発生動向総覧
〈第33週コメント〉 8月19日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 265例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢7例
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感染地域:東京都2例、福島県1例、三重県1例、国内(都道府県不
明)1例、インドネシア1例、ベトナム1例
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腸管出血性大腸菌感染症103例(有症者68例、うちHUS 2例)
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感染地域:国内102例、ロシア1例
国内の多い感染地域:兵庫県6例、佐賀県6例、宮城県5例、東京都5例、石川県5例、大阪府5例、大分県5例、青森県4例、岩手県4例、福岡県4例、熊本県4例
年齢群:0歳(2例)、1歳(4例)、2歳(3例)、3歳(7例)、4歳(3例)、5歳(3例)、6歳(1例)、7歳(5例)、8歳(2例)、10代(5例)、20代(26例)、30代(16例)、40代(3例)、50代(6例)、60代(7例)、70代(5例)、80代(5例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2( 46例)、O157 VT2( 23例)、O157 VT1(6例)、O26 VT1(6例)、O103 VT1(5例)、O145 VT2(3例)、O26 VT不明(2例)、O157 VT不明(1例)、O111 VT1(1例)、O165 VT2(1例)、その他・不明(9例)
累積報告数:1,902例(有症者1,247例、うちHUS 31例.死亡1例)
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4類感染症: |
E型肝炎1例〔感染地域:国内(都道府県不明)_感染源:不明〕
デング熱1例(感染地域:カンボジア) 日本紅斑熱1例(感染地域:三重県)
マラリア2例
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三日熱1例_感染地域:韓国
熱帯熱1例_感染地域:フィリピン
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レジオネラ症12例(肺炎型10例、ポンティアック型2例)
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感染地域:愛知県2例、青森県1例(温泉)、岩手県1例、山形県1例、神奈川県1例、石川県1例、静岡県1例、大分県1例、国内(都道府県不明)2例(うち温泉1例)、静岡県/サイパン1例
年齢群:30代(1例)、40代(1例)、50代(5例)、60代(2例)、70代(1例)、80代(2例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢7例(腸管アメーバ症6例、腸管及び腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:長野県2例、北海道1例、東京都1例、徳島県1例、福岡県1例、インドネシア1例
感染経路:経口感染2例、性的接触1例(異性間)、不明4例
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ウイルス性肝炎1例〔B型_感染経路:性的接触(同性間)〕
急性脳炎4例
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インフルエンザウイルスAH1pdm2例_年齢群:4歳(1例)、10代(1例)
インフルエンザウイルスB型1例_年齢群:2歳
ヒトヘルペスウイルス6型1例_年齢群:1歳
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後天性免疫不全症候群13例(AIDS 4例、無症候9例) |
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感染地域:国内11例、国内・国外不明2例
感染経路:性的接触11例(異性間2例、同性間9例)、性的接触(異性間)/静注薬物使用1例、不明1例
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ジアルジア症1例(感染地域:ブルキナファソ)
梅毒1例(無症候)
破傷風1例(年齢群:70代)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症2例 |
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遺伝子型:不明2例_菌検出検体:開放膿1例、便1例
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麻しん10例〔麻しん(検査診断例4例、臨床診断例3例)、修飾麻しん(検査診断例)3例〕
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感染地域:国内9例、中国1例
国内の感染地域:神奈川県2例、愛知県2例、宮城県1例、千葉県1例、国内(都道府県不明)3例
年齢群:0歳(1例)、1歳(3例)、3歳(1例)、20〜24歳(1例)、25〜29歳(1例)、35〜39歳(2例)、70代(1例)
累積報告数:560例〔麻しん(検査診断例173例、臨床診断例239例)、修飾麻しん(検査診断例148例)〕
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(補)他に2009年第32週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢1例(感染地域:神奈川県)、オウム病1例(感染地域:静岡県_感染源:インコ)、日本紅斑熱1例(感染地域:三重県)、マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ナイジェリア)、ライム病1例(感染地域:北海道)、レジオネラ症1例〔感染地域:静岡県(温泉)〕、急性脳炎2例〔エンテロウイルス1例(5歳)、サルモネラ1例(10歳)〕、バンコマイシン耐性腸球菌感染症3例〔遺伝子型:VanC 2例(うち1例死亡)_菌検出検体:血液2例.遺伝子型:VanB 1例_菌検出検体:尿〕などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は第28週以降増加が続いており、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では沖縄県(29.60)、奈良県(2.96)、滋賀県(2.48)、福島県(2.45)、東京都(2.14)、大阪府(2.14)、茨城県(2.11)、高知県(2.10)、埼玉県(1.91)、長野県(1.83)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は254例と第29週以降増加が続いている。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約81%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は第29週以降減少が続いている。