発生動向総覧
※2008年5月12日の法改正に伴い、疾病の名称および並び順を一部変更しました。
〈第26週コメント〉 7月1日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 272例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢3例
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感染地域:栃木県1例、カンボジア1例、フィジー1例
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腸管出血性大腸菌感染症70例(有症者48例、HUS なし) |
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感染地域:国内69例、韓国1例
国内の多い感染地域:富山県5例、愛知県5例、群馬県4例、東京都4例、福井県4例、三重県4例、栃木県3例、神奈川県3例、兵庫県3例、岡山県3例、宮城県2例、山形県2例、千葉県2例、
静岡県2例、広島県2例、長崎県2例
年齢群:0歳(1例)、1歳(2例)、2歳(4例)、3歳(1例)、4歳(1例)、6歳(4例)、7歳(1例)、8歳(4例)、9歳(3例)、10代(11例)、20代(14例)、30代(6例)、40代(4例)、50代(6例)、60代(4例)、70代(2例)、80代(2例)
血清型・毒素型:O26 VT1(18例)、O157 VT2(16例)、O157 VT1・VT2(12例)、O103 VT1(6例)、O111 VT1(5例)、O157 VT不明(2例)、O121 VT2(2例)、O103 VT不明(1例)、O121 VT不明(1例)、O8 VT1・VT2(1例)、O91 VT1(1例)、O126 VT1(1例)、O145 VT2(1例)、O165 VT1・VT2(1例)、その他・不明(2例)
累積報告数:859例(有症者555例、うちHUS 16例)
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腸チフス1例(感染地域:インド)
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4類感染症: |
A型肝炎2例(感染地域:宮城県1例、群馬県1例)
オウム病2例
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感染地域:神奈川県1例(感染源:カナリア/メジロ)、広島県1例(感染源:セキセイインコ)
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つつが虫病1例(感染地域:秋田県)
日本紅斑熱2例(感染地域:和歌山県1例、広島県1例)
レジオネラ症15例(肺炎型13例、ポンティアック型2例)
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感染地域:埼玉県2例、兵庫県2例、北海道1例、岩手県1例(温泉)、宮城県1例、福島県1例(温泉)、栃木県1例、大阪府1例、愛媛県1例、国内(都道府県不明)2例(うち温泉1例)、中国2例
年齢群:40代(1例)、50代(1例)、60代(11例)、70代(2例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢10例(腸管アメーバ症9例、腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:東京都2例、神奈川県2例、愛知県1例、大阪府1例、国内(都道府県不明)1例、中国/フィリピン1例、国内・国外不明2例
感染経路:経口感染2例、性的接触2例(異性間1例、同性間1例)、不明6例
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(年齢群:60代)
後天性免疫不全症候群11例(AIDS 2例、無症候8例、その他1例) |
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感染地域:国内10例、カナダ1例
感染経路:性的接触10例(異性間3例、同性間6例、異性/同性間1例)、不明1例
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ジアルジア症1例(感染地域:栃木県)
梅毒8例(早期顕症I期1例、早期顕症II期6例、無症候1例)
破傷風2例〔年齢群:70代(1例)、80代(1例)〕
風しん1例(検査診断例) |
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感染地域:大分県
年齢群:35〜39歳
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麻しん15例〔麻しん(検査診断例5例、臨床診断例6例)、修飾麻しん(検査診断例)4例〕
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感染地域:国内15例
国内の感染地域:東京都4例、埼玉県2例、栃木県1例、群馬県1例、千葉県1例、神奈川県1例、長野県1例、広島県1例、福岡県1例、長崎県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:0歳(3例)、1歳(4例)、5〜9歳(3例)、10〜14歳(1例)、15〜19歳(1例)、30〜34歳(1例)、35〜39歳(1例)、40代(1例)
累積報告数:439例〔麻しん(検査診断例142例、臨床診断例199例)、修飾麻しん(検査診断例98例)〕
