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発生動向総覧
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1類感染症: | 報告なし | ||||||||||||||||||||||
2類感染症: | 結核278例 | ||||||||||||||||||||||
3類感染症: | コレラ1例(感染地域:埼玉県) 細菌性赤痢6例(感染地域:東京都1例、福岡県1例、中国1例、カンボジア1例、タイ1例、インドネシア1例) 腸管出血性大腸菌感染症121例(有症者80例、うちHUS1例)
パラチフス1例(感染地域:感染地域:ミャンマー) |
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4類感染症: | つつが虫病1例(感染地域:岩手県) デング熱2例(感染地域:フィリピン1例、ベトナム1例) 日本紅斑熱1例(感染地域:和歌山県) マラリア1例〔三日熱_感染地域:インド〕
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5類感染症: |
梅毒10例(早期顕症I期4例、早期顕症II期2例、無症候4例) 破傷風2例〔年齢群:70代(1例)、80代(1例)〕
(補)他に2008年第28週までに診断されたものの報告遅れとして、日本紅斑熱1例(感染地域:鹿児島県)、マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ケニア)、急性脳炎2例〔水痘-帯状疱疹ウイルス1例(2歳)、病原体不明1例(5歳)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例〔70代(1例)、80代(2例)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症3例(遺伝子型:VanC 1例_菌検出検体:腹水、遺伝子型:不明2例_菌検出検体:胆汁1例、便1例)、風しん2例〔臨床診断例2例.感染地域:東京都1例、福岡県1例.年齢群:20〜24歳(1例)、35〜39歳(1例)〕などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患によ
り小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000カ所)、眼科定点(約600カ所)、基
幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ:定点当たり報告数は第22週以降減少が続いている。都道府県別では沖縄県(1.36)、三重県(0.11)、京都府(0.08)、宮崎県(0.08)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は178例の報告があり、報告数は微増した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約79%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では鹿児島県(2.40)、新潟県(1.82)、宮崎県(1.69)、愛媛県(1.49)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第24週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では宮崎県(2.78)、埼玉県(2.71)、千葉県(2.42)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第22週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では大分県(6.8)、宮崎県(5.8)、島根県(5.6)が多い。水痘の定点当たり報告数は25週以降減少が続いている。都道府県別では山形県(2.60)、千葉県(2.22)、長野県(2.11)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第15週以降増加が続いている。都道府県別では石川県(11.4)、三重県(11.1)、富山県(9.6)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では新潟県(0.68)、宮城県(0.45)、岩手県(0.43)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では新潟県(0.15)、島根県(0.09)、徳島県(0.09)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第20週以降増加が続いている。都道府県別では埼玉県(8.6)、滋賀県(7.9)、群馬県(7.6)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では佐賀県(4.4)、宮崎県(2.8)、岐阜県(1.9)、高知県(1.9)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では沖縄県(4.9)、福島県(1.7)が多い。
◆ 腸管出血性大腸菌感染症
腸管出血性大腸菌感染症は、感染症法の3類感染症として、無症状病原体保有者を含む症例の報告が、診断した全ての医師に義務付けられている。無症状病原体保有者は、食品産業従事者等での検便によって発見される場合もあるが、届け出された患者と食事をともにした者や、接触者の調査などによって発見される場合が多い。届出の基準としては、大腸菌の分離・同定かつ分離菌におけるベロ毒素の確認が必要であるが、2006年4月以降は、溶血性尿毒症症候群(HUS)発症例に限り、便からのベロ毒素の検出や血清抗体(O抗原凝集抗体あるいはベロ毒素抗体)の検出によって診断された場合も届出の対象とされている。
2008年の腸管出血性大腸菌感染症報告数は、例年報告数の少ない第11週に一時的に増加した。これは佐賀県でオーストラリアへ修学旅行に行った高校生がO26 VT1に多数感染し、帰国した生徒から感染した家族の報告を含め、第10〜13週にかけて計76例が報告されたためである。その後は、第18週から徐々に増加し始め、第24週から急増し、第24週以降はほぼ100〜150例で推移している。第29週は121例であった(図)。本年第29週までの累積報告数1,382例は、2000年以降では5番目に多い(2000年1,300例、2001年1,824例、2002年1,407例、2003年1,015例、2004年1,406例、2005年1,391例、2006年1,321例、2007年1,576例)。
第29週に診断され報告のあった121例は、有症状者が80例(66%)で、無症状病原体保有者が41例(34%)であった。報告は32都府県からあり、都道府県別では、富山県(13例)、東京都(11例)、兵庫県(10例)、石川県(9例)、大阪府(9例)、長野県(8例)が多かった。感染地域としての都道府県別では、富山県(13例)、東京都(9例)、石川県(9例)、大阪府(9例)、長野県(7例)、兵庫県(7例)が多かった。富山県では第26週から保育施設における集団発生(O26 VT1)により報告が増加している。性別では男性56例、女性65例であり、年齢群別では0〜9歳49例、10〜19歳15例、20〜29歳および50〜59歳各13例の順に多かった。
第1〜29週に診断され報告のあった累積報告1,382例は有症状者が943例(68%)で、無症状病原体保有者が439例(32%)であった。報告はすべての都道府県からあり、報告の多い都道府県は、東京都(97例)、大阪府(80例)、佐賀県(80例)、神奈川県(76例)、福岡県(76例)、京都府(71例)であった。性別では男性638例、女性744例であり、年齢群別では0〜9歳405例(うち有症状者316例:78%)、10〜19歳268例(同204例:76%)、20〜29歳214例(同159例:74%)の順に多かった。
溶血性尿毒症症候群(HUS)は、第29週までに22例報告があった(表)。22例のうち6例は、菌の分離はされなかったが、血清抗体の検出により届け出られたものである。年齢は0〜4歳が10例、5〜9歳が4例、10代が7例、50代が1例となっており、22例中19例が15歳未満の小児であった。
また、死亡例は第27週に1例報告があり、基礎疾患に腎臓病を持つ60代女性(O157 VT2)であった。HUSなどの合併症や死亡については、届け出時点以降での発生が十分反映されていない可能性があるので、発生があった場合の追加・修正報告を自治体に依頼している。
図. 腸管出血性大腸菌の年別・週別発生状況(1999年第14週〜2008年第29週) |
表. 溶血性尿毒症症候群(HUS)届出症例(n=22)(2008年第1〜29週) |
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