発生動向総覧
※2008年5月12日の法改正に伴い、疾病の名称および並び順を一部変更しました。
〈第42週コメント〉 10月22日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 239例 |
3類感染症: |
コレラ1例(感染地域:沖縄県)
細菌性赤痢3例(感染地域:大阪府1例、キューバ1例、ガーナ1例)
腸管出血性大腸菌感染症91例(有症者46例、うちHUS 3例)
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感染地域:国内91例
国内の多い感染地域:東京都31例1)、千葉県9例2)、佐賀県9例、山形県4例、埼玉県4例、岡山県4例、福岡県3例
集団発生:1)うち30例は保育園に関連、
2)うち8例は第41週の5例とともに社会福祉施設に関連
年齢群:0歳(2例)、1歳(6例)、2歳(13例)、3歳(11例)、4歳(9例)、5歳(2例)、6歳(3例)、7歳(1例)、8歳(1例)、9歳(1例)、10代(5例)、20代(6例)、30代(14例)、40代(5例)、50代(6例)、60代(3例)、70代(2例)、80代(1例)
血清型・毒素型:O111 VT1・VT2( 28例)、O157 VT2( 18例)、O26 VT1( 17例)、O157 VT1・VT2( 16例)、O145 VT(13例)、O157 VT(13例)、O91 VT(11例)、その他・不明(5例)
累積報告数:3,801例(有症者2,488例、うちHUS 75例、死亡7例)
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腸チフス2例(感染地域:インド2例)
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4類感染症: |
A型肝炎1例(感染地域:佐賀県)
つつが虫病2例(感染地域:福島県1例、鹿児島県1例) デング熱1例(感染地域:ツバル) 日本紅斑熱3例(感染地域:神奈川県1例、和歌山県1例、熊本県1例) マラリア2例(熱帯熱2例_感染地域:インド1例、ブルキナファソ1例)
レジオネラ症8例(肺炎型7例、ポンティアック型1例)
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感染地域:群馬県1例、埼玉県1例、千葉県1例、東京都1例、山梨県1例(温泉)、静岡県1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:50代(3例)、60代(2例)、80代(2例)、90代(1例)
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レプトスピラ症2例
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感染地域:鹿児島県1例_感染原因:用水路
感染地域:沖縄県1例_感染原因:川
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5類感染症: |
アメーバ赤痢9例(腸管アメーバ症7例、腸管外アメーバ症2例) |
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感染地域:石川県2例、秋田県1例、富山県1例、国内(都道府県不明)3例、タイ1例、国外(国不明)1例
感染経路:経口感染2例、性的接触2例(異性間1例、異性間・同性間不明1例)、不明5例
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ウイルス性肝炎1例(B型肝炎_感染経路:不明)
急性脳炎5例〔病原体不明5例_年齢群:1歳(1例)、5〜9歳(1例)、10代(2例)、90代(1例)〕
クロイツフェルト・ヤコブ病3例(孤発性プリオン病古典型3例)
後天性免疫不全症候群21例(AIDS 5例、無症候15例、その他1例) |
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感染地域:国内20例、中国1例
感染経路:性的接触19例(異性間2例、同性間16例、異性/同性間1例)、不明1例、その他1例
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梅毒10例(早期顕症I期3例、早期顕症II期3例、無症候4例)
破傷風2例〔年齢群:70代(1例)、90代(1例)〕
風しん2例(検査診断例1例、臨床診断例1例)
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感染地域:大阪府1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:1歳(1例)、30〜34歳(1例)
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麻しん14例〔麻しん(検査診断例4例、臨床診断例5例)、修飾麻しん(検査診断例)5例〕
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感染地域:国内14例
国内の感染地域:千葉県8例、栃木県2例、神奈川県2例、和歌山県1例、福岡県1例
年齢群:0歳(2例)、1歳(6例)、2歳(1例)、3歳(1例)、10〜14歳(2例)、25〜29歳(1例)、35〜39歳(1例)
累積報告数:10,861例〔麻しん(検査診断例3,123例、臨床診断例6,740例)、修飾麻しん(検査診断例)998例〕
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(補)また、2008年第41週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢2例(感染地域:神奈川県1例、ベトナム1例)、エキノコックス症1例(多包条虫_感染地域:北海道)、マラリア2例(熱帯熱1例_感染地域:ナイジェリア.三日熱1例_感染地域:インド)、レプトスピラ症7例(感染地域:沖縄県7例.感染原因:川6例、ネズミ1例)、急性脳炎1例〔ヒトヘルペスウイルス6型1例(1歳)〕などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では大阪府(0.33)、沖縄県(0.31)、大分県(0.16)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は1,557例の報告があり、報告数は減少した。年齢別では1歳以下の報告数が全体の約74%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では新潟県(0.54)、宮崎県(0.50)、沖縄県(0.47)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では北海道(1.91)、大分県(1.89)、鳥取県(1.84)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では宮崎県(7.1)、島根県(5.4)、大分県(5.0)、が多い。水痘の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では新潟県(1.49)、山形県(1.43)、岩手県(1.20)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第37週以降減少が続いている。都道府県別では熊本県(2.38)、新潟県(2.02)、青森県(1.76)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では福島県(0.27)、宮城県(0.18)、群馬県(0.11)が多い。百日咳の定点当たり報告数は2連続で減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では広島県(0.13)、沖縄県(0.09)、新潟県(0.07)、香川県(0.07)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第37週以降減少が続いている。都道府県別では佐賀県(1.43)、熊本県(0.79)、山形県(0.60)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では高知県(2.13)、佐賀県(1.78)、宮崎県(1.78)、滋賀県(1.06)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では福島県(3.7)、愛媛県(1.5)、栃木県(1.3)が多い。
