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発生動向総覧
〈第34週コメント〉 8月26日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 246例 |
3類感染症: |
コレラ1例(感染地域:インド)
細菌性赤痢5例
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感染地域:東京都1例、国内(都道府県不明)1例、中国1例、インドネシア1例、インド1例
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腸管出血性大腸菌感染症101例(有症者81例、うちHUS 2例)
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感染地域:国内100例、米国1例
国内の多い感染地域:東京都8例、埼玉県7例、福岡県7例、神奈川県6例、石川県6例、兵庫県5例、広島県5例、宮城県4例、佐賀県4例
年齢群:0歳(1例)、1歳(5例)、2歳(9例)、3歳(2例)、4歳(1例)、5歳(1例)、6歳(1例)、7歳(1例)、8歳(1例)、10代(26例)、20代(20例)、30代(5例)、40代(11例)、50代(2例)、60代(8例)、70代(4例)、80代(3例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(50例)、O157 VT2(16例)、O157 VT1(7例)、O157 VT不明(7例)、O26 VT1(5例)、O121 VT2(3例)、O26 VT2(1例)、O63 VT2(1例)、O103 VT1(1例)、O145 VT1(1例)、O145 VT2(1例)、その他・不明(8例)
累積報告数:2,037例(有症者1,349例、うちHUS 33例.死亡1例)
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4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:山形県_感染源:不明)
つつが虫病1例(感染地域:高知県) デング熱3例(感染地域:フィリピン2例、ラオス1例) 日本紅斑熱1例(感染地域:宮崎県)
マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ケニア)
レジオネラ症4例(肺炎型4例)
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感染地域:茨城県1例、長野県1例、高知県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:60代(2例)、70代(1例)、80代(1例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢9例(腸管アメーバ症9例) |
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感染地域:北海道1例、埼玉県1例、愛知県1例、大阪府1例、宮崎県1例、沖縄県1例、国内(都道府県不明)3例
感染経路:経口感染2例、性的接触1例(同性間)、不明6例
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急性脳炎2例
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インフルエンザウイルスAH1pdm 1例_年齢群:6歳
病原体不明1例_年齢群:3歳
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劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例
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年齢群:80代(死亡)
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後天性免疫不全症候群15例(無症候14例、その他1例) |
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感染地域:国内13例、国内・国外不明2例
感染経路:性的接触14例(異性間2例、同性間9例、異性/同性間3例)、不明1例
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ジアルジア症1例〔感染地域:国内(都道府県不明)〕
梅毒6例(早期顕症I期3例、早期顕症II期1例、無症候2例)
バンコマイシン耐性腸球菌感染症3例 |
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遺伝子型:VanB 1例_菌検出検体:尿
遺伝子型:不明2例_菌検出検体:腹水1例、便・尿・痰・開放膿1例
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風しん1例(検査診断例) |
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感染地域:愛知県
年齢群:25〜29歳
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麻しん15例〔麻しん(検査診断例5例、臨床診断例4例)、修飾麻しん(検査診断例)6例〕
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感染地域:国内15例
国内の感染地域:東京都3例、神奈川県3例、千葉県2例、大阪府2例、北海道1例、新潟県1例、長野県1例、京都府1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:0歳(3例)、1歳(6例)、2歳(1例)、20〜24歳(2例)、30〜34歳(1例)、40代(2例)
累積報告数:577例〔麻しん(検査診断例179例、臨床診断例242例)、修飾麻しん(検査診断例156例)〕
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(補)他に2009年第33週までに診断されたものの報告遅れとして、腸チフス2例(感染地域:大阪府1例、中国/インドネシア1例)、急性脳炎1例〔病原体不明(2歳).死亡〕、風しん1例(臨床診断例.感染地域:新潟県.年齢群:2歳)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は第28週以降増加が続いており、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では沖縄県(46.31)、埼玉県(2.94)、神奈川県(2.85)、福井県(2.84)、徳島県(2.84)、大阪府(2.81)、千葉県(2.65)、東京都(2.64)、滋賀県(2.54)、京都府(2.46)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は302例と第29週以降増加が続いている。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約80%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では長野県(0.65)、宮崎県(0.56)、新潟県(0.48)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福井県(1.32)、山形県(1.17)、鳥取県(1.11)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では大分県(8.1)、福井県(7.0)、宮崎県(6.3)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(1.94)、徳島県(1.26)、石川県(1.14)が多い。