発生動向総覧
※2008年5月12日の法改正に伴い、疾病の名称および並び順を一部変更しました。
〈第27週コメント〉 7月8日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 301例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢3例
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感染地域:東京都1例、愛知県1例、エクアドル1例
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腸管出血性大腸菌感染症80例(有症者52例、HUS なし) |
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感染地域:国内80例
国内の多い感染地域:大阪府6例、千葉県5例、神奈川県5例、岡山県5例、新潟県4例、富山県4例、大分県4例、鹿児島県4例、茨城県3例、埼玉県3例、兵庫県3例、奈良県3例
年齢群:1歳(5例)、2歳(6例)、3歳(4例)、4歳(4例)、5歳(1例)、6歳(2例)、7歳(2例)、8歳(2例)、9歳(2例)、10代(19例)、20代(8例)、30代(9例)、40代(6例)、50代(2例)、60代(2例)、70代(3例)、80代(2例)、90代(1例)
血清型・毒素型:O157 VT2( 25例)、O157 VT1・VT2( 22例)、O26 VT1(15例)、O121 VT2(4例)、O157 VT1( 3例)、O103 VT1( 3例)、O111 VT1( 1例)、O111 VT不明(1例)、その他・不明(6例)
累積報告数:948例(有症者614例、うちHUS 16例)
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腸チフス1例(感染地域:パキスタン)
パラチフス1例(感染地域:インド)
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4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:愛知県_感染源:猪肉)
デング熱1例(感染地域:インドネシア)
日本紅斑熱2例(感染地域:千葉県1例、鹿児島県1例) マラリア1例(三日熱_感染地域:インド)
レジオネラ症7例(肺炎型7例)
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感染地域:愛知県2例、青森県1例、宮城県1例、神奈川県1例、富山県1例、長野県1例
年齢群:40代(1例)、50代(1例)、60代(4例)、80代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢11例(腸管アメーバ症11例)) |
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感染地域:埼玉県1例、千葉県1例、東京都1例、石川県1例、兵庫県1例、岡山県1例、福岡県1例、鹿児島県1例、国内(都道府県不明)2例、タイ1例
感染経路:経口感染2例、性的接触5例(異性間2例、同性間1例、異性・同性間不明2例)、不明4例
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ウイルス性肝炎3例〔B型3例_感染経路:性的接触1例(異性間)、不明2例〕
急性脳炎2例 |
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エコーウイルス11型1例_年齢群:3歳
病原体不明1例_年齢群:9歳(死亡)
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後天性免疫不全症候群16例(AIDS 6例、無症候10例) |
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感染地域:国内13例、国内・国外不明3例
感染経路:性的接触13例(異性間3例、同性間9例、異性/同性間1例)、不明3例
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ジアルジア症1例(感染地域:岐阜県)
梅毒8例(早期顕症I期3例、早期顕症II期1例、晩期顕症1例、無症候3例)
破傷風1例(年齢群:70代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例 |
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遺伝子型:VanB 1例_菌検出検体:胸水
遺伝子型:VanC 1例_菌検出検体:血液
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風しん1例(検査診断例) |
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感染地域:大阪府
年齢群:25〜29歳
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麻しん15例〔麻しん(検査診断例5例、臨床診断例6例)、修飾麻しん(検査診断例)4例〕
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感染地域:国内15例
国内の感染地域:千葉県2例、東京都2例、神奈川県2例、山形県1例、栃木県1例、群馬県1例、埼玉県1例、長野県1例、京都府1例、大阪府1例、山口県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:0歳(3例)、1歳(5例)、5〜9歳(1例)、10〜14歳(1例)、15〜19歳(1例)、30〜34歳(1例)、35〜39歳(1例)、40代(2例)
累積報告数:459例〔麻しん(検査診断例146例、臨床診断例209例)、修飾麻しん(検査診断例104例)〕
