発生動向総覧
※2008年5月12日の法改正に伴い、疾病の名称および並び順を一部変更しました。
〈第37週コメント〉 9月17日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 310例 |
3類感染症: |
コレラ2例(感染地域:フィリピン2例)
細菌性赤痢6例(感染地域:福岡県1例、インド3例、中国1例、エジプト1例)
腸管出血性大腸菌感染症175例(有症者96例、うちHUS 1例)
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感染地域:国内175例
国内の多い感染地域:福岡県44例1)、東京都20例、千葉県10例、岩手県9例2)、広島県9例、山形県8例3)、埼玉県8例、宮城県6例、石川県6例、神奈川県5例、福島県4例、大阪府4例
集団発生:保育園に関連 1)うち41例(第36週の4例とともに)、
3)うち6例
幼稚園に関連 2)2カ所の幼稚園で、うち7例
(第36週の7例とともに)
年齢群:0歳(2例)、1歳(6例)、2歳(4例)、3歳(16例)、4歳(15例)、5歳(14例)、6歳(5例)、7歳(8例)、8歳(6例)、9歳(2例)、10代(16例)、20代(26例)、30代(20例)、40代(11例)、50代(11例)、60代(7例)、70代(2例)、80代(4例)
血清型・毒素型:O26 VT1( 69例)、O157 VT1・VT2( 43例)、O157 VT2(33例)、O103 VT1(9例)、O145 VT1(8例)、O111 VT1(2例)、O121 VT2(2例)、O55 VT1(1例)、O91 VT1(1例)、O111 VT1・VT2(1例)、O145 VT2(1例)、O146 VT1(1例)、O157 VT1(1例)、その他・不明(3例)
累積報告数:3,253例(有症者2,178例、うちHUS 56例、死亡4例)
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腸チフス2例(感染地域:インド1例、ネパール1例)
パラチフス1例(感染地域:宮崎県)
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4類感染症: |
A型肝炎6例(感染地域:宮城県1例、愛知県1例、山口県1例、インドネシア1例、インド1例、フィリピン1例)
つつが虫病2例(感染地域:秋田県1例、長崎県1例) デング熱3例(感染地域:ベトナム1例、インド1例、グアテマラ/ホンジュラス1例) 日本紅斑熱1例(感染地域:宮崎県)
レジオネラ症27例(肺炎型26例、ポンティアック型1例)
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感染地域:静岡県4例(うち2例温泉)、北海道3例、神奈川県2例、大阪府2例(うち1例温泉)、岡山県2例、福岡県2例、岩手県1例、山形県1例、東京都1例、富山県1例、石川県1例、滋賀県1例、兵庫県1例、熊本県1例(温泉)、大分県1例(温泉)、静岡県(温泉)/愛知県(温泉)1例、国内(都道府県不明)2例
年齢群:50代(5例)、60代(11例)、70代(7例)、80代(4例)
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レプトスピラ症1例(感染地域:沖縄県_感染原因:川)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢13例(腸管アメーバ症8例、腸管外アメーバ症1例、腸管及び腸管外アメーバ症4例) |
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感染地域:東京都2例、北海道1例、埼玉県1例、大阪府1例、広島県1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)2例、マレーシア1例、インドネシア1例、ニュージーランド1例、国外(国不明)1例
感染経路:経口感染3例、性的接触1例(同性間)、不明9例
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ウイルス性肝炎4例 |
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C型肝炎2例_感染経路:性的接触1例(同性間)、不明1例
B型肝炎1例_感染経路:性的接触(異性間・同性間不明)
サイトメガロウイルス肝炎1例_性的接触(異性間・同性間不明)/介護中の接触
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急性脳炎1例(A型インフルエンザウイルス_年齢群:5歳) クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性プリオン病古典型)
後天性免疫不全症候群26例(AIDS 4例、無症候18例、その他4例) |
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感染地域:国内24例、タイ1例、国外(国不明)1例
感染経路:性的接触22例(異性間6例、同性間16例)、性的接触(異性間)/静注薬物使用1例、不明3例
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ジアルジア症2例(感染地域:インド2例)
梅毒9例(早期顕症I期3例、早期顕症II期3例、無症候3例)
破傷風1例(年齢群:60代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanB _菌検出検体:血液・尿・痰)
風しん1例(臨床診断例)
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感染地域:広島県_年齢群:25〜29歳
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麻しん17例〔麻しん(検査診断例5例、臨床診断例7例)、修飾麻しん(検査診断例5例)〕
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感染地域:国内17例
国内の多い感染地域:神奈川県4例、福島県2例、千葉県2例、東京都2例、愛媛県2例
年齢群:0歳(1例)、1歳(8例)、5〜9歳(1例)、10〜14歳(1例)、15〜19歳(1例)、20〜24歳(2例)、25〜29歳(1例)、30〜34歳(1例)、35〜39歳(1例)
累積報告数:10,774例〔麻しん(検査診断例3,101例、臨床診断例6,700例)、修飾麻しん(検査診断例973例)〕
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(補)他に2008年第36週までに診断されたものの報告遅れとして、日本紅斑熱5例(感染地域:三重県4例、熊本県1例)、マラリア2例(熱帯熱1例_感染地域:パプアニューギニア、卵形1例_感染地域:ウガンダ/ケニア)、急性脳炎3例〔病原体不明3例(0歳、7歳、20代)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(30代.死亡)、風しん1例(検査診断例.感染地域:千葉県.年齢群:15〜19歳)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は微増した。都道府県別では沖縄県(0.33)、香川県(0.11)、栃木県(0.08)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は993例の報告があり、報告数は第34週以降増加が続いている。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約75%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では鹿児島県(1.51)、宮崎県(1.17)、佐賀県(0.91)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第34週以降増加が続いており、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では大分県(2.00)、鳥取県(1.95)、北海道(1.54)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では福井県(6.0)、宮崎県(5.9)、大分県(5.6)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では宮崎県(1.06)、熊本県(0.83)、三重県(0.80)が多い。手足口病の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では新潟県(10.8)、熊本県(4.0)、北海道(3.5)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では福島県(0.29)、新潟県(0.18)、大分県(0.17)が多い。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では長野県(0.13)、秋田県(0.09)、広島県(0.08)、福岡県(0.08)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は減少した。都道府県別では山形県(5.3)、新潟県(3.7)、秋田県(2.6)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(3.1)、佐賀県(2.9)、群馬県(1.5)、滋賀県(1.5)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では富山県(2.40)、福島県(2.29)、宮城県(2.25)が多い。
