発生動向総覧
※2008年5月12日の法改正に伴い、疾病の名称および並び順を一部変更しました。
〈第15週コメント〉 4月15日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 331例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢4例
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感染地域:神奈川県1例、インド3例
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腸管出血性大腸菌感染症16例(有症者9例)
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感染地域:国内16例
国内の感染地域:石川県2例、岐阜県2例、山口県2例、福岡県2例、北海道1例、秋田県1例、福島県1例、神奈川県1例、愛知県1例、滋賀県1例、和歌山県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:2歳(1例)、9歳(1例)、10代(2例)、20代(2例)、30代(3例)、50代(3例)、60代(1例)、70代(1例)、80代(2例)
血清型・毒素型:O26 VT1(2例)、O111 VT2(2例)、O157 VT2(2例)、O157 VT1・VT2(2例)、O103 VT1(1例)、O145 VT1(1例)、O157 VT1(1例)、その他・不明(5例)
累積報告数:242例(有症者160例、うちHUS 7例)
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腸チフス2例(感染地域:カンボジア1例、インド1例) パラチフス1例(感染地域:インド)
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4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:滋賀県_感染源:不明) A型肝炎1例(感染地域:愛媛県) エキノコックス症1例(多包条虫_感染地域:北海道) ブルセラ症1例(感染地域:埼玉県_感染源:イヌ) マラリア1例(三日熱1例_感染地域:ケニア)
レジオネラ症8例(肺炎型8例)
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感染地域:青森県1例(温泉)、群馬県1例、岐阜県1例、静岡県1例、大阪府1例(温泉)、山口県1例(温泉)、大分県1例(温泉)、沖縄県1例
年齢群:40代(1例)、50代(2例)、60代(3例)、70代(1例)、80代(1例)
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レプトスピラ症1例(感染地域:三重県_感染原因:不明)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢8例(腸管アメーバ症8例) |
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感染地域:埼玉県1例、東京都1例、国内(都道府県不明)4例、インド1例、国外(国不明)1例
感染経路:経口感染3例、性的接触1例(異性間)、不明4例
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急性脳炎4例
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B型インフルエンザウイルス1例_年齢群:1歳
単純ヘルペスウイルス1例_年齢群:60代
病原体不明2例_年齢群:0歳(1例)、10代(1例)
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クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性プリオン病古典型)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例
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年齢群:40代(死亡)
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後天性免疫不全症候群18例(AIDS 4例、無症候13例、その他1例) |
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感染地域:国内15例、国内・国外不明3例
感染経路:性的接触15例(異性間3例、同性間11例、異性間・同性間不明1例)、不明3例
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ジアルジア症2例(感染地域:神奈川県1例、インド1例)
髄膜炎菌性髄膜炎1例(感染地域:栃木県_年齢群:1歳)
梅毒2例(早期顕症II期2例)
破傷風1例(年齢群:80代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:腹水)
風しん5例(検査診断例3例、臨床診断例2例) |
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感染地域:千葉県1例、愛知県1例、滋賀県1例、広島県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:1歳(1例)、10〜14歳(1例)、20〜24歳(1例)、30〜34歳(1例)、35〜39歳(1例)
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麻しん16例〔麻しん(検査診断例4例、臨床診断例9例)、修飾麻しん(検査診断例)3例〕
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感染地域:国内14例、宮崎県/アフガニスタン1例、インドネシア1例
国内の感染地域:千葉県4例、埼玉県2例、宮城県1例、栃木県1例、神奈川県1例、長野県1例、愛知県1例、大阪府1例、兵庫県1例、福岡県1例
年齢群:0歳(1例)、1歳(3例)、2歳(1例)、3歳(1例)、10〜14歳(1例)、15〜19歳(1例)、25〜29歳(2例)、30〜34歳(2例)、35〜39歳(1例)、40代(3例)
累積報告数:231例〔麻しん(検査診断例72例、臨床診断例115例)、修飾麻しん(検査診断例44例)〕
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(補)他にマラリア1例の報告があったが削除予定。また、2009年第14週までに診断されたものの報告遅れとして、マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ナイジェリア)、レジオネラ症1例(感染地域:沖縄県.死亡)、急性脳炎4例〔EBウイルス1例(70代)、病原体不明3例(1歳1例、5歳1例.死亡、20代1例)〕、クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性プリオン病古典型.死亡)、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(6歳)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:腹腔内膿瘍)、風しん2例〔検査診断例1例、臨床診断例1例.感染地域:埼玉県1例、福岡県1例.年齢群:10〜14歳(1例)、15〜19歳(1例)〕などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は第12週より減少が続いている。都道府県別では石川県(12.3)、秋田県(11.1)、福井県(10.8)、福島県(10.0)、鹿児島県(9.1)、宮崎県(8.6)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は358例と微増した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約79%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では北海道(0.68)、島根県(0.65)、福井県(0.59)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では鳥取県(5.0)、富山県(3.8)、北海道(2.7)、新潟県(2.7)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では福井県(17.6)、宮崎県(17.1)、滋賀県(12.9)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(3.89)、福井県(3.55)、沖縄県(3.32)が多い。手足口病の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では青森県(0.33)、宮崎県(0.29)、島根県(0.26)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では島根県(0.70)、神奈川県(0.62)、宮崎県(0.34)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では鹿児島県(0.15)、福岡県(0.14)、宮崎県(0.14)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加した。都道府県別では岡山県(0.25)、岩手県(0.23)、滋賀県(0.16)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福井県(2.95)、高知県(2.77)、長崎県(2.77)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(2.00)、青森県(1.83)、宮城県(1.75)が多い。
