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発生動向総覧
〈第4週コメント〉 2月3日集計分
◆全数報告の感染症
注意:これは当該週に診断された報告症例の集計です。しかし、迅速に情報還元するために期日を決めて集計を行いますので、当該週に診断された症例の報告が集計の期日以降に届くこともあります。それらについては一部を除いて発生動向総覧では扱いませんが、翌週あるいはそれ以降に、巻末の表の累積数に加えられることになります。
*感染経路、感染原因、感染地域については、確定あるいは推定として記載されていたものを示します。
1類感染症: |
報告なし |
2類感染症: |
結核 244例 |
3類感染症: |
細菌性赤痢3例(感染地域:インド2例、バングラデシュ1例)
腸管出血性大腸菌感染症19例(有症者12例、うちHUS なし) |
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感染地域:国内19例
国内の感染地域:東京都3例、富山県3例、石川県3例、神奈川県2例、愛知県2例、群馬県1例、埼玉県1例、山口県1例、福岡県1例、不明2例
年齢群:2歳(1例)、4歳(3例)、6歳(1例)、8歳(1例)、9歳(2例)、10代(3例)、20代(3例)、30代(3例)、40代(2例)
血清型・毒素型:O157 VT1・VT2(12例)、O26 VT1(3例)、O157 VT1(1例)、O157 VT2(1例)、O146 VT1・VT2(1例)、その他・不明(1例)
累積報告数:88例(有症者55例、うちHUS 2例.死亡なし)
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4類感染症: |
E型肝炎1例(感染地域:京都府_感染源:イノシシ肉)
A型肝炎2例(感染地域:東京都1例、鹿児島県1例)
つつが虫病6例(感染地域:和歌山県3例、鹿児島県2例、千葉県1例)
デング熱2例(感染地域:インドネシア1例、コロンビア1例) 日本紅斑熱1例(感染地域:東京都) マラリア1例(熱帯熱_感染地域:ケニア/ウガンダ)
類鼻疽1例(感染地域:ベトナム)
レジオネラ症9例(肺炎型9例)
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感染地域:大阪府2例、岩手県1例(温泉)、福島県1例、神奈川県1例、石川県1例、静岡県1例、兵庫県1例、マカオ1例
年齢群:40代(1例)、50代(1例)、60代(4例)、70代(1例)、90代(2例)
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5類感染症: |
アメーバ赤痢12例(腸管アメーバ症10例、腸管外アメーバ症1例、腸管および腸管外アメーバ症1例) |
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感染地域:愛知県2例、群馬県1例、千葉県1例、東京都1例、大阪府1例、福岡県1例、国内(都道府県不明)2例、中国1例、カンボジア1例、イタリア1例
感染経路:性的接触4例(異性間2例、同性間1例、異性・同性間不明1例)、経口感染4例、不明4例
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ウイルス性肝炎1例(C型_感染経路:不明)
急性脳炎4例
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インフルエンザウイルスAH1pdm 2例_年齢群:2歳(1例)、5歳(1例)
インフルエンザウイルスA型1例_年齢群:9歳
病原体不明1例_年齢群:2歳
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クロイツフェルト・ヤコブ病1例(孤発性プリオン病古典型)
後天性免疫不全症候群8例(AIDS 1例、無症候7例)
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感染地域:国内6例、国内・国外不明2例
感染経路:性的接触7例(異性間2例、同性間5例)、不明1例
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梅毒12例(早期顕症I期2例、早期顕症II期5例、無症候5例)
風しん1例(臨床診断例)
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感染地域:和歌山県
年齢群:1歳
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麻しん5例〔麻しん(検査診断例2例)、修飾麻しん(検査診断例3例)〕
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感染地域:国内4例、フィリピン1例
国内の感染地域:千葉県2例、福島県1例、広島県1例
年齢群:1歳(2例)、2歳(2例)、25〜29歳(1例)
