国立感染症研究所 感染症情報センター
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IDWR 感染症発生動向調査週報

第21号ダイジェスト
(2008年5月19日〜5月25日)

 発生動向総覧


※2008年5月12日からの法改正に伴い、疾病の名称および並び順を一部変更しました。

全数報告の感染症

〈第21週コメント〉 5月28日集計分

注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。

*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。

1類感染症: 報告なし
2類感染症: 結核350例
3類感染症: 細菌性赤痢2例(感染地域:長崎県2例)
腸管出血性大腸菌感染症58例(有症者39例、うちHUS 2例)

感染地域:大阪府6例、埼玉県4例、兵庫県4例、福井県3例、岐阜県3例、奈良県3例、愛媛県3例、岩手県2例、宮城県2例、群馬県2例、千葉県2例、東京都2例、神奈川県2例、石川県2例、京都府2例、和歌山県2例、山形県1例、長野県1例、愛知県1例、鳥取県1例、山口県1例、熊本県1例、国内(都道府県不明)7例、インドネシア1例
年齢群:0歳(1例)、1歳(4例)、2歳(1例)、4歳(3例)、5歳(1例)、6歳(4例)、7歳(1例)、8歳(1例)、9歳(1例)、10代(7例)、20代(16例)、30代(9例)、40代(2例)、50代(2例)、60代(3例)、80代(2例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2( 21例)、O26 VT1( 14例)、O157 VT2(9例)、O157 VT1(5例)、O103 VT1( 2例)、O111 VT1( 1例)、O145 VT2( 1例)、O165 VT2(1例)、その他・不明(4例)

腸チフス3例(感染地域:埼玉県1例、兵庫県1例、インド/ネパール1例)
4類感染症: A型肝炎2例(感染地域:京都府1例、東京都/中国1例)
オウム病1例

感染地域:埼玉県
感染源:烏骨鶏(うこっけい)

コクシジオイデス症1例(感染地域:米国)
つつが虫病9例(感染地域:山形県3例、青森県2例、福島県1例、新潟県1例、岐阜県1例、広島県1例)
デング熱1例(感染地域:インドネシア)
マラリア1例〔感染地域:国外(国不明)〕
レジオネラ症13例(肺炎型13例)

感染地域:宮城県1例、福島県1例(温泉)、埼玉県1例、栃木県1例(温泉)、東京都1例、山梨県1例(温泉)、静岡県1例(温泉)、愛知県1例、和歌山県1例(温泉)、広島県1例、大分県1例、国内(都道府県不明)1例、中国/タイ1例
年齢群:40代(1例)、50代(2例)、60代(4例)、70代(3例)、80代(1例)、90代(2例)

5類感染症:
アメーバ赤痢10例(腸管アメーバ症10例)

感染地域:大阪府2例、宮城県1例、東京都1例、長野県1例、国内
(都道府県不明)2例、インドネシア1例、ベトナム1例、米国1例
感染経路:性的接触5例(異性間1例、同性間2例、異性/同性間1例、異性間・同性間不明1例)、経口感染2例、不明3例

ウイルス性肝炎1例(B型肝炎_感染経路:不明)
クロイツフェルト・ヤコブ病5例(孤発性プリオン病古典型5例)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例〔年齢群:40代(1例.死亡)、60代(1例)〕
後天性免疫不全症候群13例(無症候12例、AIDS 1例)

感染地域:国内13例
感染経路:性的接触13例(異性間4例、同性間9例)

梅毒10例(早期顕症I期1例、早期顕症II期3例、先天梅毒1例、無症候5例)
破傷風3例〔年齢群:70代(1例)、80代(2例)〕
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:腹水)
風しん5例(検査診断例2例、臨床診断例3例)

感染地域:熊本県2例、大阪府1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:9歳(1例)、10〜14歳(1例)、15〜19歳(1例)、25〜29歳(1例)、70代(1例)

