発生動向総覧
〈第50週コメント〉 12月16日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 270例 |
3類感染症: |
腸管出血性大腸菌感染症23例(有症者14例、うちHUS 1例) |
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感染地域:国内23例
国内の感染地域:秋田県3例、埼玉県3例、東京都2例、神奈川県2例、宮崎県2例、千葉県1例、愛知県1例、三重県1例、京都府1例、大阪府1例、広島県1例、長崎県1例、熊本県1例、鹿児島県1例、不明2例
年齢群:0歳(1例)、1歳(1例)、2歳(1例)、3歳(1例)、4歳(1例)、6歳(1例)、7歳(1例)、10代(2例)、20代(3例)、30代(3例)、40代(2例)、50代(3例)、60代(2例)、80代(1例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(8例)、O26 VT1(7例)、O157 VT2(5例)、O157 VT1(1例)、O157 VT不明(1例)、O91 VT1(1例)
累積報告数:3,751例(有症者2,514例、うちHUS 78例.死亡3例)
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腸チフス1例〔感染地域:国内(都道府県不明)〕
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4類感染症: |
A型肝炎1例(感染地域:熊本県)
つつが虫病32例
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感染地域:鹿児島県7例、福島県4例、群馬県3例、東京都3例、千葉県2例、青森県1例、茨城県1例、神奈川県1例、静岡県1例、兵庫県1例、広島県1例、島根県1例、佐賀県1例、宮崎県1例、国内(都道府県不明)2例
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デング熱2例(感染地域:インドネシア1例、インド1例)
レジオネラ症12例(肺炎型12例)
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感染地域:富山県2例、石川県2例、愛知県2例、北海道1例、茨城県1例、千葉県1例、大阪府1例、国内(都道府県不明)2例
年齢群:50代(2例)、60代(5例)、70代(1例)、80代(3例)、90代(1例)
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レプトスピラ症1例
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感染地域:高知県
感染源:不明
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5類感染症: |
アメーバ赤痢9例(腸管アメーバ症6例、腸管外アメーバ症3例) |
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感染地域:宮城県1例、埼玉県1例、京都府1例、兵庫県1例、国内(都道府県不明)4例、国外(国不明)1例
感染経路:性的接触5例(異性間1例、同性間2例、異性・同性間不明2例)、経口感染1例、不明3例
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ウイルス性肝炎1例(EBウイルス_感染経路:不明)
急性脳炎9例
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インフルエンザウイルスAH1pdm 4例_年齢群:2歳(1例)、3歳(1例)、9歳(1例)、10代(1例)
インフルエンザウイルスA型2例_年齢群:5歳(1例)、30代(1例)
単純ヘルペスウイルス1例_年齢群:80代
病原体不明2例_年齢群:1歳(2例)
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後天性免疫不全症候群15例(AIDS 1例、無症候13例、その他1例) |
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感染地域:国内15例
感染経路:性的接触14例(異性間3例、同性間10例、異性/同性間1例)、不明1例
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梅毒10例(早期顕症I期2例、早期顕症II期5例、無症候3例)
破傷風1例(年齢群:20代)
風しん1例(検査診断例)
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感染地域:静岡県
年齢群:20代
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麻しん7例〔麻しん(検査診断例2例、臨床診断例3例)、修飾麻しん(検査診断例2例)〕
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感染地域:国内7例
国内の感染地域:千葉県2例、山形県1例、東京都1例、徳島県1例、都道府県不明2例
年齢群:1歳(1例)、15〜19歳(3例)、20〜24歳(1例)、30〜34歳(2例)
累積報告数:726例〔麻しん(検査診断例241例、臨床診断例298例)、修飾麻しん(検査診断例187例)〕
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(補)他に2009年第49週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢1例(感染地域:インド)、E型肝炎7例〔感染地域:北海道7例.感染源:ブタ肉1例、ブタレバー1例、イノシシ肉1例、ホルモン焼き(動物種不明)1例、不明3例〕、レジオネラ症2例〔感染地域:山梨県1例(温泉)、兵庫県1例(温泉)〕、急性脳炎17例〔インフルエンザウイルスAH1pdm 9例(1歳1例、4歳3例、5歳2例、6歳2例、9歳1例)、インフルエンザウイルスA型1例(10代)、インフルエンザウイルス(型不明)2例(3歳1例、7歳1例)、アデノウイルス1例(1歳)、病原体不明4例(1歳1例、30代1例、50代2例)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(70代)、バンコマイシン耐性腸球菌感染症3例(遺伝子型:VanC 3例_菌検出検体:血液2例、喀痰1例)などの報告があった。
