発生動向総覧
※2008年1月からの省令改正に伴い、疾病の追加および並び順を一部変更しました。
〈第11週コメント〉 3月19日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 291例 |
3類感染症: |
コレラ2例(感染地域:長野県2例)
細菌性赤痢6例(感染地域:大阪府2例、千葉県1例、カンボジア1例、インド1例、マリ1例)
腸管出血性大腸菌感染症71例(有症者34例、HUSなし)
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感染地域:佐賀県3例*、東京都1例、石川県1例、大阪府1例、広島県1例、大分県1例、オーストラリア63例**
*オーストラリアでの感染者からの二次感染例、
**修学旅行での集団感染
年齢群:3歳(1例)、4歳(1例)、7歳(1例)、10代(65例)、30代(2例)、50代(1例)
血清型・毒素型:O26 VT1(66例)、O157 VT1・VT2(1例)、O157 VT2(1例)、不明(3例)
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4類感染症: |
A型肝炎1例(感染地域:茨城県)
レジオネラ症15例(肺炎型13例、ポンティアック型2例)
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感染地域:埼玉県3例、千葉県3例、愛知県2例、富山県1例(温泉)、石川県1例、福島県1例、神奈川県1例、兵庫県1例、大阪府1例、鹿児島県1例
年齢群:2歳(1例)、40代(1例)、50代(1例)、60代(3例)、70代(3例)、80代(5例)、90代(1例) |
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5類感染症: |
アメーバ赤痢10例(腸管アメーバ症8例、腸管外アメーバ症1例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:北海道1例、埼玉県1例、愛知県1例、山口県1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)3例、韓国1例、タイ/マレーシア1例
感染経路:経口感染1例、性的接触4例(異性間4例)、不明5例 |
ウイルス性肝炎5例 |
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B型肝炎3例_感染経路:性的接触2例(異性間1例、異性間・同性間不明1例)、不明1例
C型肝炎2例_感染経路:静注薬物常用1例、性的接触(異性間)1例 |
急性脳炎3例
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ロタウイルス1例_年齢群:0歳
病原体不明2例_年齢群:1歳(1例)、10代(1例) |
クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性プリオン病古典型)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例〔年齢群:60代(1例)、80代(1例.死亡)〕
後天性免疫不全症候群20例(無症候18例、AIDS 2例)
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感染地域:国内18例、ブラジル1例、国内および国外(国不明)1例
感染経路:性的接触18例(異性間5例、同性間12例、異性間・同性間不明1例)、その他/不明2例 |
ジアルジア症2例(感染地域:茨城県1例、インド1例)
梅毒17例(早期顕症I期7例、早期顕症II期5例、晩期顕症1例、無症候4例)
破傷風1例(年齢群:30代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:熱傷創)
風しん9例(検査診断例7例、臨床診断例2例)
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感染地域:静岡県4例、埼玉県1例、神奈川県1例、大阪府1例、福岡県1例、インド1例
年齢群:3歳(1例)、20〜24歳(3例)、25〜29歳(1例)、30〜34歳(3例)、40代(1例) |
麻しん435例〔麻しん(検査診断例91例、臨床診断例303例)、修飾麻しん(検査診断例41例)〕
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感染地域:国内434例、中国1例
国内の多い感染地域:神奈川県167例、東京都44例、北海道38例、福岡県33例、埼玉県22例、千葉県17例、静岡県17例、広島県13例
年齢群:0歳(23例)、1歳(26例)、2歳(9例)、3歳(8例)、4歳(7例)、5〜9歳(34例)、10〜14歳(70例)、15〜19歳(110例)、20〜24歳(47例)、25〜29歳(47例)、30〜34歳(25例)、35〜39歳(17例)、40代(9例)、50代(3例)
累積報告数:4,212例〔麻しん(検査診断例1,132例、臨床診断例2,749例)、修飾麻しん(検査診断例331例) |
(補)他に2008年第10週までに診断されたもの報告遅れとして、急性脳炎3例〔A型インフルエンザウイルス3例(6歳、7歳、10代)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(80代)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanB_菌検出検体:術創膿)、風しん5例〔検査診断例1例、臨床診断例4例.感染地域:岡山県4例、鹿児島県1例.年齢群:0歳(1例)、9歳(1例)、20〜24歳(2例)、35〜39歳(1例)〕などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は第6週以降減少が続いている。都道府県別では沖縄県(19.0)、宮崎県