手足口病の定点当たり報告数は増加し、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では佐賀県(4.7)、愛媛県(4.1)、青森県(3.9)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では神奈川県(0.46)、佐賀県(0.43)、長崎県(0.25)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(0.12)、栃木県(0.10)、高知県(0.10)、福岡県(0.10)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は3週連続で減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では石川県(4.1)、富山県(3.9)、鳥取県(3.3)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では福井県(4.1)、長崎県(2.6)、佐賀県(2.4)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では沖縄県(2.43)、岐阜県(1.40)、群馬県(1.25)が多い。
注目すべき感染症
◆ インフルエンザ
WHOの報告によると、南アフリカやボリビア等のいくつかの国を除いた南半球の殆どの国々では、インフルエンザの流行のピークは過ぎ、通常のレベルに戻ったかあるいは限局的な流行となっている。熱帯地方の多くの国々では、インフルエンザの流行の増大や、高いレベルでの流行状態が維持され、いくつかの国では医療システムに負荷がかかってきている。また、北半球の温帯地域では、一部の地域を除き全体的にはインフルエンザの活動性は低いままであるが、一方日本では、いわゆる季節性インフルエンザで示されている「流行の初期段階」の水準を超えたことが指摘されている(WHOホームページ:http://www.who.int/csr/don/2009_08_28/en/index.html参照)。
日本では、1987年から小児科の定点医療機関によるインフルエンザの発生動向調査(サーベイランス)が開始され、1999年からは内科医療機関も含めたインフルエンザ定点医療機関からの報告に基づく調査に変更された。現在は全国約4,800カ所のインフルエンザ定点医療機関からの報告に基づいたデータ解析が実施されており、週毎の国内の罹患者数の推計も可能となっている。本サーベイランスは原則的に臨床診断によるものであり、最近の国内のインフルエンザウイルス検出状況を考慮すれば、現在報告されているインフルエンザ患者発生の殆どは新型インフルエンザによるものであると推定される。
感染症発生動向調査によると、インフルエンザの定点当たり報告数は、2009年第28週以降増加が続いていることに加えて第31週以降の急増も継続しており、第34週は2.47(報告数11,636)となった(図1)。定点医療機関からの報告数をもとに、定点以外を含む全国の医療機関を1週間に受診した患者数を推計すると、約15万人となる。都道府県別では沖縄県(46.31)、埼玉県(2.94)、神奈川県(2.85)、福井県(2.84)、徳島県(2.84)、大阪府(2.81)、千葉県(2.65)、東京都(2.64)、滋賀県(2.54)、京都府(2.46)の順となっている(図2)。北海道、富山県、和歌山県、岡山県、広島県を除く42都府県で定点当たり報告数が1.00を超えていることに加えて、沖縄県の流行はさらに本格化している。また、保健所地域をみると、47都道府県の377保健所地域で定点当たり報告数が1.00を上回っており、インフルエンザの流行地域およびそのレベルはともに増大している。
患者報告数が継続的に増加し始めた第28週以降第34週までの定点当たり累積報告数は6.90(累積報告数30,106)であり、年齢群別では5〜9歳6,202例(20.6%)、10〜14歳5,909例(19.6%)、15〜19歳5,014例(16.7%)、20〜29歳4,737例(15.7%)、0〜4歳3,656例(12.1%)の順となっている。10歳未満の報告数の割合が増加しており、20歳代までで全報告数の約85%を占めている(図3)。
日本で新型インフルエンザウイルスAH1pdmが検出された2009年第19週以降34週までに5,574件のインフルエンザウイルスの検出が報告されており、そのうちAH1pdmは4,634件(83.1%)を占めている。また、特に患者報告数が増加し始めた第28週以降では、第34週までにAH1亜型(Aソ連型)12件(0.3%)、AH3亜型(A香港型)78件(2.2%)、B型4件(0.1%)、AH1pdm(新型インフルエンザウイルス)3,511件(97.4%)とインフルエンザウイルスの検出報告数の大半をAH1pdmが占めており、現在国内で発生しているインフルエンザの殆どは新型インフルエンザによるものであると推定される(図4および感染症情報センターホームページ:http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph/sinin1.gif 参照)。
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図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(1999〜2009年第34週) |
図2. インフルエンザの都道府県別報告状況(2009年第34週) |
図3. インフルエンザ累積報告数の年齢群別割合(2009年第28〜34週) |
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図4. インフルエンザウイルス検出割合報告(2009年第28〜34週) |
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インフルエンザの定点当たり報告数は、第33週に1.69となり、季節性インフルエンザの全国的な流行開始の指標である1.00を上回ったが、その後も報告数の急増が継続しており、今後全国の殆どの学校で夏季休暇が終了するに伴い、新型インフルエンザの流行はさらに増大し、沖縄県のみならず全国各地で本格化していくことが十分に予想される。
これまでのインフルエンザ・パンデミックの例をみても、新型インフルエンザの流行は、国民の多くが感染し免疫を保有するに至るまでは繰り返されるものと考えられる。今後の新型インフルエンザの流行規模を予測することは困難であるが、いまだ殆どの国民が感受性者であることから、たとえ秋季の流行であっても、その規模は従来の冬季における季節性インフルエンザの流行よりも大きくなる可能性があることを考慮しておくべきである。その場合、現在の医療体制をいかに維持し、国民に対して医療サービスを提供し続けられるかが極めて大きな課題にとなることが予想される。また、流行規模の増大に伴って、心疾患、呼吸器疾患、腎疾患、糖尿病等の慢性疾患患者、妊婦、乳幼児、高齢者等のいわゆるインフルエンザの罹患による重症化が予想される者に対する注意と対策に関する準備も急務であると思われる。新型インフルエンザを含めたインフルエンザの発生動向には今後とも十分な注意が必要であり、ウイルスの変化並びに症状の変化に注意して監視していくべきと思われる。
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