発生動向総覧
※2008年5月12日の法改正に伴い、疾病の名称および並び順を一部変更しました。
〈第3週コメント〉 1月21日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 221例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢4例
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感染地域:インドネシア2例、インド1例、タイ/インド1例
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腸管出血性大腸菌感染症16例(有症者12例、うちHUS 1例)
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感染地域:国内16例
国内の感染地域:群馬県3例、石川県3例、岐阜県2例、北海道1例、山形県1例、東京都1例、神奈川県1例、三重県1例、和歌山県1例、高知県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:7歳(1例)、8歳(1例)、10代(2例)、20代(6例)、30代(2例)、40代(2例)、50代(1例)、60代(1例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(4例)、O157 VT2(4例)、O157 VT1・VT2及びO157 VT2(3例)、O91 VT1(2例)、その他・不明(3例)
累積報告数:33例(有症者22例、うちHUS 3例)
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4類感染症: |
A型肝炎1例(感染地域:スペイン/モロッコ)
コクシジオイデス症1例(感染地域:米国)
つつが虫病3例(感染地域:岩手県1例、茨城県1例、鹿児島県1例) デング熱1例(感染地域:スリランカ)
マラリア1例(三日熱_感染地域:ブラジル)
レジオネラ症12例(肺炎型12例)
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感染地域:静岡県3例、東京都2例(温泉1例)、神奈川県2例、富山県1例(温泉)、愛知県1例、京都府1例、タイ1例(温泉)、国内・国外不明1例
年齢群:60代(3例)、70代(4例)、80代(4例)、90代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢11例(腸管アメーバ症9例、腸管外アメーバ症1例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:宮城県1例、東京都1例、石川県1例、愛知県1例、京都府1例、大阪府1例、国内(都道府県不明)2例、インドネシア1例、エジプト1例、国内・国外不明1例
感染経路:経口感染4例、性的接触2例(異性間1例、異性間・同性間不明1例)、不明5例
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急性脳炎2例〔A型インフルエンザウイルス2例_年齢群:1歳(1例)、4歳(1例.死亡)〕
劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例〔年齢群:50代(1例)、60代(1例)、70代(1例.死亡)〕
後天性免疫不全症候群17例(AIDS 5例、無症候10例、その他2例) |
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感染地域:国内12例、国内/タイ1例、タイ2例、中国1例、国内・国外不明1例
感染経路:性的接触15例(異性間3例、同性間11例、異性/同性間1例)、不明2例
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梅毒10例(早期顕症I期7例、早期顕症II期2例、無症候1例)
破傷風1例(年齢群:60代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例 |
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遺伝子型:VanB 1例_菌検出検体:喀痰・尿・便
VanC 1例_菌検出検体:血液
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風しん1例(臨床診断例)
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感染地域:福岡県
年齢群:15〜19歳
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麻しん15例〔麻しん(検査診断例2例、臨床診断例10例)、修飾麻しん(検査診断例3例)〕
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感染地域:国内15例
国内の感染地域:東京都3例、千葉県2例、宮城県1例、神奈川県1例、福井県1例、長野県1例、静岡県1例、愛知県1例、福岡県1例、大分県1例、国内(都道府県不明)2例
年齢群:0歳(1例)、1歳(2例)、2歳(2例)、5歳(1例)、6歳(2例)、8歳(1例)、15〜19歳(1例)、30〜34歳(2例)、35〜39歳(1例)、40代(2例)
累積報告数:43例〔麻しん(検査診断例10例、臨床診断例26例)、修飾麻しん(検査診断例7例)〕
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(補)他に2009年第2週までに診断されたものの報告遅れとして、E型肝炎1例(感染地域:不明.感染源:不明)、デング熱1例(感染地域:ベトナム)、日本紅斑熱2例(感染地域:徳島県2例)、レジオネラ症1例〔感染地域:富山県(温泉)〕、急性脳炎5例〔A型インフルエンザウイルス2例(7歳、40代)、ヒトヘルペスウイルス6型1例(0歳)、コクサッキーB5ウイルス1例(0歳)、病原体不明1例(10代)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(90代)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanB _菌検出検体:血液・創滲出液)、風しん1例(臨床診断例.感染地域:福岡県.年齢群:10〜14歳)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では沖縄県(65.3)、宮崎県(36.3)、岡山県(31.8)、愛媛県(27.9)、大分県(27.9)、滋賀県(26.7)、長崎県(26.1)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症は730例と報告数は減少した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約82%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では鹿児島県(0.56)、石川県(0.52)、新潟県(0.51)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では山形県(3.8)、福井県(3.4)、富山県(3.2)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では宮崎県(17.5)、福井県(16.0)、愛媛県(15.5)、島根県(15.3)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では宮崎県(2.53)、沖縄県(2.35)、新潟県(2.30)が多い。