〈8月コメント〉
◆性感染症について 2008年9月11日集計分 性感染症定点数:966
(産婦人科・産科・婦人科:466、泌尿器科:394、皮膚科92、性病科14)
●月別推移
2008年8月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.56(男1.14、女1.42)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.70(男0.29、女0.42)、尖圭コンジローマが0.56(男0.35、女0.21)、淋菌感染症が0.95(男0.77、女0.18)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)
前月に比べると、男女ともに、淋菌感染症は増加し、他の3疾患は減少した(21〜24ページ「グラフ総覧」参照)。
男女別に過去5年間の同時期と比較すると、性器クラミジア感染症は男女ともにやや少なかった。性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともにかなり少なかった。尖圭コンジローマは女性でやや少なかった。淋菌感染症は男女ともにやや少なかった(図2)。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(8月) |
●男女別・年齢階級別
年齢群(0歳、1〜4歳、5〜69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では性器クラミジア感染症は、20〜29歳の2つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は25〜29歳、尖圭コンジローマは25〜34歳の2つの年齢群、淋菌感染症では20〜29歳の2つの年齢群であった。一方、女性では性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症は20〜24歳、性器ヘルペスウイルス感染症は20〜29歳の二つの年齢群であり、女性の罹患年齢が男性に比べてやや若い傾向が認められた(図3:PDF参照)。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患は、男性では60代以降は僅かであり、女性では50代以降の報告はないか、あっても僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、報告数や年齢群分布において明らかな変化は見られておらず、この基準変更の周知徹底が必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、淋菌感染症では、すべての年齢群で男性が女性よりも多かった。一方、性器クラミジア感染症では15〜29歳の3つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では15〜29歳、35〜39歳、55〜59歳、65〜69歳、70歳以上の7つの年齢群、尖圭コンジローマでは15〜24歳の2つの年齢群の、比較的低い年齢層を中心に女性が男性よりも多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較についてはそれらの比率の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15〜29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に図4(PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症と淋菌感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられる。一方、性器ヘルペスウイルス感染症と尖圭コンジローマは、男女ともに2005年半ば頃からごく微かな減少傾向がみられるものの、この間全体としてはほぼ横ばいの状況である。
前月との比較では、男性では性器クラミジア感染症と尖圭コンジローマは減少し、性器ヘルペスウイルス感染症は同値で、淋菌感染症は増加した。女性も同様に、性器クラミジア感染症と尖圭コンジローマは減少し、性器ヘルペスウイルス感染症は同値で、淋菌感染症は増加した。
◆薬剤耐性菌について (9月11日集計分)
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基幹定点数(8月):469.
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
4.38(前月:4.31、前年同月:4.87)
定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。8月は前月より若干増加し、過去9年間の同月との比較では上位に属した。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
0.60(前月:0.74、前年同月:0.58)
定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7〜9月)に少なく推移している。8月は前月より若干減少し、過去9年間の同月との比較では下位に属した。
薬剤耐性緑膿菌感染症
0.08(前月:0.09、前年同月:0.14)
定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。8月は前月より若干減少し、過去9年間の同月との比較では最も低かった。
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●年齢階級別
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MRSA感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の61%を占めている(図1:PDF参照)
PRSP感染症
小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の63%を占める一方、70歳以上が全体の17%を占めている(図2:PDF参照)。
薬剤耐性緑膿菌感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の61%を占めている(図3:PDF参照)
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=1.7:1
PRSP感染症…男:女=1.7:1
薬剤耐性緑膿菌感染症…男:女=1.8:1
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●都道府県別
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MRSA感染症 定点当たり報告数は沖縄県(10.0)、新潟県(8.9)、栃木県(8.0)が多い。
PRSP感染症 定点当たり報告数は大分県(2.6)、千葉県(2.1)、神奈川県(1.4)が多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症
報告総数が36件にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
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