〈9月コメント〉
◆性感染症について 2008年10月10日集計分 性感染症定点数:973
(産婦人科・産科・婦人科:466、泌尿器科:401、皮膚科92、性病科14)
●月別推移
2008年9月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.67(男1.12、女1.55)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.67(男0.28、女0.39)、尖圭コンジローマが0.55(男0.29、女0.25)、淋菌感染症が0.91(男0.74、女0.17)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)
前月に比べると、男性では4疾患すべてが減少し、女性では性器クラミジア感染症と尖圭コンジローマが増加し、性器ヘルペスウイルス感染症と淋菌感染症が減少した(21〜24ページ「グラフ総覧」参照)。
男女別に過去5年間の同時期と比較すると、性器クラミジア感染症は男女ともにやや少なかった。性器ヘルペスウイルス感染症は男性でやや少なく、女性でかなり少なかった。尖圭コンジローマは男性でやや少なかった。淋菌感染症は男女ともにやや少なかった(図2)。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(9月) |
●男女別・年齢階級別
年齢群(0歳、1〜4歳、5〜69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では性器クラミジア感染症は、25〜29歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は30〜39歳の2つの年齢群、尖圭コンジローマは30〜34歳の年齢群、淋菌感染症では25〜29歳の年齢群であった。一方、女性では4疾患すべてにおいて20〜24歳の年齢群であり、女性の罹患年齢が男性に比べてやや若い傾向が認められた(PDF:図3)。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患は、男性では60代以降は僅かであり、女性では50代以降の報告はないか、あっても僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、報告数や年齢群分布において明らかな変化は見られておらず、この基準変更の周知徹底が必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、淋菌感染症では、すべての年齢群で男性が女性よりも多かった。一方、性器クラミジア感染症では10〜29歳の4つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では15〜34歳の4つの年齢群、尖圭コンジローマでは15〜29歳の3つの年齢群の、比較的低い年齢層を中心に女性が男性よりも多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較についてはそれらの比率の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15〜29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(PDF:図4)に示した。性器クラミジア感染症と淋菌感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられる。一方、性器ヘルペスウイルス感染症と尖圭コンジローマは、男女ともにこの間全体としてはほぼ横ばいの状況であるが、女性において2005年半ば頃から微かな減少傾向がみられる。
前月との比較では、男性では4疾患すべて減少した。女性では、性器クラミジア感染症と尖圭コンジローマは増加し、性器ヘルペスウイルス感染症と淋菌感染症は減少した。
◆薬剤耐性菌について (10月10日集計分)
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基幹定点数(9月):467.
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
4.17(前月:4.38、前年同月:4.19)
定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。9月は前月より減少したが、過去9年間の同月との比較では上位に属した。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
0.59(前月:0.60、前年同月:0.50)
定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7〜9月)に少なく推移している。9月は前月より若干減少したが、過去9年間の同月との比較では中位に属した。
薬剤耐性緑膿菌感染症
0.09(前月:0.08、前年同月:0.11)
定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。9月は前月より若干増加したが、過去9年間の同月との比較では最も低かった。
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●年齢階級別
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MRSA感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の65%を占めている(図1:PDF参照)
PRSP感染症
小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の65%を占める一方、70歳以上が全体の19%を占めている(図2:PDF参照)。
薬剤耐性緑膿菌感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の70%を占めている(図3:PDF参照)
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=1.6:1
PRSP感染症…男:女=1.6:1
薬剤耐性緑膿菌感染症…男:女=1.9:1
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●都道府県別
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MRSA感染症
定点当たり報告数は新潟県(9.9)、山口県(8.3)、福島県(8.0)が多い。
PRSP感染症
定点当たり報告数は千葉県(4.1)、大分県(3.2)、山形県(1.5)が多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症
報告総数が44件にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
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