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◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は2週連続で減少したが、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では宮崎県(55.51)、福井県(53.78)、徳島県(39.59)、長野県(38.56)、長崎県(38.51)、青森県(38.43)、山口県(38.35)、福島県(38.05)、大分県(37.83)、愛媛県(37.26)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は2,372例と第40週以降増加が続いている。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約65%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では広島県(0.46)、福岡県(0.46)、石川県(0.38)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では山口県(3.58)、北海道(2.22)、富山県(2.17)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第46週以降増加が続いている。都道府県別では大分県(13.4)、熊本県(10.3)、福井県(9.6)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では宮崎県(3.06)、福島県(2.38)、福井県(2.18)が多い。手足口病の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では岩手県(1.28)、山形県(1.23)、島根県(0.78)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では青森県(0.40)、神奈川県(0.20)、長野県(0.20)が多い。百日咳の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では千葉県(0.13)、高知県(0.13)、栃木県(0.10)、広島県(0.10)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は減少した。都道府県別では岩手県(0.48)、鹿児島県(0.31)、熊本県(0.27)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では沖縄県(2.29)、大分県(1.97)、福島県(1.67)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では埼玉県(1.89)、福島県(1.86)、青森県(1.83)が多い。
〈11月コメント〉
◆性感染症について 2009年12月14日集計分 性感染症定点数:954
(産婦人科・産科・婦人科:456、泌尿器科:397、皮膚科87、性病科14)
●月別推移
2009年11月の月別定点当たり患者報告数は、性器クラミジア感染症が2.04(男0.94、女1.10)、性器ヘルペスウイルス感染症が0.65(男0.25、女0.40)、尖圭コンジローマが0.42(男0.23、女0.18)、淋菌感染症が0.78(男0.60、女0.17)であった。男性では性器クラミジア感染症、次いで淋菌感染症が多く、女性では性器クラミジア感染症、次いで性器ヘルペスウイルス感染症が多かった(図1)。
前月に比べると、男性では、4疾患すべてで減少した。女性では、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマの3疾患で減少、淋菌感染症で同値であった(26〜29ページ「グラフ総覧」参照)。過去5年間の同時期と比較すると、男性では4疾患すべてでやや少なかった。女性では性器クラミジア感染症、性器ヘルペス感染症、尖圭コンジローマの3疾患でやや少なかった(図2)。
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図1. 各性感染症が総報告数に占める割合(11月) |
●男女別・年齢階級別
年齢群別(0歳、1〜4歳、5〜69歳は5歳毎、および70歳以上)でみた定点当たり報告数のピークは、男性では、性器クラミジア感染症は20〜29歳の2つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症は25〜34歳の2つの年齢群、尖圭コンジローマは25〜39の3つの年齢群、淋菌感染症は25〜29歳の年齢群であった。女性では、性器クラミジア感染症、性器ヘルペス感染症、尖圭コンジローマの3疾患は20〜24歳、淋菌感染症は20〜29歳の2つの年齢群であった(図3:PDF参照)。男女ともに4疾患すべてで15〜19歳の年齢群の報告があり、女性の性器クラミジア感染症と淋菌感染症では10〜14歳の年齢群の報告があった。また、性器クラミジア感染症、尖圭コンジローマ、淋菌感染症の3疾患は、男性では60代以上は僅かであり、女性では50代以上の報告はないか、あっても僅かである。しかし、性器ヘルペスウイルス感染症は男女ともに、50代以降の報告も少なくない。この年齢層は再発例が含まれている可能性が以前から指摘されており、2006年4月の届出基準改正により、抗体のみ陽性のものの除外に加えて「明らかな再発例は除外する」ことが明示された。しかし、報告数や年齢群分布において明らかな変化は見られておらず、この基準変更の周知徹底が必要と考える。
年齢群毎にみた定点当たり報告数の男女の比較では、淋菌感染症ではすべての年齢群で男性が女性よりも多かった。一方、性器クラミジア感染症では15〜29歳の3つの年齢群、性器ヘルペスウイルス感染症では15〜39歳、55〜64歳、70歳以上の8つの年齢群、尖圭コンジローマでは15〜24歳の2つの年齢群という比較的低い年齢層を中心に女性が男性よりも多かった。ただし、性感染症定点は泌尿器科系、婦人科系および皮膚科系などの診療科から構成されており、男女の比較についてはそれらの比率の影響を受ける可能性がある。
●若年齢層での推移
感染症法が施行された1999年4月以降について、若年層(15〜29歳)における各疾患の定点当たり報告数を男女別・月別に(図4:PDF参照)に示した。性器クラミジア感染症は男女ともに2003年以降減少傾向がみられる。性器ヘルペスウイルス感染症は、男性では2007年以降、女性では2006年以降微減傾向がみられる。尖圭コンジローマは男女共に2006年以降微減傾向がみられる。淋菌感染症は、男性では2003年以降減少傾向、女性では2004年以降微減傾向がみられる。前月との比較では、男性では性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で増加、尖圭コンジローマで減少、淋菌感染症で減少であった。女性では性器クラミジア感染症で減少、性器ヘルペスウイルス感染症で減少、尖圭コンジローマで減少、淋菌感染症で同値であった。
◆薬剤耐性菌について (12月14集計分)
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基幹定点数(11月):465.
