発生動向総覧
※2008年5月12日の法改正に伴い、疾病の名称および並び順を一部変更しました。
〈第23週コメント〉 6月10日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 327例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢2例
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感染地域:国内(都道府県不明)1例、インド1例
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腸管出血性大腸菌感染症90例(有症者48例、HUS 1例) |
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感染地域:国内88例、インドネシア2例
国内の多い感染地域:愛媛県44例*、大分県6例、愛知県5例、鹿児島県4例、石川県4例、埼玉県3例、広島県2例、神奈川県2例、大阪府2例、東京都2例、福岡県2例
*全例が保育施設に関連した集団発生
年齢群:1歳(10例)、2歳(7例)、3歳(12例)、5歳(2例)、6歳(2例)、7歳(1例)、8歳(2例)、9歳(1例)、10代(10例)、20代(7例)、30代(17例)、40代(6例)、50代(5例)、60代(5例)、70代(3例)
血清型・毒素型:O26 VT1( 48例)、O157 VT1・VT2( 20例)、O157 VT1(7例)、O157 VT2(7例)、O157 VT不明( 1例)、O103 VT1( 1例)、O111 VT1( 1例)、O121 VT2(1例)、O145 VT2(1例)、その他・不明(3例)
累積報告数:605例(有症者393例、うちHUS 14例)
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4類感染症: |
A型肝炎4例(感染地域:三重県1例、神奈川県1例、韓国1例、グアム1例)
つつが虫病8例(感染地域:岩手県3例、福島県2例、青森県1例、秋田県1例、山形県1例)
日本紅斑熱2例(感染地域:熊本県2例)
レジオネラ症7例(肺炎型7例)
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感染地域:広島県2例、東京都1例、愛知県1例、岐阜県1例、兵庫県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:50代(3例)、60代(2例)、70代(1例)、80代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢12例(腸管アメーバ症8例、腸管外アメーバ症3例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:東京都3例、愛知県1例、兵庫県1例、岡山県1例、国内(都道府県不明)5例、タイ1例
感染経路:経口感染3例、性的接触4例(異性間2例、異性/同性間1例、異性間・同性間不明1例)、経口/性的接触(異性間)1例、不明4例
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ウイルス性肝炎2例
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B型1例_感染経路:不明
C型1例_感染経路:静注薬物常用
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クロイツフェルト・ヤコブ病2例(孤発性プリオン病古典型2例)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例
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年齢群:40代(1例)、60代(1例)
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後天性免疫不全症候群17例(AIDS 3例、無症候12例、その他2例) |
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感染地域:国内14例、国内・国外不明3例
感染経路:性的接触15例(異性間3例、同性間11例、異性/同性間1例)、不明2例
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ジアルジア症3例(感染地域:北海道1例、広島県1例、国内・国外不明1例)
梅毒11例(早期顕症II期4例、晩期顕症2例、無症候5例)
破傷風1例(年齢群:70代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:胆汁)
風しん2例(臨床診断例2例) |
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感染地域:高知県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:15〜19歳(1例)、60歳(1例)
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麻しん8例〔麻しん(検査診断例2例、臨床診断例5例)、修飾麻しん(検査診断例)1例〕
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感染地域:国内8例
国内の感染地域:東京都3例、青森県1例、長野県1例、兵庫県1例、岡山県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:1歳(3例)、15〜19歳(2例)、20〜24歳(1例)、35〜39歳(1例)、40代(1例)
累積報告数:390例〔麻しん(検査診断例124例、臨床診断例180例)、修飾麻しん(検査診断例86例)〕
