発生動向総覧
※2008年5月12日の法改正に伴い、疾病の名称および並び順を一部変更しました。
〈第20週コメント〉 5月20日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 334例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢2例
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感染地域:インド1例、ベトナム1例
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腸管出血性大腸菌感染症42例(有症者32例、HUS 1例)
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感染地域:国内42例
国内の感染地域:岩手県3例、高知県3例、石川県3例、東京都3例、富山県3例、兵庫県3例、神奈川県2例、千葉県2例、福井県2例、福岡県2例、愛知県1例、宮城県1例、群馬県1例、広島県1例、埼玉県1例、大分県1例、長崎県1例、長野県1例、和歌山県1例、国内(都道府県不明)7例
年齢群:3歳(5例)、4歳(1例)、5歳(3例)、7歳(1例)、9歳(2例)、10代(5例)、20代(12例)、30代(3例)、40代(3例)、50代(1例)、60代(1例)、70代(3例)、80代(1例)、90代(1例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2( 12例)、O157 VT2( 7例)、O157 VT不明( 7例)、O26 VT1( 6例)、O157 VT1(2例)、O91 VT1(2例)、O111 VT1(1例)、O111 VT不明(1例)、O119 VT1(1例)、O126 VT1(1例)、その他・不明(2例)
累積報告数:378例(有症者258例、うちHUS 10例)
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腸チフス1例(感染地域:バングラデシュ)
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4類感染症: |
A型肝炎2例(感染地域:富山県1例、広島県1例) オウム病1例(感染地域:東京都_感染源:インコ)
つつが虫病6例(感染地域:福島県2例、青森県1例、秋田県1例、山形県1例、長野県1例)
日本紅斑熱2例(感染地域:広島県1例、徳島県1例)
マラリア1例(熱帯熱_感染地域:タイ)
レジオネラ症6例(肺炎型5例、ポンティアック型1例))
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感染地域:秋田県1例、福島県1例、長野県1例(温泉)、静岡県1例、大阪府1例、福岡県1例
年齢群:40代(1例)、60代(2例)、70代(2例)、80代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢11例(腸管アメーバ症9例、腸管外アメーバ症2例) |
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感染地域:東京都2例、滋賀県2例、愛知県1例、和歌山県1例、国内(都道府県不明)3例、サウジアラビア1例、国内・国外不明1例
感染経路:経口感染1例、性的接触6例(異性間3例、同性間1例、異性間・同性間不明2例)、不明4例
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ウイルス性肝炎1例
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B型_感染経路:性的接触(異性間)
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急性脳炎3例
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病原体不明3例
年齢群:20代(1例)、50代(1例)、70代(1例)
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クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性プリオン病古典型)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例
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年齢群:70代(死亡)
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後天性免疫不全症候群11例(AIDS 3例、無症候7例、その他1例) |
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感染地域:国内7例、タイ1例、ブラジル1例、国内・国外不明2例
感染経路:性的接触9例(異性間6例、同性間3例)、不明2例
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ジアルジア症1例(感染地域:タイ) 梅毒11例(早期顕症I期1例、早期顕症II期7例、晩期顕症1例、無症候2例)
破傷風2例〔年齢群:70代(1例)、80代(1例)〕
風しん2例(検査診断例1例、臨床診断例1例) |
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感染地域:石川県1例、タイ1例
年齢群:30〜34歳(1例)、35〜39歳(1例)
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麻しん19例〔麻しん(検査診断例6例、臨床診断例7例)、修飾麻しん(検査診断例)6例〕
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感染地域:国内18例、埼玉県/カンボジア1例
国内の感染地域:埼玉県2例、香川県2例、宮城県1例、福島県1例、東京都1例、神奈川県1例、愛知県1例、大阪府1例、兵庫県1例、広島県1例、愛媛県1例、大分県1例、国内(都道府県不明)4例
年齢群:0歳(2例)、1歳(5例)、2歳(1例)、4歳(1例)、8歳(1例)、10〜14歳(2例)、20〜24歳(1例)、25〜29歳(1例)、30〜34歳(1例)、35〜39歳(1例)、40代(3例)
累積報告数:341例〔麻しん(検査診断例104例、臨床診断例160例)、修飾麻しん(検査診断例77例)〕
