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発生動向総覧
〈第3週コメント〉 1月27日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 301例 |
3類感染症: |
コレラ1例(感染地域:マレーシア) 細菌性赤痢3例(感染地域:ベトナム1例、バングラデシュ1例、エジプト1例)
腸管出血性大腸菌感染症14例(有症者9例、うちHUS なし) |
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感染地域:国内13例、インドネシア1例
国内の感染地域:福岡県3例、石川県2例、群馬県1例、愛知県1例、京都府1例、兵庫県1例、鹿児島県1例、不明3例
年齢群:4歳(1例)、5歳(1例)、10代(2例)、20代(3例)、40代(1例)、50代(3例)、60代(2例)、70代(1例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(7例)、O157 VT1(2例)、O157 VT2(2例)、O26 VT1(1例)、O91 VT1(1例)、その他・不明(1例)
累積報告数:64例(有症者39例、うちHUS 2例.死亡なし)
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4類感染症: |
A型肝炎1例(感染地域:長野県)
つつが虫病4例(感染地域:宮城県1例、東京都1例、徳島県1例、鹿児島県1例)
マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ナイジェリア)
レジオネラ症10例(肺炎型10例)
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感染地域:北海道2例、長野県2例、岩手県1例(温泉)、秋田県1例、栃木県1例、千葉県1例(温泉)、石川県1例、中国1例
年齢群:40代(1例)、50代(1例)、60代(2例)、70代(4例)、80代(2例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢12例(腸管アメーバ症9例、腸管外アメーバ症3例) |
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感染地域:東京都2例、群馬県1例、神奈川県1例、京都府1例、兵庫県1例、広島県1例、国内(都道府県不明)1例、韓国1例、米国1例、国外(国不明)1例、国内・国外不明1例
感染経路:性的接触3例(異性間1例、同性間2例)、経口感染5例、不明4例
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ウイルス性肝炎2例(サイトメガロウイルス2例_感染経路:不明2例)
急性脳炎5例
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インフルエンザウイルスAH1pdm 3例_年齢群:4歳(1例)、8歳(1例)、50代(1例、死亡)
インフルエンザウイルスA型1例_年齢群:10代
病原体不明1例_年齢群:10代
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クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性プリオン病古典型)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症3例
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年齢群:60代(2例、うち1例死亡)、80代(1例)
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後天性免疫不全症候群17例(AIDS 3例、無症候14例)
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感染地域:国内13例、インドネシア1例、タイ1例、国内・国外不明2例
感染経路:性的接触13例(異性間4例、同性間7例、異性/同性間1例、異性・同性間不明1例)、不明4例
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梅毒8例(早期顕症I期1例、早期顕症II期3例、無症候4例)
破傷風1例(年齢群:20代) バンコマイシン耐性腸球菌感染症1例(遺伝子型:不明_菌検出検体:尿)
麻しん10例〔麻しん(検査診断例6例、臨床診断例3例)、修飾麻しん(検査診断例1例)〕
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感染地域:国内9例、フィリピン1例
国内の感染地域:北海道1例、青森県1例、神奈川県1例、愛知県1例、京都府1例、大阪府1例、兵庫県1例、宮崎県1例、国内(都道府県不明)1例
年齢群:0歳(1例)、1歳(4例)、3歳(2例)、10〜14歳(1例)、20〜24歳(1例)、40代(1例)
累積報告数:22例〔麻しん(検査診断例10例、臨床診断例6例)、修飾麻しん(検査診断例6例)〕
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(補)他に2010年第2週までに診断されたものの報告遅れとして、マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ナイジェリア)、レプトスピラ症1例(感染地域:鹿児島県_感染原因:農業用水)、急性脳炎6例〔インフルエンザウイルスAH1pdm 2例(7歳1例、8歳1例_死亡)、RSウイルス1例(2歳)、病原体不明3例(3歳1例、10代1例、50代1例)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症1例(70代)、風しん1例(臨床診断例.感染地域:兵庫県.年齢群:2歳)などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(36.72)、宮崎県(17.80)、山梨県(17.55)、静岡県(17.25)、福井県(15.59)、鹿児島県(14.18)、熊本県(13.43)、島根県(13.26)、愛知県(13.21)、福島県(11.95)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は3,931例と増加した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約65%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では新潟県(0.34)、石川県(0.31)、宮崎県(0.31)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は3週連続で増加した。都道府県別では山形県(3.13)、富山県(3.00)、山口県(2.98)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は3週連続で増加し、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では愛媛県(25.0)、宮崎県(24.8)、大分県(21.5)、島根県(20.1)が多い。