発生動向総覧
※2008年5月12日の法改正に伴い、疾病の名称および並び順を一部変更しました。
〈第28週コメント〉 7月15日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 308例 |
3類感染症: |
腸管出血性大腸菌感染症97例(有症者64例、HUS 4例) |
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感染地域:国内96例、トルコ/エジプト1例
国内の多い感染地域:兵庫県9例、大阪府7例、岩手県6例、秋田県6例、愛知県6例、山形県5例、鹿児島県5例、岡山県4例、愛媛県4例、福岡県4例、神奈川県3例、静岡県3例、宮崎県3例
年齢群:0歳(2例)、1歳(2例)、2歳(6例)、3歳(4例)、4歳(7例)、5歳(4例)、6歳(6例)、7歳(2例)、8歳(3例)、9歳(3例)、10代(10例)、20代(10例)、30代(8例)、40代(7例)、50代(10例)、60代(5例)、70代(2例)、80代(6例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(37例)、O157 VT2(23例)、O26 VT1(18例)、O157 VT不明(6例)、O103 VT1(6例)、O145 VT1(2例)、O157 VT1(1例)、O111 VT1・VT2(1例)、O165 VT1・VT2(1例)、その他・不明(2例)
累積報告数:1,063例(有症者689例、うちHUS 21例)
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腸チフス1例(感染地域:北海道) パラチフス1例(感染地域:インドネシア)
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4類感染症: |
A型肝炎2例(感染地域:山形県1例、大阪府1例) つつが虫病3例(感染地域:青森県1例、秋田県1例、広島県1例) デング熱3例(感染地域:シンガポール1例、インドネシア1例、タイ/ラオス1例) 日本紅斑熱3例(感染地域:広島県2例、熊本県1例) マラリア1例(熱帯熱_感染地域:リベリア)
レジオネラ症14例(肺炎型14例)
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感染地域:愛知県3例、兵庫県3例(うち1例が温泉)、鹿児島県2例、群馬県1例、千葉県1例、静岡県1例、大阪府1例、広島県1例、都道府県不明1例
年齢群:50代(2例)、60代(9例)、70代(2例)、90代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢7例(腸管アメーバ症6例、腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:宮城県1例、東京都1例、国内(都道府県不明)4例、国内・国外不明1例
感染経路:経口感染1例、性的接触3例(異性間1例、同性間2例)、不明3例
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ウイルス性肝炎3例 |
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B型2例_感染経路:性的接触1例(異性間)、不明1例
C型1例_感染経路:刺青
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急性脳炎1例(病原体不明_年齢群:0歳)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(年齢群:50代)
後天性免疫不全症候群13例(AIDS 1例、無症候12例) |
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感染地域:国内11例、国内・国外不明2例
感染経路:性的接触12例(異性間6例、同性間4例、異性/同性間1例、異性間・同性間不明1例)、不明1例
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梅毒5例(早期顕症I期2例、無症候3例)
破傷風1例(年齢群:50代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例 |
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遺伝子型:不明_菌検出検体:尿
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麻しん12例〔麻しん(検査診断例3例、臨床診断例7例)、修飾麻しん(検査診断例)2例〕
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感染地域:国内12例
国内の感染地域:千葉県2例、北海道1例、青森県1例、山形県1例、茨城県1例、栃木県1例、群馬県1例、埼玉県1例、岐阜県1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:0歳(1例)、1歳(3例)、5〜9歳(2例)、10〜14歳(1例)、20〜24歳(1例)、25〜29歳(1例)、30〜34歳(1例)、35〜39歳(1例)、70代(1例)
累積報告数:473例〔麻しん(検査診断例149例、臨床診断例217例)、修飾麻しん(検査診断例107例)〕