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(補)他に、2009年第22週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢1例(感染地域:インド)、デング熱1例(感染地域:タイ)、日本紅斑熱1例(感染地域:宮崎県)、急性脳炎1例〔病原体不明(1歳)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:胆汁)、風しん3例〔検査診断例2例、臨床診断例1例.感染地域:北海道1例、神奈川県1例、大阪府1例.年齢群:5〜9歳(1例)、10〜14歳(1例)、20〜24歳(1例)〕などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では沖縄県(8.34)、鹿児島県(1.48)、北海道(1.42)、秋田県(1.07)、熊本県(0.60)、長崎県(0.59)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は172例と2週連続で減少した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約73%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第20週以降増加が続いている。都道府県別では北海道(0.86)、福井県(0.82)、富山県(0.66)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(5.0)、大分県(4.2)、鳥取県(3.9)、鹿児島県(3.9)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は3週連続して減少した。都道府県別では大分県(13.6)、福井県(12.0)、愛媛県(11.5)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では長野県(2.80)、山形県(2.70)、宮崎県(2.69)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第20週以降増加が続いている。都道府県別では福岡県(1.46)、佐賀県(1.22)、青森県(0.81)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では神奈川県(1.05)、山梨県(0.52)、福島県(0.50)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(0.72)、千葉県(0.19)、広島県(0.17)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第20週以降増加が続いている。都道府県別では宮崎県(1.08)、岡山県(0.59)、岩手県(0.58)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では福井県(5.4)、佐賀県(3.2)、長崎県(2.9)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では沖縄県(2.43)、青森県(1.83)、福島県(1.43)が多い。
注目すべき感染症
◆ 新型インフルエンザ(2009年6月17日現在)
*本週報では、通常当該週(第23週)までの情報や報告数について掲載していますが、新型インフルエンザに関する迅速な情報提供の必要性を考慮し、本稿については6月17日までに得られた情報や知見、報告に基づいて掲載しています。
新型インフルエンザA(H1N1)は、急な発熱や咳、鼻汁などを主な臨床症状とする急性呼吸器疾患であり、季節性インフルエンザとほぼ同様の臨床像を示す。アメリカやメキシコの報告では、下痢・嘔吐・腹痛などの消化器症状が特徴とされるが、日本の患者においてはあまり特徴的ではない。本疾患に特異的な臨床現場で利用可能な検査方法はなく、地方衛生研究所などにおけるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)による遺伝子検査によってのみ病原体に関する確定診断が得られる。
新型インフルエンザウイルスは、その遺伝子の多くをブタインフルエンザウイルスに由来するものの、ブタ由来部分の一つであるヘマグルチニンタンパクのヒト受容体への適合が進み、ヒトからヒトへ容易に伝播する能力を獲得したとみられる。これにより新型インフルエンザA(H1N1)の流行が世界各地で見られている。
WHOによると、2009年6月15日現在、確定症例は世界76カ国から35,000例余りが報告されており、この2週間で2倍以上の報告数となっている。流行状況に関しては、6月12日にWHOが大流行警戒フェーズを6にあげ、世界的大流行に入ったことを公式に認めた。死亡例は163例となっている。流行の中心であったアメリカ合衆国、メキシコ、カナダのみならず、特に南半球のオーストラリア、チリ、アルゼンチンでの急速な患者数の増加が目立つ。これらの国々における新型インフルエンザA(H1N1)の流行の推移を監視することは、約半年後の北半球の流行を予測する上で非常に重要である。一方、夏季に入りインフルエンザの季節的流行が通常終息していくはずの北半球の国々でも報告症例数の増加がみられ、引き続き注意深く監視する必要がある。それと同時に、大多数が軽症であると報告される中、少数ながら報告されている死亡例に関する詳細な検討も必要である。
日本国内では、6月17日午前11時の時点で、665例(検疫対象者を含む)の確定例が報告されており、日別報告数では6月上旬から再び増加が見られ(1日あたり20〜30例)、その勢いは衰える兆しが見られない。渡航歴の有無にかかわらず散発的に発生する患者報告、および東京都(高校)、福岡県(小中学校)や千葉県(中学校)における児童・生徒・教職員を巻き込んだ小集団発生がみられていることが、ここ2、3週間の患者発生の特徴である。季節性インフルエンザウイルスとの相違についてはまだまだ不明な点が多いが、公衆衛生対応や医療体制などを含めた本疾患への対応を、基本的には季節性インフルエンザに準じたものへと変更していく時期にさしかかっていると考えられる。
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日本国内の報告数
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新型インフルエンザの最新情報はhttp://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html をご参照ください
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