水痘の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では宮崎県(4.6)、沖縄県(2.8)、佐賀県(2.4)が多い。手足口病の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では岩手県(0.73)、山形県(0.57)、岡山県(0.56)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は3週連続で増加した。都道府県別では青森県(0.31)、三重県(0.29)、神奈川県(0.23)が多い。百日咳の定点当たり報告数は減少したが、過去5年間の同時期と比較してやや多い。都道府県別では栃木県(0.15)、鳥取県(0.11)、広島県(0.11)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は増加した。都道府県別では島根県(0.26)、富山県(0.10)、福井県(0.09)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では沖縄県(2.26)、大分県(1.25)、山形県(1.23)が多い。。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(1.86)、宮城県(1.83)、群馬県(0.88)が多い。
注目すべき感染症
◆ インフルエンザ
インフルエンザ(Influenza)は、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられている。2009年4月にその存在が明らかとなった新型インフルエンザA/H1N1の臨床像は、従来の季節性インフルエンザとほぼ同様であり、罹患者の大半は合併症なく治癒するといわれているが、肺炎やインフルエンザ脳症を併発して重症化する場合がある。特に肺炎は、急速に進行する重症のウイルス性肺炎を起こす場合が多く、喘息や慢性閉塞性肺疾患等の呼吸器疾患の存在が急激な悪化と関連しているといわれている〔Clinical features of severe cases of pandemic influenza: Pandemic(H1N1)2009 briefing note 13, Global Alert and Response, WHO, Oct. 16, 2009;http://www.who.int/csr/disease/swineflu/notes/h1n1_clinical_features_20091016/en/index.html〕。
感染症発生動向調査では、全国約5,000カ所(小児科定点約3,000、内科定点約2,000)のインフルエンザ定点からの報告に基づいてインフルエンザの発生動向を分析している。本サーベイランスは原則的に臨床診断によるものであり、最近の国内のインフルエンザウイルス検出状況を考慮すれば、現在報告されているインフルエンザ患者発生の殆どは新型インフルエンザによるものであると推定される。
2010年第3週のインフルエンザの定点当たり報告数は9.03(報告数43,436)となり、前週の定点当たり報告数8.13よりも増加した(図1)。都道府県別では沖縄県(36.72)、宮崎県(17.80)、山梨県(17.55)、静岡県(17.25)、福井県(15.59)、鹿児島県(14.18)、熊本県(13.43)、島根県(13.26)、愛知県(13.21)、福島県(11.95)の順となっている。定点当たり報告数は、33都道府県では前週よりも増加がみられ、10.00を超えているのは19県となった(図2)。
定点医療機関からの報告数をもとに、定点以外を含む全国の医療機関を1週間に受診した患者数を推計すると約48万人(暫定値)と前週と同じ値であり、第28週以降これまでの累積の推計受診患者数は約1,971万人(95%信頼区間:1,951万人〜1,991万人)(暫定値)となった(図3)。性別では男性約1,020万人(51.7%)、女性約952万人(48.3%)であり、年齢群別では5〜9歳約498万人(25.3%)、10〜14歳約461万人(23.4%)、15〜19歳約273万人(13.9%)、0〜4歳約217万人(11.0%)、20〜29歳約207万人(10.5%)、30〜39歳約145万人(7.4%)の順となっている(図4)。5〜9歳、10〜14歳の年齢群の推計受診患者数は2週連続で増加しているが、15〜19歳、20代、30代、40代は減少している(図5)。但し、推計受診患者数は、受診患者数の多い医療機関がより多く選定されている傾向があることなどから、真の受診患者数より過大であると考えられている。この点を踏まえ、推計受診患者数についてはあくまで参考値として理解していく必要がある。
日本で新型インフルエンザウイルスAH1pdmが検出された2009年第19週以降2010年第3週までに、全国の地方衛生研究所から26,436件のインフルエンザウイルスの検出が報告されており、そのうちAH1pdmは25,364件(95.94%)を占めている。また、特に患者報告数が増加し始めた2009年第28週以降では、2010年第3週までに24,174件のインフルエンザウイルスの検出が報告され、AH1亜型(Aソ連型)18件(0.07%)、AH3亜型(A香港型)146件(0.60%)、B型7件(0.03%)、AH1pdm(新型インフルエンザウイルス)24,003件(99.29%)とインフルエンザウイルスの検出報告数の大半をAH1pdmが占めており、現在国内で発生しているインフルエンザの殆どは新型インフルエンザによるものであると推定される状態が続いている(図6、および感染症情報センターホームページ:http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph/sinin1.gif 参照)。
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図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(2000〜2010年第3週) |
図2. インフルエンザの都道府県別定点当たり報告数の推移(2010年第1〜3週) |
図3. インフルエンザ推計受診患者数(暫定値)週別推移(2009年第28週〜2010年第3週) |
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図4. インフルエンザ推計受診患者数(暫定値)の年齢群別割合(2009年第28週〜2010年第3週) |
図5. インフルエンザ推計受診患者数(暫定値)の年齢群別推移(2009年第36週〜2010年第3週) |
図6. インフルエンザウイルス検出報告割合(2009年第28週〜2010年第3週) |
2009年第49以降減少が続いていた定点からの報告数は、2010年第3週に入って増加したが、第3週の推計受診患者数(暫定値)は横ばいであり、5〜14歳の年齢層では増加しているものの、15歳以上の年齢層ではその多くで減少がみられた。過去の季節性インフルエンザや、2009年の新型インフルエンザの流行の中心は学校、幼稚園、保育施設等の小児〜若年齢層の集団生活施設であり、小学生、中学生に該当する年齢層で患者数の増加が続いていることは、今後再びインフルエンザの流行が再燃してくる可能性がある。今後も、季節性も含めたインフルエンザの発生動向には警戒が必要であると思われる
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