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(補)他に、2009年第25週までに診断されたものの報告遅れとして、オウム病1例(感染地域:沖縄県_感染源:インコ)、デング熱1例(感染地域:タイ)、日本紅斑熱2例(感染地域:三重県2例)、マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ガーナ)、レジオネラ症2例〔感染地域:北海道1例(温泉)、岩手県1例(温泉)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(60代)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanC_菌検出検体:胆汁)、風しん2例〔検査診断例1例、臨床診断例1例.感染地域:福島県1例、福岡県1例.年齢群:1歳(1例)、5〜9歳(1例)〕などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は第22週以降減少が続いている。都道府県別では沖縄県(8.76)、山口県(0.41)、鹿児島県(0.32)、北海道(0.27)、高知県(0.23)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は169例と増加した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約73%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では三重県(0.96)、富山県(0.93)、北海道(0.86)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では山形県(3.03)、福井県(2.91)、宮崎県(2.56)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第21週以降減少が続いている。都道府県別では大分県(9.9)、福井県(7.6)、宮崎県(6.8)が多い。水痘の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では長野県(3.02)、宮崎県(2.47)、福岡県(2.44)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第20週以降増加が続いている。都道府県別では福岡県(3.08)、大分県(2.78)、佐賀県(2.13)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は第23週以降増加が続いている。都道府県別では神奈川県(1.13)、福島県(0.63)、山梨県(0.54)が多い。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では宮崎県(0.89)、栃木県(0.31)、奈良県(0.20)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第20週以降増加が続いている。都道府県別では宮崎県(2.17)、三重県(1.89)、大分県(1.83)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では福井県(3.8)、佐賀県(3.5)、長崎県(3.4)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してかなり多い。都道府県別では宮城県(2.17)、福島県(2.00)、埼玉県(2.00)、沖縄県(2.00)が多い。
注目すべき感染症
◆ 新型インフルエンザ(2009年7月8日現在)
*本週報では、通常当該週(第26週)までの情報や報告数について掲載していますが、新型インフルエンザに関する迅速な情報提供の必要性を考慮し、本稿については7月8日までに得られた情報や知見、報告に基づいて掲載しています。
新型インフルエンザA(H1N1)は、急な発熱や咳、咽頭痛などを主な臨床症状とする急性呼吸器疾患であり、季節性インフルエンザとほぼ同様の臨床像を示す。潜伏期間は、多くの場合1〜4日間であり、暫定的ではあるものの、季節性インフルエンザと同様に飛沫感染が主な感染経路であると考えられている。若年者層での発病者の割合が高く、学校等の集団生活施設が大きな感染拡大の場であると考えられているが、地域社会にウイルスが蔓延するにつれて、他の年齢層の発病者も増加してくるものと予想される。
WHOによると、2009年7月6日現在、確定症例は世界135カ国から94,512名の報告例と、429名の死亡例が確認されている。この2週間で4万人以上の報告数の増加がみられた。北米、中南米、ヨーロッパ、そしてアジアの国々において、患者数の増加がみられているが、これらは実際の発生者数よりもかなり過少評価されている可能性がある。現在冬季である南半球の国々における新型インフルエンザA(H1N1)の流行の推移を監視することは、約半年後の北半球の流行を予測する上で非常に重要である。一方、夏季に入りインフルエンザの季節的流行が通常終息していくはずの北半球の国々でも患者発生報告数の増加が続いている。特に東アジア諸国の患者数の増加が目立ってきており、今後とも注意深く監視していく必要がある。
日本国内では、7月8日午前11時の時点で、2,018例(検疫対象者20例を含む)の確定例が報告されており、5月下旬から6月初旬にかけて、一旦は患者発生数の減少がみられていたが、その後は継続的に増加傾向を示している。これまでに、山形県を除く46都道府県から患者発生の報告があり、最近では愛知県、広島県、さらに5月に続いて大阪府からの報告数が急増してきている。5月中の患者発生状況と比べると、最近では海外渡航歴のある患者や疫学的リンクの不明な散発例の報告の割合が高くなってきている。しかし、これまでに複数の地域でみられたように、学校等の若年者層の集団生活施設内で、比較的大きなアウトブレイクが発生した場合には、地域内の患者発生数が急増する状況に変わりはない。夏季休暇によって、一時的に患者発生数が減少することも予想されるが、その後通常の季節性インフルエンザが流行しやすい時期が近づくにつれて、学校等の若年者層の集団生活施設を中心とした集団発生が多発し、その勢いを増していくことも予想される。本格的な流行が到来した場合に、国民に医療サービスを提供し続けることができるための医療体制の構築や、各地域ごとの効果的で実施可能な流行拡大抑制対策を準備しておくことは、現時点において極めて重要な課題である。
新型インフルエンザの最新情報はhttp://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html をご参照ください
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