麻しん236例〔麻しん(検査診断例52例、臨床診断例157例)、修飾麻しん(検査診断例27例)〕

感染地域:国内235例、イスラエル1例
国内の多い感染地域:北海道64例、神奈川県49例、千葉県18例、東京都17例、大阪府12例、静岡県11例
年齢群:0歳(16例)、1歳(14例)、2歳(3例)、3歳(4例)、4歳(3例)、5〜9歳(21例)、10〜14歳(37例)、15〜19歳(49例)、20〜24歳(33例)、25〜29歳(23例)、30〜34歳(11例)、35〜39歳(10例)、40代(8例)、50代(2例)、60代(2例)
累積報告数:8,415例〔麻しん(検査診断例2,279例、臨床診断例5,447例)、修飾麻しん(検査診断例689例)〕

(補)他に2008年第20週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢1例(感染地域:長崎県)、日本紅斑熱1例(感染地域:鹿児島県)、レジオネラ症1例〔感染地域:東京都(温泉)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例〔60代(1例)、70代(1例.死亡)〕、髄膜炎菌性髄膜炎1例〔25〜29歳.感染地域:国内(都道府県不明)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanC_菌検出検体:膵液)、風しん4例〔検査診断例1例、臨床診断例3例.感染地域:東京都1例、奈良県1例、熊本県1例、国内(都道府県不明)1例.年齢群:5歳(1例)、8歳(1例)、10〜14歳(1例)、40代(1例)〕などの報告があった。


定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)

全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患によ り小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基 幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
過去5年間の同時期との比較

インフルエンザ:定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では沖縄県(3.50)、新潟県(0.61)、北海道(0.57)が多い。

小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は138例の報告があり、報告数は減少した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約62%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では大分県(1.47)、石川県(1.38)、山口県(1.16)、長崎県(1.16)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では鳥取県(5.8)、山形県(4.7)、埼玉県(4.5)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では富山県(12.4)、福井県(12.1)、愛媛県(10.9)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では山形県(3.9)、新潟県(3.2)、徳島県(3.1)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第15週以降増加が続いている。都道府県別では宮崎県(9.1)、長崎県(4.8)、鹿児島県(2.9)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では新潟県(0.90)、大分県(0.53)、秋田県(0.49)が多い。百日咳の定点当たり報告数は横ばいであったが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では広島県(0.58)、福井県(0.36)、愛媛県(0.35)、山口県(0.30)、が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では愛媛県(2.43)、石川県(1.72)、熊本県(1.69)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は第18週以降増加が続いている。都道府県別では佐賀県(2.52)、岐阜県(1.87)、宮崎県(1.78)が多い。

基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福島県(3.1)、群馬県(2.8)、沖縄県(2.7)が多い。





 注目すべき感染症

◆ A群溶血性レンサ球菌咽頭炎

 A群溶血性レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)はその侵入部位や組織によって多彩な症状を引き起こす。また、時に稀ながら発症機序がまだ不明である劇症型溶血性レンサ球菌感染症の原因となることがあるが、本項では、通常主に小児の間で発生する疾患であり、感染症法によって5類感染症定点把握疾患と定められているA群溶血性レンサ球菌咽頭炎について述べる。
 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は、本邦を含めた温帯地域を中心に広く世界的に分布している感染症である。感染経路はヒトからヒトへの飛沫感染が主であるが、食品を介する経口感染もあるといわれている。潜伏期間は2〜5日であり、突然の発熱、咽頭痛、全身倦怠感によって発症し、しばしば嘔吐を伴う。通常発熱は3〜5日以内に下がり、主症状は1週間以内に消失する予後良好の疾患であるが、菌が産生する毒素に免疫のない場合は猩紅熱に発展する場合がある。治療にはペニシリン系薬剤が第1選択薬とされているが、ペニシリンアレルギーがある場合はマクロライド系薬剤やセフェム系を投与する。リウマチ熱や急性糸球体腎炎など非化膿性の合併症予防のために、少なくとも10日間は確実に投与することが必要である。
 感染症発生動向調査によると、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は例年学校、幼稚園等の春期休暇とゴールデンウイークに関連した減少はみられるものの、春季から夏季にかけて流行し、夏期休暇と共に患者報告数の減少がみられている。2008年第20週、第21週の定点当たり報告数は大きく増加しており、特に第21週の報告数(定点当たり報告数3.02、報告数9,111)は、過去10年間を通しても最も高い値となっている(図1)。都道府県別では、鳥取県(5.84)、山形県(4.67)、埼玉県(4.49)、千葉県(4.37)、富山県(4.28)、山口県(4.16)、新潟県(4.15)の順となっているが、全国平均を超えているのは東日本の地域に多い(図2)