手足口病の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では青森県(0.59)、高知県(0.50)、島根県(0.35)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では広島県(0.35)、福島県(0.31)、神奈川県(0.25)が多い。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では広島県(0.13)、福岡県(0.12)、沖縄県(0.12)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は減少した。都道府県別では栃木県(0.10)、島根県(0.09)、京都府(0.07)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では福井県(2.91)、高知県(1.93)、福岡県(1.43)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では福島県(2.00)、沖縄県(2.00)、愛媛県(1.50)が多い。
〈12月コメント〉
◆性感染症について 2009年1月13日集計分 性感染症定点数:967
(産婦人科・産科・婦人科:464、泌尿器科:397、皮膚科92、性病科14)
●月別推移
2008年12月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.17(男0.99、女1.18)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.65(男0.25、女0.40)、尖圭コンジローマが0.41(男0.23、女0.18)、淋菌感染症が0.82(男0.64、女0.18)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)
前月に比べると、男性では性器ヘルペスウイルス感染症で減少したが、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患で増加した。女性では尖圭コンジローマでは減少したが、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、淋菌感染症の3疾患で増加した(32〜35ページ「グラフ総覧」参照)。
過去5年間の同時期と比較すると、男性では性器クラミジア感染症と淋菌感染症でやや少なく、性器ヘルペスウイルス感染症と尖圭コンジローマでかなり少なかった。女性では性器クラミジア感染症と性器ヘルペスウイルス感染症でやや少なく、尖圭コンジローマでかなり少なかった(図2)。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(12月) |
●男女別・年齢階級別
年齢群(0歳、1〜4歳、5〜69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では、性器クラミジア感染症は25〜29歳の年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は25〜39歳の3つの年齢群、尖圭コンジローマは25〜29歳の年齢群、淋菌感染症では20〜24歳の年齢群であった。一方、女性では、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患では20〜24歳、性器ヘルペスウイルス感染症では25〜29歳の年齢群であり、全体的にみて女性の罹患年齢が男性に比べてやや若い傾向が認められた(図3:PDF参照)。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患は、男性では60代以降は僅かであり、女性では50代以降の報告はないか、あっても僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、報告数や年齢群分布において明らかな変化は見られておらず、この基準変更の周知徹底が必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、淋菌感染症では、すべての年齢群で男性が女性よりも多かった。一方、性器クラミジア感染症では15〜29歳の3つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では15〜34歳、50〜59歳、70歳以上の7つの年齢群、尖圭コンジローマでは15〜24歳の2つの年齢群の、比較的低い年齢層を中心に女性が男性よりも多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較についてはそれらの比率の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15〜29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に図4に示した。性器クラミジア感染症と淋菌感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられる。一方、性器ヘルペスウイルス感染症と尖圭コンジローマは、男女ともにこの間全体としてはほぼ横ばいの状況であるが、女性において2005年半ば頃からやや減少傾向がみられる。
前月との比較では、男性では性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症では同値、尖圭コンジローマで減少、淋菌感染症で増加した。女性では、性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで減少、淋菌感染症で増加した。
◆薬剤耐性菌について (1月13日集計分)
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基幹定点数(12月):466.
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
4.26(前月:4.01、前年同月:4.26)
定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。12月は前月より増加し、過去9年間の同月との比較では最も高かった。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
1.29(前月:1.10、前年同月:1.14)
定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7〜9月)に少なく推移している。12月は前月より増加したが、過去9年間の同月との比較では中位に属した。
薬剤耐性緑膿菌感染症
0.08(前月:0.06、前年同月:0.08)
定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。12月は前月より増加した
が、過去9年間の同月との比較では下位に属した。
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●年齢階級別