(16.1)、長崎県(15.3)、福岡県(13.3)、佐賀県(13.0)、大分県(12.6)、長野県(10.2)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は525例の報告があり、報告数は第5週以降減少が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約79%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では岐阜県(1.17)、三重県(0.80)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は8週以降増加が続いており、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では鳥取県(5.7)、北海道(4.9)、山口県(4.8)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は8週以降増加が続いており、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では宮崎県(23.8)、山形県(19.0)、大分県(18.6)、熊本県(18.3)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(4.8)、福岡県(3.0)、高知県(2.8)が多い。手足口病の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では鳥取県(1.53)、鹿児島県(0.98)、宮崎県(0.83)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では新潟県(0.87)、山形県(0.70)、大分県(0.69)が多い。百日咳の定点当たり報告数は横ばいであったが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では福井県(0.14)、千葉県(0.13)、広島県(0.13)、新潟県(0.08)、福岡県(0.08)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は減少した。都道府県別では熊本県(0.29)、富山県(0.17)、 山口県(0.14)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では秋田県(2.06)、高知県(1.23)、佐賀県(1.13)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では沖縄県(3.9)、福島県(3.4)、富山県(2.2)が多い。
〈2月コメント〉
◆性感染症について 2008年3月11日集計分 性感染症定点数:965
(産婦人科・産科・婦人科:463、泌尿器科:399、皮膚科89、性病科14)
●月別推移
2008年2月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.21(男0.95、女1.27)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.69(男0.27、女0.42)、尖圭コンジローマが0.50(男0.29、女0.22)、淋菌感染症が0.81(男0.66、女0.16)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)
前月に比べると、男性は性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、淋菌感染症で減少し、尖圭コンジローマで増加した。女性は、性器クラミジア感染症、淋菌感染症で減少し、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマで増加した(28〜31ページ「グラフ総覧」参照)。
男女別に過去5年間の同時期と比較すると、性器クラミジア感染症は男性でかなり少なく、女性でやや少なかった。性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともにかなり少なかった。尖圭コンジローマは女性でやや少なかった。淋菌感染症は男女ともにやや少なかった(図2)。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(2月) |
●男女別・年齢階級別
年齢群(0歳、1〜4歳、5〜69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では性器クラミジア感染症では20〜24歳、性器ヘルペスウイルス感染症では30〜34歳、尖圭コンジローマでは30〜34歳、淋菌感染症では25〜29歳であるのに対し、女性では性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症では20〜24歳、性器ヘルペスウイルス感染症では25〜29歳であり、女性の罹患年齢が男性に比べてやや若い傾向が認められた(図3)。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患は、男性では60代以降は 僅かであり、女性では50代以降の報告はないか、あっても僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、報告数や年齢階級別分布において明らかな変化は見られておらず、この基準変更の周知徹底が必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、淋菌感染症ではすべての年齢群で男性が女性よりも多かった。一方、性器クラミジア感染症では15〜29歳の3つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では15〜34歳、55〜59歳及び70歳以上の6つの年齢群、尖圭コンジローマでは15〜24歳の2つの年齢群で、女性が男性よりも多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較についてはそれらの比率の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年齢層(15〜29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症と淋菌感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられる。一方、性器ヘルペスウイルス感染症と尖圭コンジローマは、男女ともに2005年半ば頃からごく微かな減少傾向がみられるものの、この間全体としてはほぼ横ばいの状況である。前月との比較では、男性は性器クラミジア感染症で増加し、他の3疾患で減少した。女性は性器クラミジア感染症と淋菌感染症で減少し、尖圭コンジローマは同値であり、性器ヘルペスウイルス感染症は増加した。
◆薬剤耐性菌について (3月11日集計分)
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基幹定点数(2月):466.