 第21週までの定点当たり累積報告数は42.99(累積報告数128,400)であり、2006年、2007年と同様の水準である(図3)。都道府県別では、鳥取県(79.26)、山形県(74.80)、富山県(72.00)、石川県(71.66)、新潟県(68.88)、山口県(66.53)、北海道(64.90)の順であり、やはり東日本地域に全国平均を上回っている地域が多い(図4)。累積報告数の年齢別割合をみると、4〜5歳30.4%、6〜7歳23.8%、2〜3歳14.7%、8〜9歳13.1%の順であり、例年と同様に2〜9歳が発生の中心であり、9歳以下で全報告数の85%以上を占めている(図5、図6)

図1. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の年別・週別発生状況(1998年〜2008年第21週)

図2. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の都道府県別報告状況(2008年第21週)

図3. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の第1〜21週の定点当たり累積報告数年別推移(1999年〜2008年)

図4. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の都道府県別累積報告状況(2008年第1〜21週)

図5. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎累積報告数の年齢群別割合(2008年第1〜21週)

図6. A群溶血性レンサ球菌咽頭炎年別・年齢群別割合(1999年〜2008年第21週)


 A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者発生は、現在夏季のピークにさしかかりつつあるものと推測される。今後ともその発生動向には注意が必要である。



◆ 麻しん

 麻しんは「はしか」とも呼ばれ、麻しんウイルス(ParamyxovirusMorbillivirus属)によって引き起こされる感染症で、39℃前後の高熱と耳介後部から始まって体の下方へと広がる赤い発疹を特徴とする全身性疾患である。麻しんに対して免疫を持たない者が感染した場合、典型的な臨床経過としては10〜12日間の潜伏期を経て発症し、カタル期(2〜4日間)、発疹期(3〜5日間)、回復期へと至る。一方、ヒトの体内に入った麻しんウイルスは、免疫を担う全身のリンパ組織を中心に増殖し、一過性に強い免疫不全状態を生じるため、麻しんウイルスそのものによるものだけでなく、細菌の二次感染による肺炎や中耳炎などの合併症も生じうる。また、発生頻度は低いものの、麻しんウイルスによる脳炎や、罹患後7〜10年の期間を経て発症する亜急性硬化性全脳炎(SSPE)などの合併症もある。麻しんは接触感染、飛沫感染、空気感染(飛沫核感染)のいずれの感染経路でも感染するが、発症した場合に麻しんに特異的な治療方法はない。手洗い、マスク等の感染対策も十分に効果的な予防手段とは言えず、唯一の有効な予防方法はワクチンの接種によって麻しんに対する免疫を予め獲得しておくことである。
 2008年の1月1日から開始された麻しんの全数把握調査によると、第21週(5月19〜25日診断のもの)の麻しん患者発生報告数は5月28日現在で29都道府県から236例あり、都道府県別では北海道64例、神奈川県55例、千葉県21例、東京都19例、静岡県12例、大阪府12例の順であった(図1、図2)。これらの報告数は、今後報告遅れのものを含めて更に増加する可能性がある。第1週から第21週までの累積報告数は、47都道府県から8,415例であり、都道府県別では神奈川県3,083例、北海道1,169例、東京都930例、福岡県638例、千葉県426例、埼玉県302例、大阪府265例、静岡県163例、愛知県162例、秋田県154例、広島県140例の順となっている(図3)。北海道、大阪府では患者発生が継続してみられ、神奈川県、東京都、千葉県、埼玉県の南関東地域の流行は静岡県にも波及している。

図1. 麻しん報告数の週別推移(2008年第1〜21週) 図2. 麻しんの都道府県別報告状況(2008年第21週) 図3. 麻しんの都道府県別累積報告状況(2008年第1〜21週)
図4. 麻しん累積報告数の病型別割合(2008年第1〜21週)