累積報告数:28例〔麻しん(検査診断例13例、臨床診断例6例)、修飾麻しん(検査診断例9例)〕
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(補)他に2010年第3週までに診断されたものの報告遅れとして、細菌性赤痢2例(感染地域:岡山県1例、ネパール1例)、腸チフス1例(感染地域:インドネシア)、パラチフス1例(感染地域:インド)、E型肝炎1例(感染地域:北海道_感染源:不明)、日本紅斑熱4例(感染地域:岡山県2例、熊本県2例)、ライム病1例(感染地域:北海道)、レジオネラ症1例〔感染地域:神奈川県(温泉)〕、急性脳炎11例〔インフルエンザウイルスA型4例(1歳1例、5歳1例、6歳1例、40代1例)、インフルエンザウイルスAH1pdm 1例(6歳)、ヒトヘルペスウイルス6型1例(0歳)、病原体不明5例(1歳2例、3歳1例、10代1例、70代1例)〕、劇症型溶血性レンサ球菌感染症2例〔40代(1例)、80代(1例)〕、風しん2例〔検査診断例1例、臨床診断例1例.感染地域:東京都1例、岡山県1例.年齢群:0歳(1例)、25〜29歳(1例)〕などの報告があった。 |
◆定点把握の対象となる5類感染症(週報対象のもの)
全国の指定された医療機関(定点)から報告され、疾患により小児科定点(約3,000 カ所)、インフルエンザ(小児科・内科)定点(約5,000 カ所)、眼科定点(約600 カ所)、基幹定点(約500 カ所)に分かれています。また、定点当たり報告数は、報告数/定点医療機関数です。
インフルエンザ: 定点当たり報告数は減少した。都道府県別では沖縄県(18.88)、山梨県(14.05)、福井県(13.41)、静岡県(12.15)、埼玉県(9.97)、愛知県(9.58)、福島県(9.35)、栃木県(8.45)、三重県(8.33)、鹿児島県(8.28)が多い。
小児科定点報告疾患:RSウイルス感染症の報告数は4,742例と2週連続で増加した。年齢別では、1歳以下の報告数が全体の約65%を占めている。咽頭結膜熱の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では宮崎県(0.61)、佐賀県(0.52)、石川県(0.45)が多い。A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の定点当たり報告数は第1週以降増加が続いている。都道府県別では山形県(4.0)、鳥取県(3.5)、富山県(3.2)が多い。感染性胃腸炎の定点当たり報告数は第1週以降増加が続いており、過去5年間の同時期(前週、当該週、後週)と比較してかなり多い。都道府県別では愛媛県(26.4)、宮崎県(25.7)、鹿児島県(21.6)、埼玉県(20.3)が多い。水痘の定点当たり報告数は減少した。都道府県別では宮崎県(3.61)、沖縄県(2.71)、石川県(2.66)が多い。手足口病の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では岡山県(0.81)、山形県(0.73)、福井県(0.55)が多い。伝染性紅斑の定点当たり報告数は第1週以降増加が続いている。都道府県別では青森県(0.33)、三重県(0.33)、福井県(0.32)が多い。百日咳の定点当たり報告数は2週連続で減少した。都道府県別では沖縄県(0.12)、福島県(0.08)、栃木県(0.08)が多い。ヘルパンギーナの定点当たり報告数は横ばいであった。都道府県別では徳島県(0.17)、熊本県(0.17)、岩手県(0.13)が多い。流行性耳下腺炎の定点当たり報告数は増加した。都道府県別では沖縄県(3.97)、山形県(1.87)、北海道(1.65)が多い。
基幹定点報告疾患:マイコプラズマ肺炎の定点当たり報告数は2週連続で増加した。都道府県別では沖縄県(1.71)、山口県(1.22)、愛媛県(1.17)が多い。
注目すべき感染症
◆ インフルエンザ
インフルエンザ(Influenza)は、インフルエンザウイルスを病原体とする急性の呼吸器感染症で、毎年世界中で流行がみられている。2009年4月にその存在が明らかとなった新型インフルエンザA/H1N1の臨床像は、従来の季節性インフルエンザとほぼ同様であり、罹患者の大半は合併症なく治癒するといわれているが、肺炎やインフルエンザ脳症を併発して重症化する場合がある。特に肺炎は、急速に進行する重症のウイルス性肺炎を起こす場合が多く、喘息や慢性閉塞性肺疾患等の呼吸器疾患の存在が急激な悪化と関連しているといわれている〔Clinical features of severe cases of pandemic influenza: Pandemic(H1N1)2009 briefing note 13, Global Alertand Response, WHO, Oct. 16, 2009;http://www.who.int/csr/disease/swineflu/notes/h1n1_clinical_features_20091016/en/index.html〕。