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(補)他に2009年第19週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢3例(感染地域:インドネシア1例、インド1例、パキスタン1例)、オウム病1例(感染地域:兵庫県_感染源:インコ)、レジオネラ症1例〔感染地域:熊本県(温泉)〕、急性脳炎3例〔帯状疱疹ウイルス1例(70代)、病原体不明2例(6歳、70代)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(30代.死亡)、風しん2例〔検査診断例2例.感染地域:兵庫県1例、国内(都道府県不明)1例.年齢群:5歳(1例)、35〜39歳(1例)〕などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は第17週以降減少が続いているが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では沖縄県(8.2)、秋田県(3.6)、鹿児島県(3.2)、北海道(2.7)、長野県(2.3)、山口県(2.2)、福島県(1.9)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は205例と第16週以降減少が続いている。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約78%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では三重県(0.73)、宮崎県(0.71)、北海道(0.67)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では新潟県(3.7)、大分県(3.5)、富山県(3.3)、埼玉県(3.3)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では山形県(14.3)、福井県(14.1)、大分県(12.1)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(3.7)、鹿児島県(3.3)、福岡県(3.2)が多い。手足口病の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(0.57)、福岡県(0.40)、徳島県(0.35)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では神奈川県(0.65)、広島県(0.32)、東京都(0.30)、山梨県(0.30)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では栃木県(0.46)、宮崎県(0.29)、高知県(0.20)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(0.46)、岩手県(0.30)、岡山県(0.28)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福井県(4.5)、長崎県(3.1)、佐賀県(2.6)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週続けて増加した。都道府県別では沖縄県(3.1)、宮城県(1.8)、愛媛県(1.7)が多い。
〈4月コメント〉
◆性感染症について 2009年5月15日集計分 性感染症定点数:947
(産婦人科・産科・婦人科:450、泌尿器科:397、皮膚科86、性病科14)
●月別推移
2009年4月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.17(男1.02、女1.15)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.63(男0.25、女0.38)、尖圭コンジローマが0.47(男0.27、女0.20)、淋菌感染症が0.69(男0.54、女0.14)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)
前月に比べると、男性では、性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で減少、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で減少した。女性では、性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症は微増、尖圭コンジローマで増加し、淋菌感染症で減少した(23〜26ページ「グラフ総覧」参照)。
過去5年間の同時期と比較すると、男性では性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症でやや少なく、性器ヘルペスウイルス感染症でかなり少なかった。女性では性器クラミジア感染症、淋菌感染症でやや少なく、性器ヘルペスウイルス感染症と尖圭コンジローマでかなり少なかった(図2)。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(4月) |
●男女別・年齢階級別
年齢群別(0歳、1〜4歳、5〜69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では、性器クラミジア感染症は20〜24歳、性器ヘルペスウイルス感染症は20〜29歳および35〜39歳、尖圭コンジローマは25〜29歳、淋菌感染症は20〜24歳の年齢群であった。女性では、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症は20〜24歳、性器ヘルペスウイルス感染症は25〜29歳の年齢群であった(図3:PDF参照)。15〜19歳の年齢群の報告が、男性では性器クラミジア感染症と淋菌感染症、女性では4疾患すべてであった。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患は、男性では60代以上は僅かであり、女性では50代以上の報告はないか、あっても僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、報告数や年齢群分布において明らかな変化は見られておらず、この基準変更の周知徹底が必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、淋菌感染症では、すべての年齢群で男性が女性よりも多かった。一方、性器クラミジア感染症では15〜29歳の3つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では、15〜39歳、50〜54歳、60〜69歳、70歳以上の9つの年齢群、尖圭コンジローマでは15〜24歳の2つの年齢群の、比較的低い年齢層を中心に女性が男性よりも多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較についてはそれらの比率の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15〜29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症と淋菌感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられる。一方、性器ヘルペスウイルス感染症と尖圭コンジローマは、男性ではこの期間全体としてはほぼ横ばいの状況であるが、女性において2005年半ば頃からやや減少傾向がみられる。
前月との比較では、男性では性器クラミジア感染症と性器ヘルペスウイルス感染症で同値、尖圭コンジローマと淋菌感染症で減少した。女性では性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で同値、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で減少した。
◆薬剤耐性菌について (5月15日集計分)
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基幹定点数(4月):461.