 病型別累積報告数は、臨床診断例5,447例(64.7%)、検査診断例2,279例(27.1%)、修飾麻し ん(検査診断例)689例(8.2%)となっており、臨床診断例が最多である(図4)

 年齢群別では15〜19歳2,071例(24.6%)、10〜14歳1,550例(18.4%)、0〜4歳1,150例(13.7%)、20〜24歳1,129例(13.4%)、25〜29歳861例(10.2%)、5〜9歳744例(8.8%)の順となっている。10〜20代前半からの報告割合が半数以上を占めており、30歳未満からの報告数が全体の90%近くを占めている(図5)。各年齢別の報告数をみると、15歳509例、16歳500例、0歳446例、14歳427例、17歳415例、1歳394例、13歳370例、19歳329例の順であり、14〜17歳が現在の患者発生の中心である状態が続いている(図6)
 麻しん含有ワクチンの接種歴別の報告数は、全体では接種歴なし3,910例(46.5%)、1回接
種2,013例(23.9%)、2回接種70例(0.8%)、接種歴不明2,422例(28.8%)となっており、接種歴がない者が最も多く、次いで接種歴不明者、1回接種者の順となっている(図7)。年齢が高くなる程発病者中に占める接種歴不明者の割合が多い(図6)

 脳炎合併例はこれまでに5例報告されており、すべて10代以上(第4週;10代女性、20代男性、第5週;30代男性、第9週;20代女性、第16週;40代女性)であり、このうち麻しん含有ワクチンの接種歴の無いものが4例、接種歴不明が1例(40代女性)だった。第1〜21週までに死亡例の報告はない。一方肺炎合併例は、これまでに0〜60代の年代で168例報告されているが、0〜1歳児が43.4%を占めている(図8)。麻しん含有ワクチンの第1期の定期接種対象は1歳児であるため、これら肺炎合併例を含めた0歳児の症例は、接種対象者ではなく、1歳児の症例は接種が間にあわず、麻しんウイルスに暴露され感染してしまったものが大部分である。これらの者の患者発生を阻止するためには、可能な限り地域での麻しん流行を防ぐことが重要である。

図5. 麻しん累積報告数の年齢群別割合(2008年第1〜21週) 図6. 麻しん累積報告数のワクチン接種歴別年齢分布(2008年第1〜21週) 図7. 麻しん累積報告数のワクチン接種歴別割合(2008年第1〜21週)
図8. 肺炎合併麻しん累積報告数の年齢群別割合(2008年第1〜21週)

 2008年は1月から北海道、秋田県、神奈川県、福岡県で麻しんの流行がみられたが、その後秋田県を除く他の地域の麻しんの流行はまだ終息したとはいえない。特に、北海道と神奈川での報告数は、第21週もまだ50例を超えている状況である。北海道では、7月7〜9日に先進国首脳会議(サミット)が開催され、国内外の要人や多くの報道関係者などが参集する。この時期においても麻しんの流行が継続していれば、来日している関係者等において麻しん患者が発生し、さらには日本から麻しんを「輸出」する可能性が考慮される。このような国際問題を防ぐためにも現在の流行に対する早急な対応が重要である。
 これまでの経過を概観すると、麻しん患者の報告数は、ほとんどの学校等の冬休みがあけた、第2週から急増し、第5〜13週の期間は一週当たり400〜500台で推移した。第14週は、多くの学校等が春期休暇中であった影響もあり、麻しん患者の報告数は一時的に減少したが、第15週には再び増加がみられ、第17週には2008年で2番目に多い541例が報告された。その後、第18〜21週は減少傾向が続いている。しかし、5〜6月には、スポーツの対外試合や修学旅行などの行事を催す学校も多い。これら現在の麻しんの好発年齢層が多数参加する行事の間に、麻しん患者と接触する機会があった場合には、複数の学校・施設等において麻しんの集団発生を引き起こす可能性もあり、引き続き発生動向には注意が必要である。
 2008年4月1日より、1回しかワクチンを接種していない年齢層に対する補足的ワクチン接種を目的とした5年間の期限付き措置として、第3期(中学校1年生相当年齢)、第4期(高校3年生相当年齢)の定期予防接種が始まり、中学校、高校などでは、麻しん未罹患者や麻しん含有ワクチン未接種者の把握が行われるようになった。さらに、一部の大学では、新入生などを対象に、麻しんに対する免疫状態を把握し、ワクチン接種を推奨するといった対策を実施し始めた。現在の流行の中心の年齢層に対する、これらの感受性者対策が効を奏せば、2007年に比較して、全体の流行の規模が抑制される可能性もある。