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(補)他に2009年第27週までに診断されたものの報告遅れとして、E型肝炎1例(感染地域:千葉県_感染源:不明)、エキノコックス症2例(多包条虫2例_感染地域:北海道2例)、日本紅斑熱1例(感染地域:三重県.死亡)、急性脳炎2例〔ヘルペスウイルス1例(50代)、病原体不明1例(2歳)〕、クリプトスポリジウム症9例(感染地域:青森県9例)、風しん1例(検査診断例.感染地域:東京都.年齢群:40代)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(7.69)、三重県(0.72)、高知県(0.33)、滋賀県(0.31)、岐阜県(0.30)、大阪府(0.28)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は158例と減少した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約82%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では北海道(1.00)、福井県(0.86)、山形県(0.83)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第24週以降減少が続いている。都道府県別では宮崎県(2.56)、山口県(2.44)、埼玉県(2.06)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第21週以降減少が続いている。都道府県別では大分県(7.8)、福井県(6.5)、宮崎県(6.1)が多い。水痘の定点当たり報告数は第25週以降減少が続いている。都道府県別では長野県(2.05)、石川県(1.86)、福岡県(1.83)が多い。手足口病の定点当たり報告数は第20週以降増加が続いている。都道府県別では福岡県(6.7)、佐賀県(5.4)、大分県(4.5)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では神奈川県(1.36)、山梨県(0.50)、東京都(0.43)が多い。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してやや多い。都道府県別では宮崎県(0.92)、高知県(0.17)、沖縄県(0.09)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は第20週以降増加が続いている。都道府県別では大分県(6.4)、大阪府(5.5)、愛知県(4.4)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福井県(4.1)、長崎県(3.2)、佐賀県(2.3)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では群馬県(1.88)、沖縄県(1.86)、宮城県(1.58)が多い。
注目すべき感染症
◆ 新型インフルエンザ(2009年7月24日現在)
*本週報では、通常当該週(第28週)までの情報や報告数について掲載していますが、新型インフルエンザに関する迅速な情報提供の必要性を考慮し、本稿については7月24日までに得られた情報や知見、報告に基づいて掲載しています。
新型インフルエンザA(H1N1)は、急な発熱や咳、咽頭痛などを主な臨床症状とする急性呼吸器疾患であり、季節性インフルエンザとほぼ同様の臨床像を示す。発病者は若年齢者層に集中していることは日本国内、諸外国共に同様である。また、殆どの発病例は軽症であるとされており、日本ではまだ報告例はないが、一部の重症の多くは肺炎による呼吸不全を呈していると米国等より報告されている。抗インフルエンザウイルス薬の早期の投与により、有熱期間の短縮等の症状の軽減が見込まれるが、オセルタミビルに対する耐性を持ったウイルスの出現については注意が必要である。若年者層での発病者の割合が高く、学校等の集団生活施設が大きな感染拡大の場であると考えられているが、地域社会にウイルスが蔓延するにつれて、他の年齢層の発病者も増加してくるものと予想される。
WHOによると、2009年7月6日現在、確定症例は世界135カ国から94,512名の報告例と、429名の死亡例が確認されている。アフリカ諸国や西アジアの一部の地域を除く、世界中の多くの国々から患者発生の報告があるが、米国等でも既に重症患者を中心とした検査・報告システムに変更されており、実際の発生者数よりもかなり過少評価されている可能性が高い。現在冬季である南半球の国々における新型インフルエンザA(H1N1)の流行の推移を監視することは、約半年後の北半球の流行を予測する上で非常に重要であるが、現在夏季に入りインフルエンザの季節的流行が通常は収束しているはずの北半球の国々でも、患者の発生に衰えがみられていないことは、今後とも注目していく必要がある。
日本国内では、7月24日午前6時の時点で、5,022例(検疫対象者36例を含む)の確定例が報告されており、5月下旬から6月初旬にかけて、一旦は患者発生数の減少がみられていたが、その後は継続的に増加傾向を示している。これまでに、47都道府県全てから患者発生の報告があり、最近では大阪府、愛知県、神奈川県、福岡県、兵庫県、京都府、茨城県、石川県などからの報告数の増加が目立ってきている。特に大阪府では、1週間で250例以上の患者報告があった。今後、秋季以降は比較的早期に、これまで以上の流行が国内で発生して行く可能性は否定できない。本格的な流行の開始時期や流行の規模等については、現時点では推定することは困難であるが、本格的な流行の到来時には、学校施設等での集団発生の多発、地域社会へのウイルスの浸透による患者発生数の急増、他の国々で既に見られている重症患者の出現等が予想される。本格的な流行に備えた医療体制の確立、各地域ごとの効果的で実施可能な流行拡大抑制対策を準備しておくことは、現時点において極めて重要な課題である。
新型インフルエンザの最新情報はhttp://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/index.html をご参照ください
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