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MRSA感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の68%を占めている(図1:PDF参照)
PRSP感染症
小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の65%を占める一方、70歳以上が全体の21%を占めている(図2:PDF参照)。
薬剤耐性緑膿菌感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の72%を占めている(図3:PDF参照)
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=1.8:1
PRSP感染症…男:女=1.3:1
薬剤耐性緑膿菌感染症…男:女=1.3:1
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●都道府県別
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MRSA感染症
定点当たり報告数は新潟県(9.4)、福島県(8.3)、島根県(7.9)が多い。
PRSP感染症
定点当たり報告数は高知県(4.9)、千葉県(4.3)、埼玉県(4.2)が多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症
報告総数が39件にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
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注目すべき感染症
◆ インフルエンザ
インフルエンザ(Influenza)は、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられている。現在ヒトからヒトに感染して臨床的に問題となっているインフルエンザウイルスにはA香港型(A/H3N2亜型)、Aソ連型(A/H1N1亜型)、B型の3種類がある。インフルエンザはいわゆる「かぜ」と比べて全身症状が強く、また重症化することがあり、加えて様々な合併症を招く可能性がある。合併症等がなければ、約1週間の経過で軽快するものの、とくに高齢者や、基礎疾患を持っている場合などでは原疾患の悪化と共に、二次的な細菌性肺炎を起こす場合がある。また、小児では中耳炎の合併や熱性痙攣、気管支喘息の誘発を招く場合がある。更に乳幼児を中心とした小児においては、稀ではあるものの急性脳症(インフルエンザ脳症)を合併する場合がある。インフルエンザが疑われる症状を呈した場合は、速やかに医療機関を受診して医師の診断と適切な治療を受けることが重要である。 インフルエンザは、罹患している人の咳、くしゃみ、つばなどの飛沫と共に放出されたウイルスを、鼻腔や気管など気道に吸入することによる飛沫感染が主な感染経路であり、飛沫等を介する間接的接触による接触感染もあると考えられている。インフルエンザの流行時には、不特定多数の人が集まる場所に行くことはできれば避けるべきであり、外出する際のマスクの利用や帰宅時のうがい、手洗いが奨められる。また、インフルエンザの主な感染経路が飛沫感染であることより、周囲への感染拡大を防止する意味から、インフルエンザに罹患している人、咳嗽などの症状のある人は特に、マスクの着用等の咳エチケットが推奨される。
感染症発生動向調査によると、2009年第3週のインフルエンザの定点当たり報告数は20.84(報告数99,637)となり、今シーズン(2008/09年シーズン)に入っての最高値であった第2週(定点当たり報告数11.94)を大幅に上回った(図1)。都道府県別では沖縄県(65.3)、宮崎県(36.3)、岡山県(31.8)、愛媛県(27.9)、大分県(27.9)、滋賀県(26.7)、長崎県(26.1)、奈良県(25.7)、広島県(25.7)、愛知県(25.2)の順であり、全国的な流行の拡大がみられていることに加えて、特に沖縄県と宮崎県からの報告数が急増している(図2、図3)。2008年第36週〜2009年第3週までの定点当たり累積報告数は56.42(累積報告数266,014)であり、年齢別では5〜9歳71,578例(26.9%)、0〜4歳62,858例(23.6%)、10〜14歳34,358例(12.9%)、30〜39歳28,066例(10.6%)、20〜29歳27,027例(10.2%)の順となっている(図4)。第36週以降のインフルエンザウイルスの分離報告数は43都道府県から1,031件あり、その内訳はAH1亜型459件(44.5%)、AH3亜型421件(40.8%)、B型151件(14.6%)となっている(図5)。第2週まではAH3亜型の報告割合が最多であったが、AH1亜型の分離報告の割合が増加し、第3週ではAH1亜型の報告割合が最多となった(図6)。特に全国的な流行が開始となった第49週以降に限ると、インフルエンザウイルスの総分離報告数776件のうち、AH1亜型は413件(53.2%)と半数以上を占めている。
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図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(1999〜2009年第3週) |
図2. インフルエンザの都道府県別報告状況(2009年第3週) |
図3. 主要都道府県におけるインフルエンザの週別推移(2008年第25週〜2009年第3週) |
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図4. 2008/09シーズンのインフルエンザ累積報告数の年齢群別割合(2008年第36週〜2009年第3週) |
図5. インフルエンザウイルス型別分離・検出割合報告(2008年第36週〜2009年第3週) |
図6. インフルエンザウイルス分離・検出報告数の週別推移(2008年第20週〜2009年第3週) |
昨シーズンからAH1亜型ウイルスについてはリン酸オセルタミビル耐性ウイルスが出現した。今シーズンでは、米国などで分離同定されたAH1亜型ウイルスの多くはリン酸オセルタミビル耐性であるとの報告があった(Influenza Activity---United States, September 28 --- November 29, 2008;MMWR http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm5749a3.htm)。我が国でも、今シーズン国内で分離されたAH1亜型ウイルスの大半が同薬剤に対して耐性であると報告された(IASR:インフルエンザ速報記事http://idsc.nih.go.jp/iasr/influ.html)。今シーズンは、間もなくインフルエンザの流行のピークを迎える可能性が高いが、現在の国内の流行はAH1亜型ウイルスとAH3亜型ウイルスの混合流行であり、特にAH1亜型ウイルスが優勢である。インフルエンザ対策としてはまず予防に努めることが第1であるが、発病した可能性がある場合は速やかに医療機関を受診し、インフルエンザと判明した場合は、地域の流行状況を踏まえ、適切な治療を受けるべきである。
今後ともインフルエンザの患者発生状況、ウイルス分離報告に対しては注意深い観察が必要で
ある。
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