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●月別
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メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症
3.81(前月:3.74、前年同月:4.01)
定点当たり報告数は、例年年間を通じてほぼ一定である。11月は前月よりやや増加し、過去10年間の同月との比較では中位に属した。
ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)感染症
0.86(前月:0.75、前年同月:1.10)
定点当たり報告数は、例年春から初夏にかけて(4〜6月)と冬(11、12月)に多く、夏(7〜9月)に少なく推移している。11月は前月よりやや増加したが、過去10年間の同月との比較では下位に属した。
薬剤耐性緑膿菌感染症
0.08(前月:0.07、前年同月:0.06)
定点当たり報告数は、例年後半が前半に比して多い傾向がある。11月は前月よりやや増加し、過去10年間の同月との比較では下位に属した。
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●年齢階級別
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MRSA感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の65%を占めている(図1:PDF参照)
PRSP感染症
小児と高齢者に多い。5歳未満が全体の61%を占める一方、70歳以上が全体の16%を占めている(図2:PDF参照)。
薬剤耐性緑膿菌感染症
高齢者に多く、70歳以上が全体の71%を占めている(図3:PDF参照)
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●性別:女性を1 として算出した男/女比
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MRSA感染症…男:女=1.7:1
PRSP感染症…男:女=1.5:1
薬剤耐性緑膿菌感染症…男:女=1.9:1
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●都道府県別
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MRSA感染症
定点当たり報告数は沖縄県(8.9)、新潟県(7.9)、福島県(7.6)が多い。
PRSP感染症
定点当たり報告数は福井県(5.0)、富山県(3.0)、千葉県(2.6)が多い。
薬剤耐性緑膿菌感染症
報告総数が38件にとどまるため、都道府県別定点当たり報告数の評価は困難である。
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注目すべき感染症
◆ インフルエンザ
インフルエンザ(Influenza)は、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられている。2009年4月にその存在が明らかとなった新型インフルエンザA/H1N1の臨床像は、従来の季節性インフルエンザとほぼ同様であり、罹患者の大半は合併症なく治癒するといわれているが、肺炎やインフルエンザ脳症を併発して重症化する場合がある。特に肺炎は、急速に進行する重症のウイルス性肺炎を起こす場合が多く、喘息や慢性閉塞性肺疾患等の呼吸器疾患の存在が急激な悪化と関連しているといわれている〔Clinical features of severe cases of pandemic influenza: Pandemic(H1N1)2009 briefing note 13, Global Alert and Response, WHO, Oct. 16, 2009;http://www.who.int/csr/disease/swineflu/notes/h1n1_clinical_features_20091016/en/index.html〕。現在新型インフルエンザは、北半球の国々では、広範な地域で流行が続いているが、北米では流行のピークが過ぎつつある。活動性の上昇が続いているのはヨーロッパの南東部および中央部、中央および南アジアである〔Pandemic(H1N1)2009-update79:http://www.who.int/csr/don/2009_12_18a/en/index.html〕。
感染症発生動向調査では、全国約5,000カ所(小児科定点約3,000、内科定点約2,000)のインフルエンザ定点からの報告に基づいてインフルエンザの発生動向を分析している。本サーベイランスは原則的に臨床診断によるものであり、最近の国内のインフルエンザウイルス検出状況を考慮すれば、現在報告されているインフルエンザ患者発生の殆どは新型インフルエンザによるものであると推定される。
