(2008年第5週)
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図3. 2007/08シーズンのインフルエンザ累積報告数の年齢別割合(2007年第36週〜2008年第5週)
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図4. インフルエンザウイルス型別分離・検出報告割合(2007年第36週〜2008年第5週)
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2008年第5週の定点当たり報告数は17.62(報告数84,205)となり、今シーズンの最高値であった前週の報告数を更に上回った(図1)。まだ全国の多くの地域で患者発生数の増加がみられており、インフルエンザの発生動向には引き続き注意深い観察が必要である。インフルエンザの流行地域ではその流行情報に注意し、インフルエンザが疑われる症状を呈した場合は、速やかに医療機関を受診して医師の診断と適切な治療を受けることと、マスク着用などの咳エチケットをはじめとした周囲への感染拡大防止策を取ることが重要である。
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