都道府県別では北海道(0.59)、福井県(0.45)、滋賀県(0.42)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第24週以降減少が続いている。都道府県別では大分県(1.06)、宮崎県(1.03)、富山県(0.93)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では大分県(5.7)、島根県(5.6)、福井県(4.7)が多い。水痘の定点当たり報告数は第30週以降減少が続いている。都道府県別では徳島県(1.39)、宮崎県(1.36)、福島県(1.13)が多い。手足口病の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では佐賀県(5.4)、愛媛県(5.1)、福岡県(3.6)、青森県(3.6)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では神奈川県(0.35)、宮崎県(0.31)、山梨県(0.17)が多い。百日咳の定点当たり報告数は3週連続で減少した。都道府県別では宮崎県(0.25)、三重県(0.09)、福岡県(0.06)、沖縄県(0.06)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では富山県(5.3)、大分県(4.1)、和歌山県(4.0)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では福井県(3.18)、山形県(2.67)、長崎県(2.05)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では沖縄県(2.00)、群馬県(1.88)、福島県(1.71)が多い。
〈7月コメント〉
◆性感染症について 2009年8月11日集計分 性感染症定点数:956
(産婦人科・産科・婦人科:460、泌尿器科:393、皮膚科89、性病科14)
●月別推移
2009年7月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.49(男1.11、女1.38)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.70(男0.28、女0.43)、尖圭コンジローマが0.54(男0.30、女0.24)、淋菌感染症が0.89(男0.72、女0.17)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)
前月に比べると、男性では、4疾患すべてで増加した。女性では、性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で減少、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で減少した(27〜30ページ「グラフ総覧」参照)。
過去5年間の同時期と比較すると、男性では4疾患すべてでやや少なかった。女性では性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、淋菌感染症でやや少なかった(図2)。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(7月) |
●男女別・年齢階級別
年齢群別(0歳、1〜4歳、5〜69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では、性器クラミジア感染症は25〜29歳、性器ヘルペスウイルス感染症は25〜29歳および30〜34歳、尖圭コンジローマは25〜29歳、淋菌感染症は20〜24歳の年齢群であった。女性では、4疾患すべて20〜24歳の年齢群であった(図3:PDF参照)。男女ともに4疾患すべてで15〜19歳の年齢群の報告があり、男性の性器クラミジア感染症と性器ヘルペスウイルス感染症、女性の性器クラミジア感染症では10〜14歳の年齢群の報告があった。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患は、男性では60代以上は僅かであり、女性では50代以上の報告はないか、あっても僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、報告数や年齢群分布において明らかな変化は見られておらず、この基準変更の周知徹底が必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、淋菌感染症では、15〜19歳以外の年齢群で男性が女性よりも多かった。一方、性器クラミジア感染症では15〜29歳の3つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では、15〜34歳、40〜44歳、50〜54歳、70歳以上の7つの年齢群、尖圭コンジローマでは15〜24歳の2つの年齢群の、比較的低い年齢層を中心に女性が男性よりも多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較についてはそれらの比率の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15〜29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に図4(PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられる。性器ヘルペスウイルス感染症は、男性では2007年以降、女性では2006年以降微減傾向がみられる。尖圭コンジローマは男女共に2006年以降微減傾向がみられる。淋菌感染症は、男性では2003年以降減少傾向、女性では2004年以降微減傾向がみられる。前月との比較では、男性では性器クラミジア感染症で同値、性器ヘルペスウイルス感染症で減少、尖圭コンジローマで増加、淋菌感染症で増加であった。女性では性器クラミジア感染症で増加、性器ヘルペスウイルス感染症で減少、尖圭コンジローマで減少、淋菌感染症で増加した。
◆薬剤耐性菌について (8月11日集計分)
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基幹定点数(7月):462.
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
4.05(前月:4.21、前年同月:4.31)
定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。7月は前月よりやや減少し、過去10年間の同月との比較では中位に属した。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
0.87(前月:1.03、前年同月:0.74)
定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7〜9月)に少なく推移している。7月は前月より減少し、過去10年間の同月との比較では中位に属した。
薬剤耐性緑膿菌感染症
0.10(前月:0.08、前年同月:0.09)
定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。7月は前月より増加し、過去10年間の同月との比較では下位に属した。
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●年齢階級別
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MRSA感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の65%を占めている(図1:PDF参照)