熱帯地域から北半球の多くの国々では、2009年の10月後半から11月を流行のピークとして、新型インフルエンザの活動性は低下が続いている。まだ流行状態が続いているのは、北アフリカと東ヨーロッパ、東アジアの限定された地域のみである〔Pandemic(H1N1)2009−update 86:http://www.who.int/csr/don/2010_02_5/en/index.html〕。
感染症発生動向調査では、全国約5,000カ所(小児科定点約3,000、内科定点約2,000)のインフルエンザ定点からの報告に基づいてインフルエンザの発生動向を分析している。本サーベイランスは原則的に臨床診断によるものであり、最近の国内のインフルエンザウイルス検出状況を考慮すれば、現在報告されているインフルエンザ患者発生の殆どは新型インフルエンザによるものであると推定される。
2010年第4週のインフルエンザの定点当たり報告数は6.46(報告数31,049)となり、前週の定点当たり報告数9.03よりも減少した(図1)。都道府県別では沖縄県(18.88)、山梨県(14.05)、福井県(13.41)、静岡県(12.15)、埼玉県(9.97)、愛知県(9.58)、福島県(9.35)、栃木県(8.45)、三重県(8.33)、鹿児島県(8.28)の順となっている。定点当たり報告数は、青森県、秋田県を除く45都道府県で前週よりも減少がみられ、10.00を超えているのは4県となった(図2)。
定点医療機関からの報告数をもとに、定点以外を含む全国の医療機関を1週間に受診した患者数の推計値は約35万人(暫定値)と減少し、第28週以降これまでの累積の推計受診患者数は約2,006万人(95%信頼区間:1,986万人〜2,026万人)(暫定値)となった(図3)。性別では男性約1,037万人(51.7%)、女性約969万人(48.3%)であり、年齢群別では5〜9歳約506万人(25.3%)、10〜14歳約467万人(23.3%)、15〜19歳約276万人(13.8%)、0〜4歳約221万人(11.0%)、20〜29歳約212万人(10.6%)、30〜39歳約149万人(7.4%)の順となっている(図4)。60代および70歳以上では横ばいであるが、その他の年齢群は全て前週よりも減少した(図5)。但し、推計受診患者数は、受診患者数の多い医療機関がより多く選定されている傾向があることなどから、真の受診患者数より過大であると考えられている。この点を踏まえ、推計受診患者数についてはあくまで参考値として理解していく必要がある。
患者報告数が増加し始めた2009年第28週以降では、2010年第4週までに、全国の地方衛生研究所から25,393件のインフルエンザウイルスの検出が報告され、AH1亜型(Aソ連型)18件(0.07%)、AH3亜型(A香港型)146件(0.57%)、B型9件(0.04%)、AH1pdm(新型インフルエンザウイルス)25,220件(99.32%)とインフルエンザウイルスの検出報告数の大半をAH1pdmが占めている。また、2010年に入っても第1〜4週までの4週間で検出・報告された857検体中、AH1亜型0件、AH3亜型0件、B型3件(0.35%)、AH1pdm 854件(99.65%)と、国内で発生しているインフルエンザの殆どは新型インフルエンザによるものであると推定される状態が続いている(図6、および感染症情報センターホームページ:http://idsc.nih.go.jp/iasr/prompt/graph/sinin1.gif 参照)。
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図1. インフルエンザの年別・週別発生状況(2000〜2010年第4週) |
図2. インフルエンザの都道府県別定点当たり報告数の推移(2010年第2〜4週) |
図3. インフルエンザ推計受診患者数(暫定値)週別推移(2009年第28週〜2010年第4週) |
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図4. インフルエンザ推計受診患者数(暫定値)の年齢群別割合(2009年第28週〜2010年第4週) |
図5. インフルエンザ推計受診患者数(暫定値)の年齢群別推移(2009年第36週〜2010年第4週) |
図6. インフルエンザウイルス検出報告割合(2009年第28週〜2010年第4週) |
定点からの報告数は、2009年第48週をピークに減少し続け、2010年第3週に一旦やや増加したものの、第4週に再び減少に転じた。国内のほとんど全ての都道府県で減少がみられており、推計受診患者数をみても、59歳以下の年齢層で減少しており、増加した年齢群はみられなかった。国内の新型インフルエンザの流行は、現状では概ね減少傾向を示しているものと判断されるが、まだ各地域における散発的な流行は存在している。引き続き、季節性も含めたインフルエンザの発生動向には注意が必要であると思われる。
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