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
4.39(前月:4.47、前年同月:4.14)
定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。2月は前月より若干減少し、過去8年間の同月との比較では最も高かった。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
0.82(前月:0.83、前年同月:0.79)
定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7〜9月)に少なく推移している。2月は前月より減少し、過去8年間の同月との比較では下位に属した。
薬剤耐性緑膿菌感染症
0.06(前月:0.07、前年同月:0.10)
定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。2月は前月よりさらに減少し、過去8年間の同月との比較ではもっとも低かった。
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●年齢階級別
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MRSA感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の69%を占めている(図1:PDF参照)
PRSP感染症
小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の54%を占める一方、70歳以上が全体の25%を占めている(図2:PDF参照)。
薬剤耐性緑膿菌感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の47%を占めている(図3:PDF参照)
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=1.8:1
PRSP感染症…男:女=1.5:1
薬剤耐性緑膿菌感染症…男:女=2.0:1
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●都道府県別
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MRSA感染症
定点当たり報告数は島根県(9.5)、福島県(9.1)、新潟県(8.2)が多い。
PRSP感染症
定点当たり報告数は千葉県(4.2)、山口県(2.4)、沖縄県(2.4)が多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症
報告総数が30件にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
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◆ 麻しん
麻しんは「はしか」とも呼ばれているが、麻しんウイルス(Paramyxovirus科Morbillivirus属)によって引き起こされる感染症で、39℃前後の高熱と耳介後部から始まって体の下方へと広がる赤い発疹を特徴とする全身性疾患である。感染経路には接触感染、飛沫感染、空気感染(飛沫核感染)があり、その感染力はきわめて強く、麻しんに対する免疫を保有していない集団のなかでは、1名の麻しん患者から12〜18名が感染するといわれている。麻しん患者が他の者に感染させる可能性を持つ期間(感染可能期間)は、症状が出る1日前から解熱後3日後の期間、または症状が出た日から数えると約10日間とされているので、この期間に感受性者と接触することのないように、患者を隔離することも予防対策のひとつである。
2008年の1月1日から開始された麻しんの全数把握調査によると、第11週(3月10〜16日診断のもの)の麻しん患者発生報告数は3月19日現在で26都道府県から435例あり、都道府県別では神奈川県178例、東京都51例、北海道38例、福岡県34例、埼玉県25例、千葉県20例、静岡県18例、広島県13例、熊本県11例の順であった(図1、図2)。これらの報告数は、今後報告遅れのものを含めて更に増加する可能性がある。第1週から第11週までの累積報告数は、徳島県、高知県、沖縄県を除く44都道府県から4,212例であり、都道府県別では神奈川県1,608例、東京都504例、福岡県454例、北海道378例、千葉県204例、埼玉県171例、秋田県149例、大阪府107例、熊本県72例、大分県69例の順となっている(図3)。神奈川県を中心とした麻しんの流行は、既に東京都、千葉県、埼玉県に拡大しているが、静岡県でも患者報告数の急増がみられている。福岡県、北海道、大阪府でも麻しんの発生が継続していることに加えて、愛知県や広島県での患者発生数が増加しつつある。
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図1. 麻しん報告数の週別推移(2008年第1〜11週) |
図2. 麻しんの都道府県別報告状況(2008年第11週) |
図3. 麻しんの都道府県別累積報告状況(2008年第1〜11週) |
病型別累積報告数は、臨床診断例2,749例(65.3%)、検査診断例1,132例(26.9%)、修飾麻しん(検査診断例)331例(7.9%)となっており、臨床診断例が最も多くを占めている(図4)。
年齢群別では15〜19歳1,032例(24.5%)、10〜14歳820例(19.5%)、20〜24歳559例(13.3%)、0〜4歳555例(13.2%)、25〜29歳453例(10.8%)、5〜9歳347例(8.2%)の順となっている。10〜20代前半からの報告割合が半数以上を占めており、30歳未満からの報告数が全体の90%近くを占めている(図5)。各年齢別の報告数をみると、16歳253例、15歳242例、14歳229例、17歳213例、0歳201例、13歳198例の順であり、まだ麻しんワクチン定期接種の対象とならない0歳の患者を除いては、13〜17歳が現在の患者発生の中心である(図6)。
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図4. 麻しん塁積報告数の病型分類別割合(2008年第1〜11週) |
図5. 麻しん累積報告数の年齢群別割合(2008年第1〜11週) |
図6. 麻しん累積報告数のワクチン接種歴別年齢別分布(2008年第1〜11週) |
麻しん含有ワクチンの接種歴別の報告数は、全体では接種歴なし1,998例(47.4%)、1回接
種987例(23.4%)、2回接種37例(0.9%)、接種歴不明1,190例(28.3%)となっており、接種歴がない者が最も多い(図7)。