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(補)他にバンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症1例の報告があったが削除予定。また、2009年第26週までに診断されたものの報告遅れとして、E型肝炎2例〔感染地域(感染源):北海道1例(ホルモン焼き)、東京都1例(不明)〕、日本紅斑熱2例(感染地域:千葉県1例、和歌山県1例)、ライム病1例(感染地域:北海道)、レプトスピラ症1例(感染地域:新潟県_感染原因:山菜採り/下水関係の工事)、アメーバ赤痢1例(腸管外アメーバ症.感染地域:国内_都道府県不明.感染経路:不明.死亡)、急性脳炎1例〔病原体不明(1歳)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:VanC_菌検出検体:胆汁)、風しん3例〔検査診断例1例、臨床診断例2例.感染地域:茨城県1例、栃木県1例、国内(都道府県不明)1例.年齢群:0歳(1例)、3歳(1例)、10〜14歳(1例)〕などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は第22週以降減少が続いている。都道府県別では沖縄県(6.81)、山口県(0.24)、北海道(0.20)、岐阜県(0.20)、宮崎県(0.19)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は177例と2週連続で増加した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約66%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では秋田県(0.94)、北海道(0.81)、福井県(0.64)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第24週以降減少が続いている。都道府県別では富山県(2.50)、鳥取県(2.47)、宮崎県(2.39)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第21週以降減少が続いている。都道府県別では大分県(9.0)、福井県(9.0)、宮崎県(6.6)が多い。水痘の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では宮崎県(2.50)、北海道(2.27)、福島県(2.17)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第20週以降増加が続いている。都道府県別では福岡県(4.0)、佐賀県(3.3)、大分県(3.0)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では神奈川県(1.15)、山梨県(0.50)、東京都(0.48)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では宮崎県(0.78)、栃木県(0.17)、熊本県(0.15)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第20週以降増加が続いている。都道府県別では大分県(3.31)、三重県(2.91)、大阪府(2.67)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では福井県(4.5)、長崎県(3.7)、佐賀県(2.4)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では沖縄県(2.43)、宮城県(1.75)、福島県(1.71)が多い。
注目すべき感染症
◆ 新型インフルエンザ(2009年7月15日現在)
*本週報では、通常当該週(第27週)までの情報や報告数について掲載していますが、新型インフルエンザに関する迅速な情報提供の必要性を考慮し、本稿については7月15日までに得られた情報や知見、報告に基づいて掲載しています。
新型インフルエンザA(H1N1)は、急な発熱や咳、咽頭痛などを主な臨床症状とする急性呼吸器疾患であり、季節性インフルエンザとほぼ同様の臨床像を示す。発病者は若年齢者層に集中していることは日本国内、諸外国共に同様である。また、殆どの発病者は軽症であるとされているが、一部に重症患者が認められており、その多くは肺炎による呼吸不全を呈していると米国等より報告されている。地域社会においては、学校等の若年齢者層の集団生活施設が大きな感染拡大の場であると考えられており、そこでの集団発生によって地域社会へウイルスが蔓延し、他の年齢層の発病者の増加や、重症患者の発生の可能性も高くなるものと予想される。
WHOによると、2009年7月6日現在、確定症例は世界135カ国から94,512名の報告例と、429名の死亡例が確認されている。アフリカ諸国や西アジアの一部の地域を除く、世界中の多くの国々から患者発生の報告があるが、米国等でも既に重症患者を中心とした検査・報告システムに変更されており、実際の発生者数よりもかなり過少評価されている可能性が高い。現在冬季である南半球の国々における新型インフルエンザA(H1N1)の流行の推移を監視することは、約半年後の北半球の流行を予測する上で非常に重要であるが、現在夏季に入りインフルエンザの季節的流行が通常は収束しているはずの北半球の国々でも、患者の発生に衰えがみられていないことは、今後とも注目して行く必要がある。
日本国内では、7月15日午前11時の時点で、3,149例(検疫対象者25例を含む)の確定例が報告されており、5月下旬から6月初旬にかけて、一旦は患者発生数の減少がみられていたが、その後は継続的に増加傾向を示している。これまでに、山形県を除く46都道府県から患者発生の報告があり、最近では大阪府、神奈川県、福岡県、愛知県、茨城県、京都府などからの報告数の増加が目立ってきている。特に大阪府では、この1週間で250例以上の患者報告があった。夏季休暇によって、一時的に患者発生数が減少することも予想されるが、秋季以降は比較的早期に、これまで以上の流行が国内で発生して行く可能性もある。学校施設等での集団発生の多発、地域社会へのウイルスの浸透による患者発生数の急増、他の国々で既に見られている重症患者の出現等も今秋以降には予想される。本格的な流行が到来した場合に、国民に医療サービスを提供し続けることができるための医療体制の構築や、各地域ごとの効果的で実施可能な流行拡大抑制対策を準備しておくことは、現時点において極めて重要な課題である。
新型インフルエンザの最新情報はhttp://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html をご参照ください
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