 麻しんは、現代の日本においても、重篤な病態を引き起こす可能性のある感染症であることに変わりはなく、特にワクチン接種の対象にならない0歳児や、免疫低下を来たす基礎疾患を持つ者にとっては今もなお、「命さだめ」の病といえる。個人の感染予防だけではなく、これらのワクチンを接種できない人々を守るためにも、未罹患、未接種、1回のみ接種の者は、有効な予防手段であるワクチンの接種を受けることが勧められる。また、ワクチン接種を実施する自治体、医療機関等は、その安全な実施のために十分な配慮をすることが必要である。

 以下に、麻しん関連情報として感染症情報センターのホームページに掲載されている主な項目とそのURLを挙げる。 麻しん対策として活用いただければ幸いである。

■麻疹(はしか):http://idsc.nih.go.jp/disea se/measles/index.html
 □緊急情報「2012年麻疹排除(Elimination)に向けて」
  ●「麻疹」の届出基準・届け出様式、「風疹」の届出基準・届出様式、ポスター
  ●2008年4月1日以降の予防接種スケジュール
  ●2008〜2012年度麻疹・風疹の定期予防接種対象者
  ●第3期・第4期予防接種勧奨リーフレット

 □対策・ガイドラインなど
  ●麻疹の現状と今後の麻疹対策について
  ●都道府県における麻しん対策会議のガイドライン
  ●学校における麻しん対策ガイドライン
  ●麻しん排除に向けた積極的疫学調査ガイドライン第二版
  ●医師による麻しん届出ガイドライン第二版
  ●医療機関での麻疹対応ガイドライン第二版
  ●「麻しん対策ブロック会議」関連資料等
 □国内情報
  ●注目すべき感染症/速報
  ●麻しん発生状況(速報グラフ)
  ●麻しん施設別発生状況(学校欠席者数)
  ●病原微生物検出情報[IASR](麻疹特集・速報、ウイルス分離・検出状況他)
  ●平成19年度定期の予防接種(麻しん風しん第2期)の実施状況の調査結果について(第1報)
  ●わが国の健常人における麻疹PA抗体保有状況
□関連情報
  ●麻しんに関する特定感染症予防指針
  ●予防接種法施行令の一部を改正する政令 〜定期予防接種対象者に関する改正〜
  ●「定期の予防接種の実施について」の一部改正 〜定期(一類疾病)の予防接種実施要領の改正〜

■Q&A:http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/QA.html
■予防接種の話「麻疹」:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/b-measles.html
■年齢別麻疹、風疹、MMRワクチン接種率:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/atopics/atpcs001.html
■感染症の話「麻疹」:http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_03/k03_03.html
■麻疹発生DB(データベース):http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/meas-db.html
■「麻疹・風疹ワクチンなぜ2回接種なの?」ポスター:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cpn01.html
■「麻疹風疹混合ワクチンを1歳のお誕生日のプレゼントにしましょう」ポスター:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cpn04.html
■「小学校入学準備に2回目の麻疹・風疹ワクチンを!」ポスター:http://idsc.nih.go.jp/vaccine/cpn07.html
■麻疹教育啓発ビデオ「はしかから身を守るために」:
http://idsc.nih.go.jp/disease/measles/Video/measlesVideo.html
■Surveillance, Focus, Measles“Measles update in Japan as of end of week12(23 March2008)”:
http://idsc.nih.go.jp/disease/measles_e/idwr200812.html


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