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
4.21(前月:4.41、前年同月:4.34)
定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。4月は前月よりやや減少し、過去10年間の同月との比較では上位に属した。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症 0.79(前月:0.72、前年同月:0.99)
定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7〜9月)に少なく推移している。4月は前月よりやや増加し、過去10年間の同月との比較では下位に属した。
薬剤耐性緑膿菌感染症
0.08(前月:0.07、前年同月:0.07)
定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。4月は前月よりやや増加し、過去10年間の同月との比較では中位だった。
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●年齢階級別
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MRSA感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の67%を占めている(図1:PDF参照)
PRSP感染症
小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の63%を占める一方、70歳以上が全体の21%を占めている(図2:PDF参照)。
薬剤耐性緑膿菌感染症 全体の47%を占めている(図3:PDF参照)
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=1.8:1
PRSP感染症…男:女=1.5:1
薬剤耐性緑膿菌感染症…男:女=1.6:1
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●都道府県別
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MRSA感染症
定点当たり報告数は沖縄県(9.4)、新潟県(8.5)、滋賀県(7.7)が多い。
PRSP感染症
定点当たり報告数は福井県(3.3)、佐賀県(2.7)、千葉県(2.3)が多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症
報告総数が36件にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
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注目すべき感染症
◆ 新型インフルエンザ(2009年5月27日現在)
*本週報では、通常当該週(第20週)までの情報や報告数について掲載していますが、新型インフルエンザに関する迅速な情報提供の必要性を考慮し、本稿については5月27日までに得られた情報や知見、報告に基づいて掲載しています。
北米大陸に端を発したと思われるブタインフルエンザ由来のインフルエンザA(H1N1)ウイルスは、ヒトからヒトへ容易に伝播する能力を獲得したとみられ、このウイルスによる疾患の流行が世界各地で見られている。新型インフルエンザA(H1N1)は、急な発熱や咳、鼻漏などを主な臨床症状とする急性呼吸器疾患であり、季節性インフルエンザと同様の臨床像を示す。アメリカやメキシコの報告では、下痢・嘔吐・腹痛などの消化器症状が特徴とされるが、日本の患者においてはあまり特徴的ではない。本疾患に特異的な臨床現場で利用可能な検査方法はなく、季節性インフルエンザと同様にインフルエンザ迅速診断キットによるA型陽性が得られ、かつ地方衛生研究所などにおけるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による遺伝子検査によってのみ病原体に関する確定診断が得られる。WHOによると、2009年5月27日現在、確定症例は世界48カ国から13,398例が報告されており、うち死亡例は86例となっている。流行の中心はメキシコ、アメリカ合衆国、カナダであるが、それ以外に100例を超えている国が日本、英国、スペインの3カ国であり、これらの国の流行状況は現在評価中である。
日本国内では、昨日正午の時点で、352例の確定例が報告されているが、報告数は時間と共に変化している。大多数の患者は兵庫県と大阪府において発生しており、その他の数都府県においても患者発生が確認されている。多くの症例は高校での集団発生の形をとっており、今週に入って患者報告数は減少傾向にある。
本疾患の主な流行地はすべて北半球にある。今後夏に向かって徐々に気温が上昇し、温帯においては季節性インフルエンザの流行終息時期にあたる。しかし、1957年のアジアインフルエンザは5月から8月にかけて流行しており、今後の流行の推移は予測困難である。従って、流行の推移をリアルタイムにできるだけ正確に把握することが重要である。一方で、本疾患の日本国内における確定診断は現在、地方衛生研究所あるいは国立感染症研究所の診断検査によってのみ可能であること、確定診断を下された患者に対しては感染症法に基づく入院勧告が医学的入院の必要性と関係なく行なわれることなどが、国内での本疾患の診断に対する大きな障壁となっている。正確な流行の把握と、検査および医療体制、患者の利便性などのバランスを考慮した今後の新型インフルエンザA(H1N1)の流行状況の把握が必要である。
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日本国内の報告数
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新型インフルエンザの最新情報はhttp://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html をご参照ください
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