肺炎の合併例はこれまでに84例が報告されており、0歳児(18例、21.4%)、1歳児(20例、23.8%)からの報告数が多く、4歳以下で46例(54.8%)と全体の半数以上を占めている(図8)。脳炎合併例はこれまでに4例報告されており、すべて10代以上(第4週;10代女性、20代男性、第5週;30代男性、第9週;30代男性)であり、いずれも麻しん含有ワクチンの接種歴はなかった。第1〜11週までに死亡例の報告はない。
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図7. 麻しん累積報告数のワクチン接種歴別割合(2008年第1〜11週) |
図8.肺炎合併 麻しん累積報告数の年齢群別割合(2008年第1〜11週) |
麻しんの患者発生は第5週以降急増した状態が続いており、南関東地域での流行の拡大と、他の流行地域での患者発生の継続がみられている。2008年も2007年の麻しんの流行と同様に、10代〜20代前半の年齢層が流行の中心となっている。今後春期休暇の影響によって、しばらくは現在の患者発生状況にとどまる可能性が高いが、新年度には入学式など、麻しんに感受性のある者(麻しんウイルスに対する免疫が全くない、または不十分な者)が一同に会する機会が増えるため、昨年と同様4月中旬以降に、麻しん患者が急増することや、現在の流行地域だけでなく、他の地域においても新たな麻しんの流行が発生してくることが十分に予想される。麻しんの流行抑制のための根本的な対策とは、感受性者に対して麻しんのワクチンを接種して免疫を保有する者の割合を高めることである。特に現在の流行の中心である10代、20代が集団生活を送る中学、高校、大学、専門学校等での麻しん対策が急務である。さらにこの年代の生徒は、学校における課外活動や修学旅行などで、海外へ集団で移動する機会も少なくないため、国内での麻しん予防はもちろんのこと、海外へ麻しんを「輸出」しないためにも、麻しん対策を十分に行うことが必要である。
2008年4月1日より、わが国からの麻しん排除(elimination)計画の一環として、従来の第1期(1歳代)、第2期(小学校入学前1年間)の定期接種に加えて、1回しかワクチンを接種していない年齢層に対する補足的ワクチン接種を目的とした5年間の期限付き措置として、新たに第3期(中学校1年生相当年齢)、第4期(高校3年生相当年齢)の定期予防接種が開始される。接種対象者がこの機会を逃すことなく、ワクチン接種を受けることができるよう、対象者自身および保護者への正確な情報の伝達とワクチン接種に関する啓発、教育機関と保健衛生部局との緊密な連携と学校現場での積極的な接種勧奨が非常に重要である。加えて、定期接種の対象者ではないものの、麻しん感受性者と接する機会の多い医療機関、福祉施設(保育所等)、教育機関等に従事する者は、自身の麻しんに対する免疫状態を把握し、必要に応じてワクチン接種を受けることが強く勧められる。2007年に引き続き、2008年も多くの地域で麻しん流行の発生が予想されるため、今後春から夏にかけての患者発生動向に十分注意をはらう必要がある。
以下に、麻しん関連情報として感染症情報センターのホームページに掲載されている主な項目とそのURLを挙げる。
麻しん対策として活用いただければ幸いである。
■麻疹(はしか):http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/index.html
□緊急情報「2012年麻疹排除(Elimination)に向けて」
●「麻疹」の届出基準・届け出様式、「風疹」の届出基準・届出様式、ポスター
●2008年4月1日以降の予防接種スケジュール
●2008〜2012年度麻疹・風疹の定期予防接種対象者
□対策・ガイドラインなど
●麻疹の現状と今後の麻疹対策について ●都道府県における麻しん対策会議のガイドライン
●麻しん排除に向けた積極的疫学調査ガイドライン第二版
●医師による麻しん届出ガイドライン第二版
●医療機関での麻疹対応ガイドライン第二版
●保育所・幼稚園・学校等における麻しん対応ガイドライン第二版
●「麻しん対策ブロック会議」関連資料等
□国内情報
●注目すべき感染症/速報
●麻しん発生状況(速報グラフ)
●病原微生物検出情報[IASR](麻疹特集・速報、ウイルス分離・検出状況他)
●平成19年度定期の予防接種(麻しん風しん第2期)の実施状況の調査結果について(第1 報)
●わが国の健常人における麻疹PA抗体保有率
□関連情報
●予防接種法施行令の一部を改正する政令の一部を改正する政令及び予防接種法施行 規則及び予防接種実施規則の一部を改正する省令
●麻しんに関する特定感染症予防指針
●予防接種法施行令の一部を改正する政令 〜定期予防接種対象者に関する改正〜
●定期の予防接種の実施についての一部改正 〜定期(一類疾病)の予防接種実施要領の改正〜
■Q&A:http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/QA.html
■予防接種の話「麻疹」:
http://idsc.nih.go.jp/vaccine/b-measles.html
■年齢別麻疹、風疹、MMRワクチ
ン接種率:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/
atopics/atpcs001.html
■感染症の話「麻疹」:http://idsc.ni
h.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_03/k03_03.html
■麻疹発生DB(データベース):
http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/meas-db.html
■「麻疹・風疹ワクチンなぜ2回接種なの
?」ポスター:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cpn01.html
■「麻疹風疹混合ワクチンを1歳のお誕生日のプレ
ゼントにしましょう」ポスター:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cpn04.html
■「小学校入学準備に2回目の麻疹・風疹ワクチンを!」ポスタ
ー:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cpn07.html
■麻疹教育啓発ビデオ「はしかから身を守るために」:
http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/Video/measlesVideo.html
■Surveillance, Focus, Measles“Measles in Japan as of end of week 8(24 February 2008)”:
http://idsc.nih.go.jp/disease/measles_e/idwr200808.html
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