〈3月コメント〉
◆性感染症について 2009年4月13日集計分 性感染症定点数:958
(産婦人科・産科・婦人科:458、泌尿器科:397、皮膚科89、性病科14)
●月別推移
2009年3月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.12(男0.95、女1.17)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.65(男0.28、女0.38)、尖圭コンジローマが0.41(男0.24、女0.17)、淋菌感染症が0.76(男0.59、女0.18)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。
前月に比べると、男性では、性器クラミジア感染症で減少し、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症で増加した。女性では、性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症は横ばい、尖圭コンジローマで減少し、淋菌感染症で増加した(24〜27ページ「グラフ総覧」参照)。
過去5年間の同時期と比較すると、男性では性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、淋菌感染症でやや少なく、尖圭コンジローマでかなり少なかった。女性では性器クラミジア感染症でやや少なく、性器ヘルペスウイルス感染症と尖圭コンジローマでかなり少なかった(図2)。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(3月) |
●男女別・年齢階級別
年齢群(0歳、1〜4歳、5〜69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では、性器クラミジア感染症は20〜24歳、性器ヘルペスウイルス感染症は30〜34歳、尖圭コンジローマと淋菌感染症は25〜29歳の年齢群であった。一方、女性では、4疾患すべてで20〜24歳の年齢群であり、全体的にみて女性の罹患年齢が男性に比べてやや若い傾向が認められた(図3:PDF参照)。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患は、男性では60代以降は僅かであり、女性では50代以降の報告はないか、あっても僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、報告数や年齢群分布において明らかな変化は見られておらず、この基準変更の周知徹底が必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、淋菌感染症では、すべての年齢群で男性が女性よりも多かった。一方、性器クラミジア感染症では10〜29歳の4つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では、15〜34歳、50〜54歳、65〜69歳、70歳以上の7つの年齢群、尖圭コンジローマでは15〜24歳の2つの年齢群の、比較的低い年齢層を中心に女性が男性よりも多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較についてはそれらの比率の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15〜29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に図4(PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症と淋菌感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられる。一方、性器ヘルペスウイルス感染症と尖圭コンジローマは、男性ではこの期間全体としてはほぼ横ばいの状況であるが、女性において2005年半ば頃からやや減少傾向がみられる。
前月との比較では、男性では性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で減少した。女性では性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマでは同値で、淋菌感染症で減少した。
◆薬剤耐性菌について (4月13日集計分)
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基幹定点数(3月):466.
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
4.41(前月:4.24、前年同月:4.28)
定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。3月は前月よりやや増加し、過去9年間の同月との比較では上位に属した。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
0.72(前月:0.67、前年同月:0.87)
定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7〜9月)に少なく推移している。3月は前月よりやや増加し、過去9年間の同月との比較では最下位だった。
薬剤耐性緑膿菌感染症
0.07(前月:0.06、前年同月:0.09)
定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。3月は前月よりやや増加し、過去9年間の同月との比較では最下位だった。
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●年齢階級別
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MRSA感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の67%を占めている(図1:PDF参照)
PRSP感染症
小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の56%を占める一方、70歳以上が全体の23%を占めている(図2:PDF参照)。
薬剤耐性緑膿菌感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の74%を占めている(図3:PDF参照)
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=1.9:1
PRSP感染症…男:女=1.2:1
薬剤耐性緑膿菌感染症…男:女=2.8:1
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●都道府県別
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MRSA感染症
定点当たり報告数は沖縄県(9.7)、福島県(7.9)、新潟県(7.7)が多い。
PRSP感染症
定点当たり報告数は富山県・大分県(2.4)、千葉県(2.3)が多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症
報告総数が34件にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
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