2009年第50週のインフルエンザの定点当たり報告数は27.39(報告数131,972)と2週連続で減少した(図1)。都道府県別では宮崎県(55.51)、福井県(53.78)、徳島県(39.59)、長野県(38.56)長崎県(38.51)、青森県(38.43)、山口県(38.35)、福島県(38.05)、大分県(37.83)、愛媛県(37.26)の順となっている。定点当たり報告数は、北海道、東京都、神奈川県、山梨県を除く43府県で20.00を上回り、26県で30.00を上回っているが、41都道府県では前週よりも減少した(図2)。
定点医療機関からの報告数をもとに、定点以外を含む全国の医療機関を1週間に受診した患者数を推計すると約132万人(暫定値)と2週連続で減少し、第28週以降これまでの累積の推計患者数(暫定値)は約1,546万人(95%信頼区間:1,528万人〜1,564万人)となった(図3)。性別では男性約806万人(52.1%)、女性約742万人(47.9%)であり、年齢群別では5〜9歳約417万人(27.1%)、10〜14歳約404万人(26.2%)、15〜19歳約225万人(14.6%)、0〜4歳約161万人(10.5%)、20〜29歳約130万人(8.4%)、30〜39歳約97万人(6.3%)の順となっている(図4、図5)。
日本で新型インフルエンザウイルスAH1pdmが検出された2009年第19週以降第50週までに20,811件のインフルエンザウイルスの検出が報告されており、そのうちAH1pdmは19,762件(95.0%)を占めている。また、特に患者報告数が増加し始めた第28週以降では、第50週までに18,568件のインフルエンザウイルスの検出が報告され、AH1亜型(Aソ連型)18件(0.10%)、AH3亜型(A香港型)132件(0.71%)、B型5件(0.03%)、AH1pdm(新型インフルエンザウイルス)18,413件(99.17%)とインフルエンザウイルスの検出報告数の大半をAH1pdmが占めており、現在国内で発生しているインフルエンザの殆どは新型インフルエンザによるものであると推定される(図6および感染症情報センターホームページ:http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph/sinin1.gif 参照)。
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図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(1999〜2009年第50週) |
図2. インフルエンザの都道府県別定点当たり報告数の推移(2009年第48〜50週) |
図3. インフルエンザ累積推計受診者数週別推移(2009年第28〜50週) |
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図4. インフルエンザ推計受診患者数の年齢群別割合(2009年第28〜50週) |
図5. インフルエンザ全国推計受診者数の年齢群別割合の週別推移(2009年第34〜50週) |
図6. インフルエンザウイルス検出報告割合(2009年第28〜50週) |
インフルエンザの定点からの報告数は、2週連続して減少がみられ、国内の大半の都道府県では減少傾向が続いている(図2)。第28週より増加傾向となり、第33週に定点当たり報告数が1.00を超えて始まった、今回の秋季に大きな増加がみられた新型インフルエンザによる流行は、一旦はそのピークを過ぎつつあるものと考えられる。推計受診患者数(暫定値)の年齢群別からは、患者数の大半を占める29歳以下の年齢群において減少が続いている(図5)。
これまでのパンデミックの例をみても、新型インフルエンザの流行は、国民の多くが感染し免疫を保有するに至るまでは繰り返されるものと考えられる。既に推計の医療機関受診患者数(暫定値)は1,500万人を上回っており、人口の10%以上が罹患し、年齢群別では相当の割合で患者が発生しているところも出ている。特に5〜9歳、10〜14歳の年齢群は、不顕性感染者の存在も考慮すると、既に相当数が新型インフルエンザに対する免疫を保有している可能性もあると考えられる。従って、今後新型インフルエンザの流行は減少傾向に向かうと予想することもできるが、現時点ではまだ国民の多くが免疫を保有している状況であるとはいえないものと思われる。また、これまでは従来のインフルエンザの流行シーズンとは異なった季節における流行であり、今後インフルエンザの流行に最も適した厳冬期を迎えることを考えると、冬季休暇後には、季節性インフルエンザの流行も交えた本格的な流行が再び到来することも考慮しておく必要があるものと思われる。新型インフルエンザを含めたインフルエンザの発生動向には今後とも警戒が必要である。
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