PRSP感染症
小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の61%を占める一方、70歳以上が全体の20%を占めている(図2:PDF参照)。
薬剤耐性緑膿菌感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の74%を占めている(図3:PDF参照)
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=1.6:1
PRSP感染症…男:女=1.3:1
薬剤耐性緑膿菌感染症…男:女=1.6:1
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●都道府県別
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MRSA感染症
定点当たり報告数は沖縄県(13.4)、滋賀県(8.0)、新潟県(7.9)が多い。
PRSP感染症
定点当たり報告数は千葉県(4.9)、高知県(2.9)、新潟県(2.8)が多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症
報告総数が46件にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
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注目すべき感染症
◆ インフルエンザ
2009年4月にその存在が明らかとなった新型インフルエンザA/H1N1の臨床像は、従来の季節性インフルエンザ〔A/H1N1亜型(Aソ連型)、A/H3N2亜型(A香港型)、B型よりなる〕とほぼ同様であり、現在臨床現場において、迅速抗原検査も含めて季節性インフルエンザと新型インフルエンザを迅速に判別する方法はない。感染症発生動向調査では、全国約4,800カ所のインフルエンザ定点からの報告に基づいてインフルエンザの発生動向を分析している。本サーベイランスは原則的に臨床診断によるものであり、現在は従来の季節性インフルエンザに加えて、新型インフルエンザも含んだサーベイランスとなっている。
感染症発生動向調査によると、インフルエンザの定点当たり報告数は、2009年第28週以降増加が続いていることに加えて第31週以降急増してきており、第33週は1.69(報告数7,750)とこれまでの季節性インフルエンザの全国的な流行開始の指標値(1.00)を上回った(図1)。定点医療機関からの報告数をもとに、定点以外を含む全国の医療機関を1週間に受診した患者数を推計すると、約11万人となる。都道府県別では沖縄県(29.60)、奈良県(2.96)、滋賀県(2.48)、福島県(2.45)、東京都(2.14)、大阪府(2.14)、茨城県(2.11)、高知県(2.10)、埼玉県(1.91)、長野県(1.83)の順となっている(図2)。26都府県で定点当たり報告数が1.00を上回っていることに加えて、三重県、長崎県を除く45都道府県で前週よりも報告数が増加しており、特に沖縄県では既に本格的な流行が始まっている。また、保健所地域でみると、定点当たり報告数が1.0を上回っている保健所地域は264カ所(44都道府県)となっている。さらに、「警報・注意報発生システム」では、警報レベル(定点当たり報告数が30.0を上回り、その後も10.0以上が継続)にある保健所地域が2カ所(沖縄県2)あり、また注意報レベル(警報レベルになく、定点当たり報告数が10.0以上)にある保健所地域が6カ所(沖縄県3、長野県2、大阪府1)あり、インフルエンザの流行地域およびそのレベルは共に増大している(2009年第33週インフルエンザ流行レベルマップ:https://nesid3g.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/index.html「今シーズンの動き」参照)。
患者報告数が継続的に増加し始めた第28週以降第33週までの定点当たり累積報告数は4.33(累積報告数18,438)であり、年齢群別では10〜14歳3,879例(21.0%)、5〜9歳3,742例(20.3%)、15〜19歳3,301例(17.9%)、20〜29歳2,890例(15.7%)、0〜4歳1,956例(10.6%)の順となっている。5〜19歳が患者発生の中心であり、20歳代までで全報告数の約86%を占めている(図3)
日本で新型インフルエンザウイルスAH1pdmが検出された2009年第19週以降33週までに、AH1亜型(Aソ連型)51件、AH3亜型(A香港型)771件、B型101件、AH1pdm(新型インフルエンザウイルス)3,826件のインフルエンザウイルスの検出が報告されており、AH1pdmは全体の約80.6%を占めている。AH1pdmの大半は、新型インフルエンザの鑑別診断のため、地方衛生研究所でPCR検査が実施されてきた結果であり、従来の季節性インフルエンザと新型インフルエンザの患者発生の割合を正確に示しているものではないが、特に患者報告数が増加し始めた第28週以降では、総インフルエンザウイルス検出数(2,857件)のうちAH1pdmの検出数(2,774件)が97.1%を占めており、最近の発生患者の殆どが新型インフルエンザに罹患しているものと推定される(図4および感染症情報センターホームページ:http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph/sinin1.gif 参照)。
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図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(1999〜2009年第33週) |
図2. インフルエンザの都道府県別報告状況(2009年第33週) |
図3. インフルエンザ累積報告数の年齢群別割合(2009年第28〜33週) |
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図4. インフルエンザウイルス分離・検出報告数の週別推移(2008年第36週〜2009年第33週) |
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現在の新型インフルエンザの流行の中心となっている年齢層を考慮すれば、夏季休暇終了後の全国の学校の再開をきっかけに、新型インフルエンザの流行は増大し、沖縄県のみならず全国各地で本格化していくことが十分に予想される。また、これまでのインフルエンザ・パンデミックの例をみても、新型インフルエンザの流行は、国民の多くが感染し免疫を保有するに至るまでは繰り返されるものと考えられる。今後の新型インフルエンザの流行規模を予測することは困難であるが、いまだ殆どの国民が感受性者であることから、その規模はこれまでの季節性インフルエンザの流行よりも大きくなる可能性が高いことを考慮しておくべきである。その場合、現在の医療体制をいかに維持し、国民に対して医療サービスを提供し続けるかが極めて大きな課題にとなることが予想される。また、流行規模の増大に伴って、心疾患、呼吸器疾患、腎疾患、糖尿病等の慢性疾患患者、妊娠女性、乳幼児、高齢者等のいわゆるインフルエンザの罹患による重症化が予想される者に対する注意と対策に関する準備も急務であると思われる。新型インフルエンザを含めたインフルエンザの発生動向には今後とも十分な注意が必要であり、ウイルスの変化並びに症状の変化に注意して監視していくべきと思われる。
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